インタビュー前にまずはBEYOOOOONDSについておさらい(ご存知の方は読み飛ばしちゃってください!)。2018年に結成された、ハロー!プロジェクト所属の新ユニット。CHICA#TETSU (チカ#テツ)と雨ノ森 川海 (あめのもり かわうみ)という2つのユニットに、今回登場してくれた平井美葉(ひらい・みよ)、小林萌花(こばやし・ほのか)、里吉うたの(さとよし・うたの)の3名を加えた合体グループが「BEYOOOOONDS」となる。形を変幻自在にビヨーンびよーんと変貌させるスライムのようなグループを目指し、12人の個性豊かなメンバーが日々奮闘中。
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──そもそも、3人はなぜアイドルになろうと思ったんですか?
平井 もともと姉がモーニング娘。さんを好きだったんですよ。それで小田さくらさんが加入したばかりの頃、MVとかを一緒に観るようになって。
──それが何歳くらいのときですか?
平井 中1くらいですね。何て言うのかな……。自分としてはアイドルを好きになった感覚はなかったんです。
──ハロプロ以外のアイドルは受けようと思わなかったんですか?
平井 アイドルではないですが、高1のときに宝塚(音楽学校)を受けました。好きなんですよね。
──いきなり逸材の香りがプンプン漂いますね。フォーメーションダンスに惹かれたとおっしゃっていましたが、平井さん自身ダンスの経験は?
平井 4歳からクラシックバレエを14年くらいやっていました。でも、フォーメーションダンスに惹かれたのは、ダンス経験があったからというわけでもないんです。
──どういうことですか?
平井 フォーメーションダンスは全体が綺麗に揃っているので、ハイクオリティーな作品のような芸術性を感じたんです。だからこそ、他のアイドルグループという選択は私の中にはなくて。
──パフォーマンスに対する意識がすでに高すぎてすごいですね。
──里吉さんはどうですか?
里吉 私がハロプロを好きになったのは小4のときでした。その頃はモーニング娘。の9期さんが好きで、その後新メンバーとして加入した小田さくらさんが大好きになり、そして12期メンバーが入ってきたときに「ついに!」と思ったんです。というのも、そこで初めて同じ年や年下のメンバーが誕生したんですね。牧野真莉愛さんと羽賀朱音さんのことなんですけど。
──12歳でグループに加入して以降ずっと最年少ポジションだった工藤遥さんでさえ、里吉さんの年上に当たるんですね。
里吉 そうなんです。だから、それまでは「お姉さんたちのグループ」というイメージがあったのに、12期メンバーの加入によって「これは他人事じゃないな」と思うようになって。私はダンスを5歳のときから習っていて、それを仕事にしたいという考えもあったので、オーディションを受けることにしました。
──里吉さんのダンスのジャンルは何だったんですか?
里吉 私はストリートダンスです。
──そして最後は小林さんです。音楽学校に通うゴリゴリのピアニストだと伺っていますが、そんな方がなぜアイドルに?
小林 私、モーニング娘。さんのオーディションだったら受けていなかったと思うんですよ。ダンスをやったこともないですし。だけど「“ONLY YOU”オーディション」は「一芸に秀でた人材」ということだったので、歌もダンスもやってこなかったけれど、私にはピアノがある。だから、このオーディションなら活かせると思ったんですね。
──なるほど。もともとハロプロの存在自体はご存じだったんですか?
小林 知っていましたし、好きでした! 好きになったきっかけは学校の先輩からの影響ですね。
──ピアニストとしてそれまでにもステージに立つことはあったと思いますが、アイドルとして立つステージは全然違うものですか?
小林 まったく違いますね。クラシックを弾いていると、拍手をいただくことはあっても、直接レスポンスをもらえるわけではないんです。だから、自分の歌やダンスに対してのレスポンスがもらえるのがずっと羨ましくて、アイドルになろうと思ったのもそこに憧れていたっていうのがありますね。
──親御さんの反応としてはどうでしたか? 娘が突然アイドルになると言い出したら驚いたんじゃないですか?
