(前後編の後編)
【写真】最新シングル『たゆたえ、七色』をリリースしたARCANA PROJECT
──ARCANA PROJECTのメンバーと初めて会ったときは、どう思いましたか?
天野 (相田)詩音ちゃん以外のメンバーは経験豊富なので、私なんかが入って足を引っ張ちゃうんじゃないかなって思いました。あと、あおにゃん(空野青空)の存在を知らなかったので、このテンション感についていけるのかなって(笑)。私はテンション低めなので、そこも心配でした。
──年の離れたメンバーと活動するのも不安ですよね。
天野 それもありました。部活でも習い事でも、ほとんど先輩と交流がなかったので、年上の知り合いが全然いなかったんです。どういう風に接すればいいのかなとか、敬語は使ったほうがいいのかなとか、いろいろ考えました。でもメンバーはみんな、すごく優しくて。何となくのイメージで、アイドルグループのメンバー同士は仲間だけどライバル意識があるのかなと思っていたので、こんなに表裏なく仲良く接してくれるんだって安心しました。
──仲良くなれたのは、メンバー全員がアニメ好きというのもありますか?
天野 それは大きかったです。周りにアニメ好きの友達が少なかったので、そういう話ができるのはうれしいです。
──ヒップホップやバレエなどダンス経験は、アイドル活動にも活きましたか?
天野 振りの覚えは早い方だと思います。それがあったから初心者でもついていける部分もありました。ただ今までは考えずに踊っていたので、それ以上のことを考えて踊らなきゃいけないんだなって、周りのメンバーを見たり、先生のアドバイスから学びました。最初の頃は無機質に踊っているような感じで、「ちゃんと気持ちが入ってないのが分かるよ」と言われて。そこから、ちゃんと歌詞の意味を考えたうえでダンスをしようと自分でも思いました。集中力も上がったと思いますし、表情や目線も前より意識するようになりました。
──ファンだったでんぱ組.incのメンバーと顔合わせしたのはいつ頃ですか?
天野 初めてメンバーさん全員と会ったのは最近で、今年6月12日に開催した「プラズマでんぱフェス2021」だったんですけど、ARCANA PROJECTが結成して間もない頃にやった主催ライブでLAVILITHさんと共演したので、早い段階でずっと好きだった(相沢)梨紗さんとはお会いしました。
──相沢さんとは、どんな会話をしたんですか?
天野 自分からはほとんど話せなかったんですけど、『ハリーポッター』シリーズのロン・ウィーズリーのTシャツを着ていたら、「そのTシャツ可愛いね」と言ってもらえました。その後もLAVILITHさんとは何度か共演しているんですけど、いまだに緊張して話しかけられないです。
──ARCANA PROJECTに入って自分自身で成長を感じるところは?
天野 レコーディングを前に歌詞を読み込むようになりましたし、歌詞の意味を考えたうえで、自分だったらどう伝えたいかを意識するようになりました。今回のシングルでも、かなり自分の思っている歌を歌えているなという手ごたえを感じました。
──最新シングル『たゆたえ、七色』の収録曲の聴きどころを、それぞれ教えてください。
天野 『たゆたえ、七色』は爽やかな曲なんですけど、どこか切ない部分もあって。夏のキラキラしたところだけじゃなく、切なさを歌に乗せようと頑張りました。海を意識した振付になっていて、深海と浅瀬という対照的なものをそれぞれ表現しているので、そこにも注目してほしいです。
『星影のファンタジア』は、初めて聴いたときにかっこいいなというのが第一印象で、かっこよく歌うのかなと思ったんです。でもレコーディングで「元気目に歌って欲しい」という指示があって、未来に希望を抱く曲になっています。
『きっと、その未来にたどり着くから。』は可愛い曲になっていて、ARCANA PROJECTは直接的な歌詞よりも、考えさせられる歌詞が多いんですけど、自分的には恋愛の曲かなと思っていて。でも聴く人によって印象は違うと思うので、ファンの方の意見も聞いてみたいです。
『Ophelia』はノリノリの中に中二病感のある歌詞がARCANA PROJECTらしいなと。
『ドンケア』を書いてくださった久下真音さんの提供曲はいつもARCANA PROJECTのかっこいい曲を担当してくださっているんです。今回もボカロチックで勢いがあって、ディレクションのときに「狂気を感じる子供をイメージして歌ってください」と言われて、それを自分なりに解釈して歌いました。
──5曲ともタイプの違う曲が並びましたね。歌手として自分の武器はどこにあると思いますか?
天野 曲調によって声色を変えることができているのかなと思います。あと感情的に歌うのは得意ではないので、メンバー内の役割として安定感のある歌を求められているのかなと自分なりに考えています。今回のシングルのレコーディングで、そういう風に自分で感じました。
──個性的なメンバーが揃っていますが、キャラクター面で自分の役割はどう考えていますか。
天野 やっぱり最年少感ですかね(笑)。でんぱ組.incさんには、私よりも年下のメンバーがいますけど、誰よりも年下感はあると思います。意識してではなく、勝手にオロオロしちゃうだけなんですけどね……。ARCANAは他の4人がしっかりしているので、そこは本当に助けられています。
【前編はこちら】ARCANA PROJECT 期待の新星・天野ひかる「家訓が『歌って踊れる人間になれ』だった」
▽天野ひかる
タロットカードをベースにした世界観とメンバーの愛するアニメソング界に敬意を払いつつ、様々なジャンルの歌にチャレンジし続ける「ARCANA PROJECT」の最年少メンバー。最新シングル『たゆたえ、七色』が絶賛発売中。