さくら学院『The Road to Graduation 2014 ~ Be ambitious, Memorial Summit ~』ライヴレポート@TSUTAYA O-EAST 2015.MAR.26  2014年度の卒業式公演まであと3日と迫った3月26日、東京・渋谷のTSUTAYA O-EASTで行われた、『The Road to Graduation 2014 ~ Be ambitious, Memorial Summit ~』公演の模様をレポートする。 卒業式公演の前夜祭的な位置づけにあるこの日のライヴ。
平日ではあるが、開場時間17時45分の1時間前には、車道に人があふれるほどのファンが集結している。春休みということもあり、普段より若い年齢層の父兄も目立つし、1年前と違うのは外国人の父兄が増えた点。BABYMETALの欧米ツアーで見た顔が多い。プロデュース委員長で、BABYMETALのメンバーでもある水野由結が日頃から言っている「BABYMETALを通して世界にさくら学院を広めたい!」という願いは確実に叶えられつつあると実感する。  そんな多様になりつつある父兄たちを飲み込んだTSUTAYA O-EASTのフロア。前方は立錐の余地もないほど人口密度が高い。館内には初代生徒会長である武藤彩未の楽曲が流れ気分を盛り上げてくれる。  18時半ちょうどに客電が消え始業のチャイムが鳴る。ステージに揃った10人の制服姿。『ベリシュビッッ』で2014年度最後のスタンディングでのライヴがスタートだ。フロアは歓声と手拍子で盛り上がっていく。続いて『負けるな! 青春ヒザコゾウ』とアップテンポの曲の連続でフロアは早くもヒートアップ。
元気に点呼を取り回れ右、右向け右と展開するステージ上の若さが眩しい。  磯野莉音が「私たちと一緒にシェイプアップしましょう!」と始まったのは新曲の『ご機嫌! Mr. トロピカロリー』。トロピカルなサウンドに、体型を気にする女の子の悪戦苦闘ダイエットがテーマの歌詞が楽しい。ダンスは筋トレやシェイプアップをモチーフにしたかなりハードな内容。苦もなく踊るステージ上の生徒たちの若さが羨ましい。曲後半で少しだけ振りを踊った父兄たちは息も絶え絶えというのに(笑)。  MCでは久しぶりの一人一人の自己紹介。テーマは曲に合わせて「最近ご機嫌になったエピソード」。岡田愛は「最近メンバーと一緒に焼肉を食べに行ってお腹いっぱいになった」と、ダイエットとは真逆の話で笑わせる。田口華は「今日は平日なのに、こんなにたくさんの父兄さんが来てくれてご機嫌です!」と嬉しそうに話して拍手を浴びた。生徒会長の菊地最愛は、前日にテレビ朝日の配信番組「LoGiRL」で初代生徒会長の武藤彩未が中3の4人に書いた手紙を読んでくれたことに触れ、「嬉しかった。最愛も最強に愛してます!」と宣言して喝采を浴びた。
 山出愛子は「お母さんが新しいケータイケースを買ってくれた。首にかけられるので置き忘れないですむ」と嬉しそう。野津友那乃が「愛子はいつもケータイ置きっ放しで先生にマジギレされてる」と暴露して笑わせた。磯野は「新聞部の新聞が新グッズの下敷きになったこと」とご機嫌。白井沙樹は「髪型をアミューズ公式キャラのほえやま君風にした」と、父兄たちの微妙な笑いを浴び、メンバーたちには「こんなんだっけ?」とツッコまれていた。  大賀咲希は、徳間書店のアイドル誌「OVERTURE」のさくら学院特集で「大好きな風男塾の浦えりかさんがコメントしてくれた!」とハイテンション。水野由結は「さくら学院でずっとやりたかったストレートヘアにしてみました」と髪型を披露して可愛い!と賞賛を浴びた。また、「大好きな能年玲奈ちゃんがこの前ラジオで水野由結ちゃんって言ってくれた!」と嬉しそうだ。  野津は「昨日レッスン中、昼休みにパン屋さんに行ったら、店長さん夫婦がご年配なのにさくら学院のことを知ってて、パンを1個オマケしてくれた」と話して拍手を浴びた。さくら学院の名は着実に広まっているのだ(笑)。倉島颯良は「ずっと食べられなかった豆腐が食べられた。しーちゃん(白井)に勧められて湯豆腐を食べたら美味しかった。
