SNS上の広告に登場し、「謎の美女」として一気に注目を集めた上田操。2019年には『週刊プレイボーイ』でグラビアデビューを果たし、女優として映画のメインキャストを務めるなど活躍を続けている。


そんな上田の初となる紙媒体写真集『#上田操のいる生活』(PHOTOBOOK BASE)が8月9日までの期間限定発売される。鍛え上げられた美ボディでも話題を呼んだ彼女に話を聞いた。(前後編の前編)

【写真】グラビアでも大活躍、上田操の撮りおろしショット【11点】

──上田さんは「女優」「声優」「グラビア」とマルチに活躍されていますが、最近は「鍛え上げられた腹筋や二の腕が美しい」と話題になっています。

上田 ありがとうございます。ダイエット歴はかなり長くて、中学生の頃から取り組んできました。

──若い頃は、今と体型も違ったんですか?

上田 まるで別人でした。身長は今と同じ147cmだったんですけど、体重は50kgを超えていました。結構なぽっちゃり体型で。うちの両親は「とにかくいっぱい食べなさい」という教育方針で、背が伸びたり体重が増えると褒めてくれたんですよ。子供ながらに親を喜ばせたいという気持ちもあったので、ひたすら食べて寝ていたら、意外と早い時期に身長が止まってしまいまして。10歳くらいのときには今の身長になっていました。それでも体重だけは順調に伸び続け、気がついたらヤバいことになっていました(笑)。
さすがに中学に入って思春期を迎えたあたりで危機感を覚えたのを今でも覚えています。

──それは「モテたい!」みたいな意識があったのでしょうか?

上田 いや、それはなかったですね。周りからの目も気にはなったけど、一番大きかったのは太った自分のことを好きになれないという感情。要するにコンプレックスでした。自分に自信を持ちたい、自分のことを好きになりたいという気持ちが大きかったですね。

──なるほど。それで何から取り組んだのですか?

上田 最初は知識も一切なかったので、とりあえずは毎日3km走り、腹筋と腕立てを120回ずつやろうと決めました。

──120回!? それって相当な回数ですよ。

上田 もともと私は運動が大の苦手で、体育の授業も憂鬱なくらいだったんです。なぜ120回かというと、なんとなく100回では本気度が足りないかなと思いまして(笑)。最初、腕立ては連続して5回くらいしかできなかったですね。それを1日の延べ回数が120回になるまで、何度も繰り返していくんです。
とにかく「1日120回」というノルマだけはクリアしなくちゃいけないというのがマイ・ルール。もちろん超回復のことなんて知らないから、運動後に休息が必要なんて想像すらしていませんでした。

──体力はなかったけど、根性は人一倍あったということでしょうね。

上田 継続するということは大切にしていました。その「1日120回」ルールは、中1から10年くらい続けていました。自分に負けるのが嫌だったんです。自分で決めた「1日120回」が守れないようだったら、私は終わると思っていたことが原動力になっていたんだと思います。

──根本的に負けず嫌いな性格なんですか?

上田 そうかもしれない。どういうわけか、昔から自分に試練を与える癖があるみたいで。私は公文を習っていたんですけど、あれってやっていると同じ問題が結構出てくるんですよ。

──公文式って一種の反復練習ですからね。

上田 そうすると、簡単に問題が解けるようになってくるじゃないですか。
問題に慣れてくると、「このページが終わるまで息を吸っちゃいけない」とか勝手に自分でルールを作って、ゼーゼー苦しみながら進めていました。自分を追い詰めないとダメになるような気がしていて。自分を甘やかしたら、どんどんバカになっていくんじゃないかという恐怖心がありました。

──異常ですよ、そのストイックさは(笑)。

上田 自分が決めたことだったので。「息を止めろ!」とか「腹筋しろ!」って誰かに押しつけられたルールじゃなくて。大げさかもしれませんが、その自分が決めたことすらも守れないんだとしたらもはや生きている意味がないというか……。

──そんな悲壮な覚悟でダイエットしていたとは!

