現在放送中のテレビドラマ『unknown』(テレビ朝日系)で主演を務める田中圭、5月26日より公開中の映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』で岸辺露伴を演じる高橋一生、そして7月期の新ドラマ『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)で主演に抜てきされた中村倫也――。いずれも今をときめく名俳優だが、彼らは共通して長い下積み時代を経験しており、若手の頃は意外な作品でチョイ役として顔を見せていたのだ。
そこで今回は、3人が今ほど知名度のなかった時代の出演作品を振り返っていこう。

【関連写真】見た目からしてインパクト大、田中圭史上最も強烈なキャラクター【3点】

田中圭は2002年に放送された『ごくせん』(日本テレビ系)第1シリーズの10話にて、大野という生徒役を演じている。出来心から万引きを働いてしまい、ひょんなことから松本潤演じる沢田慎らのグループに罪をなすりつけてしまうという役どころだった。

また翌2003年は、『WATER BOYS』(フジテレビ系)で山田孝之演じる主人公・進藤勘九郎の親友役を務め、脇役ながら注目を集めることに。同作には星野源も端役で出演しており、今年5月に再放送された際には、2人の初々しい姿が話題になっていた。

ちなみにドラマの他にも、バラエティ番組『トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~』(フジテレビ系)ではトリビアの検証VTRにたびたび登場。
何の脈絡もなく微笑みかける「謎の青年」として話題を呼び、計4回の出演を果たしている。

以前放送された『TOKIOカケル』(フジテレビ系)で田中本人が語ったところによると、『トリビアの泉』への出演は本来もっと続く予定だったのこと。実際は4回目で最後になってしまったが、ブレイク後も同番組への出演を覚えてくれているファンは多いらしい。

また当時番組MCを務めていた俳優・八嶋智人も自身のツイッターで「そう言えば田中圭くんはトリビアの泉に出てたなぁ」と反応したが、続けて「忘れてた」ともコメントしている。

その後、田中はバラエティ番組に出演する機会が増え、2007年10月からは『どうぶつ奇想天外!』(TBS系)にレギュラー解答者として出演するように。ときに海外ロケもこなし、7年半ぶりに復活した3時間スペシャルでは、アメリカ合衆国・フロリダ州で幻の巨大魚「ゴリアテ・グルーパー」探しに奮闘していた。


高橋一生が俳優として名を広めるきっかけとなった作品といえば、2015年に放送されたテレビドラマ『民王』(テレビ朝日系)が思いつくだろう。しかし実を言うと、彼が役者として芸能界の門を叩いたのは幼少期の頃だった。

子役デビューとなったのは、1990年公開の映画『ほしをつぐもの』。当時まだ10歳でありながら主演のビートたけしと共演し、その後1995年にはスタジオジブリの名作『耳をすませば』で天沢聖司の声を担当している。

そして2004年にテレビドラマ『怪奇大家族』(テレビ東京系)で連続ドラマ初主演を射止めたが、以降は主要人物を演じる機会に恵まれず……。ブレイクしたのはおよそ10年先の話だ。


そんな高橋だが、意外にも『3年B組金八先生』(TBS系)への出演歴がある。1999年に放送された第5シリーズに寿司屋の配達員として登場しており、家出した亀梨和也演じる深川明彦と一悶着繰り広げていた。

さらに2000年放送の『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)では、長瀬智也演じる真島誠の旧友・森永和範を熱演。長髪の引きこもり青年というインパクトある役柄で、当時高橋はまだ19歳だった。主演の長瀬とは趣味(スケートボード)が合い、その頃から良い兄貴として仲良くさせてもらっていたという。

他にも2004年は映画『世界の中心で、愛をさけぶ』で高校生時代の大木龍之介役、同年に公開された『スウィングガールズ』では吹奏楽部の部長を務めるなど、実は数々の名作に出演していたのだ。


業界きってのカメレオン俳優として知られる中村倫也も、長く無名時代を経験した一人。2005年公開の『七人の弔』で映画デビューを果たし、同年放送のテレビドラマ『H2~君といた日々』(TBS系)で連ドラ初出演を飾った。

そして2007年には、社会現象にもなったテレビドラマ『ライフ』(フジテレビ系)で主人公のクラスメイト・石井知典を担当。ややチャラい今どき男子の石井と打って変わり、2010年のドラマ『ヤンキー君とメガネちゃん』(TBS系)ではクラス随一の地味キャラ・松山啓介役を演じている。

いずれもメインとは言えないものの、作品にとっては重要な役回りとなることが多い。中村のバイプレーヤーぶりは、キャリアの初期から長年かけて培われたものだと言えるだろう。


そんな中村の真骨頂とも言える七変化ぶりを世に知らしめたのが、2016年放送のテレビドラマ『闇金ウシジマくん Season3』(TBS系)だ。原作の「洗脳くん」にあたるエピソードでゲスな詐欺師・神堂大道役として登場し、言葉巧みにターゲットを洗脳していく怪演ぶりは、ファンの間で語り草になっている。

実は中村自身、同シリーズのファンだったらしく、それだけにオファーが来た時には感激したそうだ。洗脳に関する書物を読みあさるなど役作りにも時間をかけ、映像化不可能といわれた「洗脳くん」を見事やり遂げた。

今ではテレビや映画に引っ張りだこの3人だが、歩んできたキャリアは実に地道なものだった。長い下積み時代があったからこそ、今の彼らがあるのだとしみじみ思う。


【あわせて読む】上白石萌音、森七菜、原菜乃華…「次に来る女優」を次々と見出す新海誠の審美眼