次は冷や奴に挑戦しようかな」と笑わせた。 次ページは、前生徒会長・堀内の魔法で突然のアクシデント!?メンバーも父兄も、寂しさを吹き飛ばすようにライブを楽しむ  次の曲は『FLY AWAY』。さくら学院のデビューアルバムの冒頭を飾ったノリノリの楽曲。フロアは「ハイ!ハイ!」と手拍子でヒートアップ。そして『I・J・I』、『オトメゴコロ。』と、爽やかな楽曲の多いさくら学院としては異色とも思える「オンナ心」を歌ったナンバーで父兄たちの気持ちを波立たせる。少し大人びた歌詞もダンスも、この時期の中3にはピッタリとくる。成長と時の経過を感じざるを得ない。 『オトメゴコロ。』ではアクシデントも。体調が悪くなったのか、磯野がステージを下がってしまう。そのままMCに入り、メンバーたちは「熱気が凄いねえ、暖かいね」と口々にコメント。
ステージ上はかなりの暑さと思われる。「莉音大丈夫かな?」のメンバーの声に、菊地が「多分今、(昨年度生徒会長の堀内)まり菜ちゃんが夢の世界に連れてってる」とアドリブを効かせる。するとメンバーたちは「まり菜ちゃん何やってんだよー!」と、口々にブーイング。父兄たちからも笑いが起こり、関係者席のある2階を振り返る。会場のどこかで見ているであろう堀内が、「え?何すか?」とキョドっている光景が目に浮かんだ(笑)。  磯野不在のまま『マシュマロ色の君と』がスタート。歌い手のいなくなった磯野のパートを懸命に歌う父兄たち。感動的な友情ソングで、図らずも生徒たちだけでなくフロアの父兄たちとの絆が感じられ、ウルッとさせられてしまう。曲最後で磯野がステージに戻り、照れたような笑顔をメンバーたちに向ける。たいした事態ではなさそうで一安心。フロアからは「莉音!」の大歓声。そのまま新曲の『さよなら、涙。
』へ。ノートに残された友の気持ちを歌った新しい友情ソング。ノートを開く振りが印象的だ。  MCでは磯野が「『マシュマロ色の君と』でまり菜ちゃんに連れてかれて…」と言うと、「大丈夫だった?変なことされなかった?」とメンバーたち。磯野は「起きたら『さよなら、涙。』になってた」と笑わせた。「10人じゃないとさくら学院じゃないからね」の言葉に、会場から拍手がわき起こった。  さて、ライヴは終盤。『アニマリズム』、『Hana*Hana』と動物、花言葉がテーマの楽しい楽曲が続く。比較的アップテンポな曲や歌詞の楽しい曲が多いこの日のライヴ。卒業式はまだこれから。まだまだ泣かないでね、とのメッセージが込められているかのようなセットリストだ。
ステージ上もフロアも湿っぽい雰囲気はない。皆この瞬間を目一杯に楽しんでいる。  そして本編ラストは『message』。1stアルバムの最後を飾る、どこか懐かしいメロディの楽曲。友情や夢、そして成長していく素晴らしさや切なさが詰まっている。フロアはまるで満開の桜のように、ピンクのフラッグが揺れている。いよいよ蕾が開こうとしている中3の菊地、水野、田口、野津の歌声が心に染み渡る。 次ページは、中3・4人の卒業後の夢とは?それぞれの“夢に向かって”、4人の大きな夢が語られる  アンコールに応えステージに戻ってきた生徒たち。卒業が迫ってきた中3が将来の夢を語る。野津は「一番の夢は女。憧れの深津絵理さんや堺雅人さんのような幅広い演技の出来る役者さんになりたい。二つ目の夢はモデル。さくら学院の3年間で15センチも背が伸びました。まだ伸び続けてて、右足が成長痛。みんなないでしょ?成長痛」とメンバーを見渡して笑わせた。さらに「トーク委員長になって喋ることが大好きになりました。