小林 それが実は、最終審査の手前までずっと内緒でオーディションを受けていたんですよ(笑)。でも、打ち明けたら「あなたの好きにしたらいいんじゃない?」という拍子抜けするくらいあっさりした返事でしたね。音大もアイドルも両立させるって宣言したからかもしれないですけど。
──とはいえ、音大生と芸能活動の両立は想像を絶する大変さだと思うのですが、そこに対してのためらいはなかったんですか?
小林 確かに学校に通うのは大変だと思います。でも、芸能活動をせずに大学に通って卒業したとしても、それで食べて行けるのはそれこそ一握りの世界。卒業時期になって、自分がそれまでやってきたことが活かせるのかも分からない。だから、ピアノが確実に活きるであろう「“ONLY YOU”オーディション」を受けました。
──BEYOOOOONDSは、そんな奇跡的な巡り合わせで集まったお3方を含めた12人のグループですが、これからどう活動していきたいですか?
里吉 12人の個性がバラバラなところを活かして、可愛い曲だけでなくかっこいい曲や、現在披露しているようなちょっとコミカルな曲、他にはないような路線の曲、と全部網羅して幅広い楽曲ができたらいいなと思います。
──ちなみに前からいた9人とは、すぐに打ち解けることができましたか?
里吉 最近になってぐっと近づけたかな、と思います。
平井 年齢的な問題とキャリア的な長さの兼ね合いがあって、最初はお互いにどう接していいのか分からなかったんですよ。
──清野桃々姫さんなんてまだ14歳で、みなさんとは4~5歳の差がありますしね
里吉 でも、今は敬語もなくなりました! 「BEYOOOOONDSには先輩も後輩もない。
平井 「さん」付けを3回したら、ジュース1本を奢るという罰則ルールができたんですよ(笑)。
小林 そのおかげか、敬語をなくしてからは年下メンバーの年下らしい一面に対して、直接「可愛い」って言えるようになりました。
──実際に活動が始まってみて、想像していたアイドルと違うなと思うことはありますか?
小林 挨拶ですね。オーディションのときから声が小さいと注意されていたんです。自分的には一番大きくしているつもりだったけど、「もっと大きく!」って何度も注意されたことで、こんなに大きな声で挨拶しなきゃいけないんだって驚きました。
──学校や部活以上に芸能界で求められることですよね。他には何かありますか?
里吉 私はマイクの扱いです。加入前はとにかく踊る専門だったので、マイクへ声の乗せかたも分からなくて。実際に声が乗ったとしても、大勢の人に伝わるような話し方はどうしたらいいんだろうって研究したり、踊っているときにマイクが手から落ちないように練習しましたね。
──逆に、アイドルになってみてうれしかったことはありますか?
平井 やっぱり一番は、ずっとファンとして観ていたメンバーさんと実際に話ができることですね。
──すごくストイックですね。裏でというのは、声だし代わり的なことですか?
平井 いや、ステージに出る前に気持ちの足並みをそろえる感じに近いと思います。
里吉 4人なので、大きいステージに立つとどうしても距離ができちゃうんです。だから、ステージに立つ前にこの曲は4人で歌っているんだぞって意識を再確認するイメージですね。
──最高のエピソードじゃないですか!
里吉 先輩には本当にたくさん助けていただいています。
──小林さんは今回のハロコンはどうでしたか?
小林 BEYOOOOONDSの新曲、『アツイ!』のイントロでピアノを弾かせてもらっているんですけど、弾いている最中や弾く前にも「ほのか~!」って声援が聴こえるんですよ。終わったあとも必ず反応があって……。最高に気持ちいいです!
──やっぱり歓声をもらったり、メンバーカラーのサイリウムを振ってもらえるのは気持ちいいものですか?
里吉 もちろんですよ!