上田 自分が決めたことを1回でもやらなかったら、それは自分で自分を裏切るということ。1回裏切る人というのは、結局、永遠に裏切り続ける気がするんです。自分で決めたこのハードルすらも超えられなかったら、次のハードルもおそらく超えられない。それが怖い。自分が決めたことをできないのは「死」。
息を止めて公文の問題が解けないのも死。1日120回をクリアできないのも死。

──もはや武士道じゃないですか。でも、確かにダイエットに失敗する人は、上田さんのような不退転の覚悟を持っていないということかもしれないですね。

上田 私も根本的には自分にかなり甘い人間です。だからこそ、意識的に追い詰めないとダメになる気がするんです。インフルエンザにかかって高熱が出ようとも、腹筋と腕立てだけはやらないと安心して眠ることができない。体調が悪くて学校を休んでいるのに、家では筋トレをやっているんだから、他の人から見たら「なんなの?」って話ですよね(笑)。

──では、聞き方を変えます。痩せたいけど上田さんのような根性がないけど人は、どうすれば自分に打ち克つことができますか?

上田 ダイエットや筋トレを途中で諦めてしまったり飽きてしまう人、私はそれで何も問題はないと思っているんです。途中でやめるということは、そこまで痩せたいと思っているわけではないということ。その人にとっては、痩せる必要がないということなんです。
どうして自分は痩せなくちゃいけないのか? そのことを真剣に見つめ直したら、絶対にその道から足を踏み外すことができなっていくはずなんですね。それこそ「痩せないと自分は死ぬ」という意識を持っていたら、サボろうなんて気は起きないので。

──禁煙とか禁酒にも同じことが言えるでしょうね。意識づけの段階で死をイメージすれば、甘ったれた考えは出てこないかもしれない。

上田 私の意見としては、同じだと思います。たとえば英単語を覚えるにしても、「今日これを覚えなかったら、明日は親が死ぬ」と考えたら必死さが違ってくるでしょうし。「今、これを食べたらどうなるか?」→「絶対に太るはず。太ったらどうなるか?」→「自分のことが大嫌いになる。嫌いになったらどうなるか?」→「明日もあさっても1年後も気が滅入る毎日がずっと続いてく」……こういう発想の連鎖が大切だと思うんです。「人生がつまらないまま死にたいのか?」という連鎖が。

──どこまでも死がつきまとうんですね(笑)。

上田 すいません、それくらい目の前のことに人生を懸けるべきだと言いたくて(笑)。
シンプルな話、「幸せになりたい? それとも自分に納得できないまま死にたいか?」ということかなと。もちろん世の中には太っているけど痩せる必要がない人も大勢いるし、それはそれで1つの価値観だから、他人がとやかく言う必要はないと思います。ただ、自分を裏切る真似だけは絶対にしたくないじゃないですか。それをやっちゃうと心が死んでしまうので。

──抜群に説得力がありますね。ポジティブな考え方だと思います。

上田 ある種、脳を騙す作業。たとえば禁煙にしたって、「1本だけ吸いたいな」という誘惑に対して「この1本を吸ってしまったら妻が死ぬ」「子供が死ぬ」「恋人が死ぬ」という恐怖を植え付けられたら勝ちだと思うんです。うちの父は家でも吐くレベルの大酒飲みだったんですけど、ある日を境にピタッと禁酒に成功したんです。それはなぜかというと、会社の同僚が肝臓を患って大変な目に遭ったから。死というものを現実的に見せられると、やっぱり根性は違ってきますよね。

>>後編はこちら

(取材・文/小野田衛)
▽上田操(うえだ・みさお)
1994年4月23日生まれ、東京都出身。女優業を中心に、モデルや声優、グラビアなど幅広く活動している。
Twitter:@mso_k_0423
Instagram:mso_k_0423
編集部おすすめ