友那乃のトークで父兄さんが笑ってくれるのが幸せなので、バラエティにも出たい」と欲張った。「友那乃が夢を叶えるまで見守ってくれると嬉しいです、卒業後も応援よろしくお願いします!」と締めて喝采を浴びた。  水野は「卒業後にはBABYMETALが待ってます。すぅちゃんと最愛と力を合わせてたくさんの伝説を作りたい!」と力強く宣言して歓声を浴びる。「今までにない由結の色をYUIMETALとして出していくので、見逃さないでくださいね」と続け、「さくら学院を世界中に広めます」と宣言した。そして「水野由結としてはお芝居がしたい。台詞の意味をよく解釈して、由結にしか出来ない芝居がしたいです。それから卒業写真集で制服以外のいろんな服を着るのが楽しかったので、写真のお仕事もしたい。でも、それにはまだ身長が…」と大爆笑を呼び、続けて「さくら学院が大好き。いつかスーパーレディになったら、さくら学院の魅力が詰まった歴史本を作りたい。ミリオンセラーにしたいのでご協力お願いします」と、大喝采を浴びた。  菊地はいつも通り「スーパー最愛ちゃんになりたい」と笑わせ、「色んなことに挑戦して夢に一歩ずつ近づくのがスーパー最愛ちゃん。辛いことがあっても楽しく乗り越えたい」と続けた後、「とりあえず、ベビメタで…」とフロアをざわつかせる(笑)。そして、とりあえずを必死で打ち消しながら「BABYMETALを全力で頑張り、最強でスーパーな私になります。そして菊地最愛としても必ず帰ってきます。MOAMETAL、菊地最愛、色んな自分を表現できるようがんばります」とまとめて大拍手を浴びた。    田口が「大好きな虎姫一座さんの研究生になります」と発表すると、フロアは「おー!」という歓声に包まれた。同じアミューズに所属する、浅草で活動する昭和歌謡レビュー・虎姫一座への熱い想いを語る田口。「まずは夏休みにステージに立てるよう努力していきたい。浅草に会いに来てください。パワーアップした華をお見せしたい。」と、具体的に進路が決まった晴れ晴れとした笑顔で語った。さらに「高校生になると夜8時以降もお仕事できるので、新日本プロレスの皆さん!」と呼びかけて大拍手を浴び、最後は「1、2、3、ダーッ!」と締めた。  ここで下級生を代表して磯野が「それぞれの夢に向かって顔笑って」と呼びかけ、次の曲『君に届け』を紹介。ニューアルバムのラスト曲は、さくら学院で過ごした時間と友への感謝の込められた爽やかな楽曲。フロアは温かい手拍子で応える。「離れていても心は一つ」を一つのテーマとしてやってきた2014年度のさくら学院。友へ思いを届ける大切さが滲み出ている。そして最後は『FRIENDS』。先輩たちから受け継がれてきた大切な歌。この10人で歌える機会も残すところ卒業式だけとなる。残された時間の短さを思い、まだ終わらないでくれ、と願う。  それでも時は待ってくれない。残すは卒業式公演1度だけ。いよいよスーパーレディに向けて羽ばたこうとする中3の4人を悔いなく見送りたい。外に出ると渋谷の街でも桜の花は開花しつつある。菊地、水野、田口、野津の4人に歩調を合わせるように、もうすぐ満開の時がやってくる。 セットリスト 01 ベリシュビッッ 02 負けるな! 青春ヒザコゾウ 03 ご機嫌! Mr. トロピカロリー 04 FLY AWAY 05 I・J・I 06 オトメゴコロ。 07 マシュマロ色の君と 08 さよなら、涙。 09 アニマリズム 10 Hana*Hana 11 message ~アンコール~ 12 君に届け 13 FRIENDS竹崎清アイドル、ファッション、スポーツ、ゲーム攻略本など幅広く執筆。趣味はライヴ観戦。好きなアーティストを追いかけ世界中どこへでも行きます! 80年代モノに詳しい。
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