日々グラビア界を彩る、さまざまなジャンルで活躍する美女たち。そんな彼女たちを追いかけるグラビアライター・とり氏が独自の視点でピックアップ、本人の話を交えつつその魅力に迫るシリーズ連載。
今回は、アイドルグループ・Peel the Appleの黒嵜菜々子を語る。

【写真】ビジュアルと中身のギャップが魅力、黒嵜菜々子の撮りおろしカット【15点】

グラビアデビューから約1年。光に照らされた神聖なる少女は、慎ましやかで無垢だった。アイドルグループ「Peel the Apple」のメンバー・黒嵜菜々子。2021年2月に発売された『週刊プレイボーイ』プラチナムプロダクション20周年記念号で初グラビアを披露し、その後、現役高校生にして数々のグラビア誌に登場。そうして着々と表現力を携えてきた彼女も、今年の春、ついに高校を卒業した──。


家族の影響もあって、幼少期から球場に通うほどの野球ファンだという彼女。応援球団は、読売ジャイアンツ。高校では硬式野球部のマネージャーを務め、朝練に励む選手たちを日々支えていたのだとか。しかし、ときを同じくして抱いていた芸能界への夢を捨てきれず、アイドルグループ「26時のマスカレイド」の新メンバーオーディションに応募。最終選考まで残るも、結果は落選。現在所属しているPeel the Appleは、当該オーディションに落選したメンバー8人によって結成されたグループとなっている。


夢を持ち、将来に迷い。自分の気持ちに正直に、ときに悔しい思いをしながら、明るい笑顔を持って今日まで活動を続けてきた。グラビアはそんな10代後半の少女にくゆる、言葉にならない感情を、些細ながらも写してきたと言える。初々しい17歳の瞳。約1年半前、まだPeel the Appleが結成されて間もない頃に撮影された初グラビアを見て、彼女は何を語るのか。

「わぁ、懐かしいですね。
この頃に比べると、今はちょっと痩せた気がします。特に、お腹らへん。というのも実は、この撮影の前日にラーメンを食べてしまったんですよね……。いや、本当はスゴく我慢していたんですよ? 明日は大事な撮影。絶対に食べないぞと決めて、死にそうなくらい空腹を堪えていたんです。

でも、その日はレッスンがあってヘトヘトだったんです。
そしたら帰り際、メンバーが『ラーメン食べに行こう』と盛り上がっていて。そんな話を隣でされたら、行きたくなっちゃうじゃないですか。『菜々子も行っちゃう?』『……行くしかないでしょ!』って。それで、ラーメンを食べてしまったんです。今は、撮影前にラーメンなんて絶対に行きませんけどね!?」

思わず笑ってしまう、The女子高生なエピソード。キラキラ眩い青春のなかでは、こってりラーメンも爽やかだ。


たった1年前だというのに、遠い昔の出来事に感じる口ぶり。自分ごとのようで、自分ごとじゃないような。じっくり話を聞いていると、自身のグラビアに対して、不思議な距離感を持っている印象を受けた。実際、グラビアを見て「自分じゃないみたいです」と語る女の子は多いし、距離感のある話し方はさほど珍しくもないが、客観的に見てもやはり、目の前の少女と写真に写る少女の距離は開いている気がする。

「写真の印象だけだと、『クールそう』『喋ったら怖そう』『近寄りがたそう』と言われることが多いですね。意識しているわけじゃないけど、多分、すまし顔が得意なんだと思います。
つい無意識的のうちにやっちゃっていますね。だから最近は、もっといろんな表情が出せるよう頑張っているんですよ。

ただ、喋ると『話しやすいね』『意外とおバカだね』と言われます(笑)。うふふ。やっぱり、グラビアと実物とでギャップがあるみたいですね。自分のグラビアを見てどう思うか、ですか? 最初のうちは『おぉ~、いい感じ~』と深く考えずに満足していたのが、だんだん出させていただくたびに課題が見つかるようになってきましたね。表情、ポージング、それに体づくり。今では、細かいところまで気になって仕方がないです。

