【写真】圧倒的な色気を放つ錦戸亮の演技も話題に、『離婚しようよ』場面カット【7点】
同作品は宮藤官九郎と大石静が脚本を担当し、松坂桃李が主演。次々と問題を引き起こす3世議員・東海林大志を演じ、その妻で国民的女優・黒澤ゆい役を仲里依紗が務めている。2人は結婚5年目の夫婦で世間体のためにおしどり夫婦を演じているが、実際は動画撮影のときくらいしかまともに会話をしないほど冷めきった関係に。ともに離婚を望んでいるものの、2人の結婚により得をする権力者が大勢いるため、すぐには別れられず離婚へ向けて突き進んでいくコメディ作品となっている。(※以下、多少のネタバレを含みます)
近年、離婚を扱ってヒットしているドラマは数多い。『最高の離婚(2013年)』、『リコカツ(2021年)』、『あなたがしてくれなくても(2023年)』などが挙げられるが、これらと『離婚しようよ』が異なるのは明確に離婚を目指していることだ。上記の3作品はやり直すのかどうなのかというところで視聴者を引き付けていたが、『離婚しようよ』は一貫して離婚に突き進み、その過程をコメディタッチで楽しむことができる。
また、同作品はTBS制作だが、いい意味で「Netflixっぽくない」作品となっている。Netflixの作品といえば『サンクチュアリ』や『今際の国のアリス』など一目でスケールや費やした金額の大きさに驚かされるが、『離婚しようよ』はそれとは一線を画す。
ドメスティックな離婚というテーマの中で地方選挙や芸能界でのスキャンダルにスポットライトを当て、最後までポップに作品をまとめている。重厚な作品ではない代わりに全9話・約60分というボリュームの大きさを感じさせず、すっと見進めることができる。
主役である大志の成長物語として見ても興味深い。
どうしようもない新人議員だったはずの大志が一生懸命に選挙活動を行っていき、もちろんこれまでの不祥事が帳消しになるわけではないのだが、なぜだか応援したくなってしまう不思議な魅力を持っている。
さらに、険悪であったはずの大志とゆいが友達のように話し合える瞬間がドラマ中盤には訪れ、どうしてもネガティブなイメージとして捉えられがちな離婚をポジティブなイメージとしても転化している。離婚というテーマを一貫してポップに描いてきた同作品だが、そうした関係性を通して離婚について改めて考えるきっかけを与えてくれる。
最後に忘れてはいけないのが、ゆいの不倫相手加納恭二を演じた錦戸亮の存在だ。恭二も大志同様にダメ男ではあるのだが、何より大きなインパクトを与えているのがその色気。男性である筆者から見ても「エロく」、見る人すべてを強烈に惹きつける。このキャラクターが物語に大きな影響を及ぼし、物語に深さと厚みを加えている。
ストーリー、テーマ、キャラクターそのすべてが魅力的な「離婚しようよ」。いつ見ても後悔しない作品となっているはずだ。
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