【写真】家庭では2児の母、瑞原明奈の私服撮り下ろしカット&インタビューカット【10点】
――瑞原さんはMリーグがスタートして2年目のドラフトで選ばれました。この時、自分が選考の俎上に乗っていると思っていましたか?
瑞原 思っていなかったです。この年から全チームで女性プロ所属が必須になるレギュレーションになると聞いた時も、「面白そうだなあ」って他人事みたいに感じていました。やっぱり実績面で候補者の枠には入れていないと思っていましたから。
――指名の理由は聞いたんですか?
瑞原 いろいろ聞いたんですが、これが決め手、という理由ははっきりとは……。私はプロになって2年目から産休や育休に入ったりして、プロとして思うように活動できないことにもどかしさを感じていたんですね。そんな中で、ちょっとでも麻雀力を衰えさせずに、あわよくば成長させようと思ってネット麻雀をやり始めたんですが、そこでの成績が評価された、というのはあるかと思います。
――たしかにファンの間では、パイレーツはネット麻雀が強いプロの集団だというイメージがあります。瑞原さんも界隈ではネット麻雀「天鳳」のID「みかん太」が強豪プレイヤーとしてすごく有名です。でも、ずっとネット麻雀を続けているわけではなかったんですね
瑞原 プロになる前は、麻雀を打ちたい欲求を発散するためにやっていたくらいで。
――なるほど、では麻雀プロとしての最高峰リーグの一員に選ばれて、自身でプロとしての実績、経験の少ないと認めるなかで参戦した2年間は、瑞原さんにとってどのようなものだったのでしょうか。
瑞原 最初は本当に、ただがむしゃらにやっていた、という感じでしたね。自分のメンタルを保ちつつ目の前のタスクをこなす、ということをひたすらに続けていた1年目だったと思います。対局そのものよりも、周りの声に対して、と言いますか。反響がすごく大きい舞台ですけれど、そういう反響を気にし過ぎて自分を見失うことが無いように、と強く意識しながら打っていました。
――1年目から参戦していたような、業界のビッグネームに対して腕が縮こまるようなことは?
瑞原 もちろんみなさん、自分がテレビ対局を見てきて、憧れて、麻雀を覚えるきっかけになったよう方たちばっかりだったので緊張しないわけはないんですけど、言ってしまえば「して当たり前」の緊張なので、それ自体は普通に受け入れていました。あとは、「お野菜作戦」を使っていましたね。対局相手を、「この人はジャガイモだ、玉ねぎだ、ピーマンだ」って置き換えて、緊張しすぎないようにしていましたね、ふふふ(微笑)。
――では、不慣れなことや試行錯誤も多かったとはいえ、概ね順風満帆な1年目だったんでしょうか?
瑞原 私はそれまで、誰かに麻雀を教わることがなく、ほとんど独学だったので、チームメイトからいろんな知識や戦術を教わることも多かったんですが、そういう情報を全部詰め込んで、対局中に「これはどうすればいいんだ?」みたいにグチャグチャって混乱することが増えた時期はありました。明らかに「自分が崩れて負けた」と感じる試合もありましたし。
――では「優勝の味」というのはいかがだったでしょうか。
瑞原 そうですね、最高の景色を見せてもらったんですが、それこそ、「私は船に乗せてもらってる」というか、そんな意識があった気がします。
――まだまだ「お客さん」だった?
瑞原 ちゃんとチームの一員になれていなかったのかもしれませんね。優勝した瞬間にそういうことを自覚していたわけではないですが、後から振り返ったらそんな感じだったんじゃないかと。1年目の優勝は、自分の力で優勝できた、という感触は全くありませんでした。2年目のタイミングで、ようやく「チームの一員として頑張ろう」という風に意識が変わったかなと思います。
――ただ今季はディフェンディングチャンピオンとして臨んだシーズンでしたが、残念ながらレギュラーシーズンでチームは敗退してしまいました。
瑞原 今季は個人的に掲げた目標もチームとしての目標もすべて達成できず、一言で言うと、結果としてはダメな一年だったと思います。ただ、去年と比べて、自分もチームも退化したとか、悪くなったとかは思っていないです。
――結果は振るわなかったけど、得るものはあった、と。
瑞原 そうですね。私はドラフトで指名された時に、純粋に「なぜ選ばれたんだろう?」って思ったところがスタートで、本人がそう思っているくらいだから、きっと見ている方でもそう考える人はいっぱいいると思うんです。その「なぜだろう?」というのを埋めていかなきゃいけないな、というのが私のMリーガーとしての活動のひとつの基盤です。パイレーツに入って2年間やってきて、強いプロ3人がチームメイトになって。迷ったこともあったけど成長できた度合いの方がはるかに大きいな、と今は思っています。
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