グラビアを始めてから、毎日腹筋をするようになったんですよ。理想的なスタイルの女の子のSNSを見て、モチベをあげています。『私もあんなお腹になりたいな』って。それにヒップアップも欠かせません。お腹はある程度細くなったと思うので、次はお尻を魅力的にすることが目標ですね」

本物か、幻か。グラビアは、リアルとファンタジーの狭間で、うまい具合に読者を惑わせてくる。妄想に耽ったり、女の子の表情に思いを馳せたり。その不透明さが面白い。というのはただの読者の感想。当の女の子からすれば、それは幻でもファンタジーでもなく、シンプルな現実問題だ(そのうえで幻想的に感じる場合もあるのだろうが)。

どうすればもっと多くの人に見てもらえるだろう。どうすれば満足のいくグラビアになるのだろう。グラビアを続けていると悩みは尽きないだろうし、きっとそこに正解はない。それでも自分という人間を見つめ、タレントとしてどう活動していきたいかを具体的に見据え、試行錯誤を続けていれば、結果的にグラビアにも活きてくるはず。

「一度、掲載されたグラビアがニュースになったとき、胸が痛むようなコメントをたくさん書かれてしまったんです。スゴくショックでした。言ってもまだ高校生だし、グラビアをやらない方がいいのかなとか、いろいろ考え込んでしまって。その時期は、いっとき“グラビアいやいや期”になっていましたね。

でも、ヒドイことを言う人以上に、応援してくださる声の方が多かったから。『グラビア良かったよ』『次も楽しみにしているね』。そう言ってくださる方の声に耳を傾けた方が絶対に良いと気付いてから、急激にメンタルが強くなったんです。もっとグラビアを頑張りたい。今は、まだまだ続けていきたい気持ちでいっぱいです」

前向きな姿勢を知ってホッとした。お仕事に一生懸命なのは日頃の活動から伝わってきていたが、Peel the Appleでグラビアをやっているのは彼女しかいないし、1人で抱える不安も大きいだろうと想像していたからだ。そんな心配はご無用だった。グラビア現場の楽しさを語る明るい声音は、幸福感に満ちていた。

「グラビアの現場って、とにかくスタッフさんが面白いんですよ。お話しやすい方ばかりだし、みなさんが気軽に話しかけてくださるから、私も素でいられるというか。『グラビアを頑張りたい』と思えているのは、スタッフさんのおかげと言っても言い過ぎじゃないくらいです。本当に楽しいんですよ。個人的な実感としては、現場の楽しさ=仕上がりの良さです。楽しめば楽しむほど良いグラビアになっていくんです。これって、スゴいことじゃないですか?

現場ごとにお会いするスタッフさんは違いますけど、いろんな人に出会えるのはうれしいです。出会いは宝、なので。今、ちょっと良いこと言いました? ふふっ。意外とそういうキャラなんですよ、私(笑)。メンバーからも『菜々子ってたまにポエマーになるよね』って言われるんですから」

高校を卒業した今もなお、ピュアな心を持ち続けている黒嵜菜々子。アイドルに奮闘し、ゆくゆくは女優を目指す少女がグラビアのフィールドで目指す姿とは。

「今後は大人っぽいテイストのグラビアに挑戦していきたいですね。とは言ったものの、大人なグラビアって何なんだろう? うーん。分からないけど、あまり攻めすぎない感じがいいかな(笑)。あとは写真集。グラビアを続けるからには、いつか絶対に出したいですね」

(文/とり)
▽黒嵜菜々子(くろさき・ななこ)
2003年5月16日生まれ、東京都出身。160センチ。「26時のマスカレイド」の新メンバーオーディションファイナリストで結成されたグループ「Peel the Apple」のメンバーとして活躍中。Peel the Appleの2周年記念イベントが、7月15日(金)19:00~Spotify O-WESTにて開催される。
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