平井 お披露目のときにメンバーカラーも発表になったんですけど、そのときからもうそれぞれに合わせて振ってくださって。
里吉 お見送り会のときに実際に「うたのちゃんの色を振ったよ!」って言っていただけたのが改めてすごくうれしかったです。
──ファンという存在そのものが3人にとっては初めてのことですもんね。
平井 そうなんです。私、基本的に人前で踊ったりすることがなくて。誰かの前で踊ることがあったとしても知り合いにだけだったんです。だから今回、自分の踊りに対してのレスポンスをもらえて、間違っていなかったんだっていうのをすごく感じました。
──「間違っていなかった」というのはどういうことですか?
平井 これまで自分がやってきたダンスが、ちゃんとステージで通用するものだったんだって安心したというか。あとはブログも、私の考えに対して「自分はこう思う」ってコメントをくれたりして、みなさんとコミュニケーンを取れるのがすごくうれしいですね。
──いやあ、お話を聞けば聞くほどしっかりした3人ですね。最後に改めて、これからの展望をお願いします。
里吉 実は私、自分で振り付けをするのも好きなんですよ。なので、それもやってみたいなと思いますし、自分の声を1つの武器として育てていきたいです。
──可愛らしい声ですよね。声優のお仕事もできてしまいそうな。
里吉 ありがとうございます。ただ、昔は「変な声」って言われたこともあって、すごくコンプレックスだったんです。でも、一度だけ舞台に立たせていただいたときに演出の方に良い声だよって言ってもらえたのがすごくうれしかったので、これからは武器にしていけたらなと思います。あとは、好きなものがたくさんあるので、積極的に発信してファンの方と共有していけるようにドンドン頑張っていきたいです!
小林 私は何もしないことが苦手なので、自分の限界に挑む気持ちでいろんなことに挑戦したいです。学校との両立も含めて、今までやってきたものを活かして頑張るので、そういう姿を見て、みなさんに元気になってもらえたらうれしいです。
──では最後に平井さん。
平井 現役大学生でハロプロに入るって、前例がないことじゃないですか。なので私の加入を聞いて驚いた方もいると思うんです。でも、18年間普通に暮らしてきたからこそ得られたものが絶対にあるはずなので、遅めの加入を引け目に思わずに強みにしていけたらなと。あとは、作曲や作詞にも挑戦したいです。もちろんダンスは一番の強みなので磨いていきたいですし、ファンの方の考える「アイドルダンス」を壊していきたいなって思います。
──BEYOOOOONDS自体がそういう革新的なものを目指すグループですもんね。
平井 やっぱりパフォーマンスのクオリティの高さを含めて、みなさんハロプロのファンになってくださったんだと思いますし、これからもそこは保ち続けた上で、1つひとつの動きの美しさというか、動きが音を奏でるような感覚を知っていただけたらなと思います。
(『月刊エンタメ』2019年5月号掲載のインタビューを加筆)
▽里吉うたの(さとよし・うたの) ダンスとDIYが得意なハロプロ大好きガール
2000年9月22日生まれ、 東京都出身。157センチ。A型。 ニックネームは「うーたん」。 メンバーカラーはミディアムブルー。 尊敬する先輩は小田さくら(モーニング娘。’19)、中西香菜(アンジュルム)。
▽平井美葉(ひらい・みよ) メンバーにすでにモテモテなバレエ経験者
1999年12月11日生まれ、 東京都出身。 156センチ。A型。ニックネームは「みよ」。 メンバーカラーはパープル。 尊敬する先輩は石田亜佑美、野中美希(ともにモーニング娘。’19)。
▽小林萌花(こばやし・ほのか) ブログで深い音楽論を展開する ピアノ少女
2000年8月16日生まれ、 東京都出身。163.8センチ。 血液型不明。 ニックネームは「ほのか」。 メンバーカラーはグリーン。 尊敬する先輩は佐藤優樹(モーニング娘。’19)、上國料萌衣(アンジュルム)。
全労済ホール/スペース・ゼロ提携公演
演劇女子部「不思議の国のアリスたち」
4月19日(金)~4月29日(月・祝)に全労済ホール/スペース・ゼロにて上演。BEYOOOOONDSにとって初の主演舞台となる。歌・ダンス・ジャグリング・マジックを織り込んだパフォーマンス・ショーとなっている。またハロプロOGの須藤茉麻も出演する。