12月25日のライブで『わーすた』から卒業する坂元葉月。研究生時代を含めると10年間という長い期間、アイドルを全うしてきた。
「昔は目立つことがほんとに嫌だった」と語る彼女は、いかにしてアイドルになったのか。今回、卒業ライブを前に彼女のアイドル人生を振り返ってもらった。
(前後編の前編)

【写真】坂元葉月が最後に参加した写真集『わーすた旅行記』掲載カット

──ますはアイドルを目指したきっかけから教えてください。

坂元 実はアイドルを始める前に一回だけモデル撮影に参加したことがあって、それがすごく楽しくて。こうやって表に立つのもいいなって思っていた矢先にお父さんが勝手にアイドルオーディション(「avexアイドルオーディション2010」)に応募してたんです(笑)。結局そのオーディションは落ちちゃったんですけど、その後に事務所の方から声をかけてもらって。「普通じゃできない経験だから一回やってみて、合わなかったらそこでやめたらいいし、やるだけやってみたら?」とお母さんに言われて、最初はすごく軽い気持ちでアイドルをスタートしました。

──初めてのオーディションのことは覚えていますか?

坂元 すごいド下手な歌を披露しちゃいました……。後から当時のオーディション映像を見たとき、「もっと真剣に受けるべきじゃない?」と思っちゃうくらい(笑)。

──お父さんは元々、娘にアイドルという職業をやってほしかったんですかね?

坂元 アイドルに限らず、ただ表に立つことをやったら私の性格が変わるんじゃないかなと思ったんだと思います。昔は目立つことがほんとに嫌だったので、いかに周りに馴染むかを重視してて。みんなが自分のことを見てるって思ったら、恥ずかしくて頭が真っ白になるんです。
人としゃべるのもあんまり得意じゃなかったので、決まった友達しかいなかったり。当時は、今が楽しければいいやと思っていました。

──「avexアイドルオーディション2010」後、iDOL Streetの2期生に追加メンバーとして加入。初ステージのことは覚えていますか?

坂元 パフォーマンスのときは大丈夫だったんですけど、自己紹介だけは緊張しました。加入当時は"アイドル"がどういうものなのか分かっていなかったんです。なので、いろんなステージに立つにつれ、「あ、私、すごいことしてるんだな」と緊張してきて(笑)。

──わーすたに加入するまでしばらくiDOL Street研究生時代が続きます。

坂元 スト生のときは「目立ちたくない」というスタンスは変わることなく、いかに端っこで踊るかを考えていて。ただ楽しければそれでいいと思っていました。2期生のほとんどはチキパ(Cheeky Parade=iDOL Street 第2のグループ)のメンバーに選ばれたんですけど、悔しさもなくて、同期のみんながデビューできることがうれしかったんです。

──その後、2012年には『GEM』(iDOL Street 第3のグループ)のスターティングメンバーに抜擢。

坂元 まわりのメンバーたちは小さい頃からダンスや歌を学んでいる子が多くて、ついていくのに必死でした。
そこで、いかに自分が今まで楽をしていて、生半可な気持ちでアイドルをやっていたことに改めて気がついたんです。だからこそ、精一杯頑張ったし、もしGEMの正式メンバーに選ばれなかったらもうアイドルを辞めようと思っていました。

──しかし、結果はGEMの正式メンバーに選ばれませんでした……。

坂元 結果が出たあとに楽屋へ戻ったら同期(iDOL Street 2期生)のみんなが「よく頑張ったね」って温かく迎えてくれて。その言葉を聞いて、「自分の努力はちょっとは実ったのかもしれない。こんなに頑張ったのにここで(アイドルを)辞めてもいいのかな?」って思ったんです。まだアイドルをやりきったわけでもないし、アイドルの"楽しさ"を見つけられていないな、と。そのとき、スタッフさんに「今後、どうする?」と聞かれて、「続けたいです」と言いました。

──その後、『hanarichu(ハナリッチュ)』というアイドルユニットに所属することになりました。

坂元 まさかのセンターだったので、驚きました。すごいところに選ばれてしまったな、と。でも、活動してみると自分が想像していた以上に楽しいことばかりで! 「お花」をテーマにしたアイドルだったので、花市場に挨拶に行ったり、お花のイベントに出させていただいたり、普通じゃできない経験をたくさんさせていただきました。
あとから振り返ってみたら、もしhanarichuがなかったら、アイドルという活動の中で楽しいことが見つからなくて、私はその年にアイドルを辞めていたかもしれません。だから、hanarichuに出会えたことはすごく運がよかったし、感謝しています。

──そして、2015年、坂元さんはいよいよ『わーすた』のメンバーになります。

坂元 当時、半年に一回、偉い方の前で歌やダンスを発表する機会があったんです。そのとき、スタッフさんに「新しいグループを作るんだけどやってみたいですか?」と聞かれたんです。正直、私はスト生を長いことしていたので新グループのメンバーに選ばれると思っていなかったんですけど、ここで「大丈夫です」と言ってしまったら後悔してしまうんじゃないかもと思って「入りたいです!」と強い意思を伝えました。そしたら、その後、私と(松田)美里(=わーすたメンバー)が急に呼ばれて、オンライン通話で「第4弾のグループに2人が選ばれました」と言われて。「わー! 重大なことが起こってしまったぞ!」と、うれしさよりも危機感を感じたことを覚えています(笑)。「楽しいだけじゃダメだな、アイドルとしてもっと頑張らなきゃ」と覚悟しました。

──これまで応援してくれていたファンの皆さんの反応はどうでしたか?

坂元 皆さんすごく喜んでくれて! こんなに私のことを応援してくれてたんだって改めて気づけました。アイドル活動のきっかけを作ってくれたお父さんも「葉月、いけんの?」と言いつつも、すごく喜んでくれて(笑)。正直、ダンスや歌も頑張らなきゃ置いてかれちゃうという焦りの方が大きかったんですけど、「せっかく選んでもらったんだから最後まで頑張りな」と、両親が背中を押してくれました。


──しかし、同年にはアイドルの楽しさを教えてくれた『hanarichu』が活動終了することになりました。

坂元 わーすたと兼任して続けていくことは難しいと分かっていつつも、hanarichuが好きすぎて、すごく悲しかったです……。でも、だからこそhanarichuとして活動できる最後の夏を精一杯楽しんだし、これからは「わーすた一本で頑張ります!」と決意できました。

【後編はこちら】わーすた 坂元葉月ラストインタビュー「ファンのおかげで人間として成長できました」

▽わーすた(The World Standard)
坂元葉月、廣川奈々聖、松田美里、小玉梨々華、三品瑠香からなるデジタルネイティブ世代アイドル。5人最後のグループ写真集『わーすた旅行記』(徳間書店)が絶賛発売中。

▽ライブ インフォメーション情報
2021年12月25日(土)
「The World Standard~わーすたリクエストアワー~」
開場11:15 / 開演12:00 
「The World Standard~坂元葉月 卒業ライブ~」
開場17:00 / 開演17:45 予定
会場:東京・中野サンプラザホール

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