名古屋大学名誉教授の池田了氏や立教大学教授の香山リカ氏らが共同代表を務める「軍学共同反対連絡会」は7日までに「菅義偉首相は日本学術会議から推薦された105名の候補者のうち6名の会員任命を拒否した。この事態は、日本を代表する独立した学術機関である日本学術会議の意志を無視した政府からの人事介入と捉えざるを得ない」とし「学問の自由を踏みにじる重大行為として強く抗議するとともに、撤回するよう求める」との声明を発表した。


 連絡会は「学術研究は、時の政府の意向とは独立した論理で進められるべきものであり、それを保証する大学の自治や学問の自由の根幹は、戦前の経験を想起するまでもなく、科学者の職務上の地位がいかなる状況においても尊重されるということにある」と指摘。


 そのうえで「日本学術会議からの会員候補者推薦は、学問上の業績に則って行われたものであり、政府がその推薦に応じてそのまま任命することこそが、学問の自由を尊重することは言うまでもない」と断じた。


 連絡会は「時の政府が批判的な科学者を排除し日本学術会議を統制していくなら、政治の多様性のみならず、『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにする』(日本国憲法前文)ための民主的歯止めも失われかねない」と警鐘を鳴らす。また「これまで営々として構築してきた日本の民主的システムを一層蝕んでいくことになるのを強く危惧している」とも述べている。


 連絡会は「今回の任命拒否には、日本学術会議声明が大学における軍事研究を抑制している現状を変えようとする狙いも込められていると報じられている」とし「その点でも私たちは断じて許すことはできない」と菅総理の姿勢を強く非難した。


 声明は「日本学術会議が任命拒否に怯むことなく、学問の論理を追求することを怠らず、これまで通り学術の独立性を保つ姿勢を毅然として持ち続けることを強く期待している」と政府と独立した機関であることを保持して活動を続けるようエールをおくっている。

(編集担当:森高龍二)