【関連写真】吉岡里帆、艶やか着物の"どんぎづね"さんCMオフショット
例えば10月24日から放送が始まるドラマ『マイホームヒーロー』(TBS系)の主演は、俳優・佐々木蔵之介。それまではごく普通のお父さんだったが、愛する娘を守るために殺人犯になってしまう“鳥栖哲雄”という役を演じる。
同ドラマの原作は、今年4月にアニメ化も果たした人気コミックス。今回は異例ともいえる映画とドラマの同時制作という形で実写化され、そのドラマ版が毎週火曜深夜から放送されるというわけだ。
佐々木を主演に迎えて映画&ドラマを作ろうという企画の段階から、相当力が入っていることがうかがえるが、脇を固めるのも齋藤飛鳥や木村多江など、プライム帯のドラマと比べて遜色がないキャスト陣だ。またスタッフ陣も2021年4月期の『ドラゴン桜』や『半沢直樹』などでディレクターを務めた青山貴洋氏をはじめとする、TBSが誇るクリエイターが勢ぞろいしている。
もちろん豪華なのは『マイホームヒーロー』だけではない。他にも吉岡里帆主演の『時をかけるな、恋人たち』(フジテレビ系)や、阿部寛主演の『すべて忘れてしまうから』(テレビ東京系)などが例に挙げられるだろう。
こうしてまとめると、テレビ業界全体が深夜ドラマに予算を注ぎ込み始めたようにも見える。だが、どちらかといえば“深夜ドラマに力を入れている”というより、“プライム帯にこだわらなくなった”という見方のほうが正確ではないだろうか。
深夜ドラマに限らず、最近のドラマ作品全般に共通していえることは、“テレビではなくても見られる”という点にある。
実際に今年の夏クールに放送された菊池風磨主演の『ウソ婚』(フジテレビ系)は、深夜枠の30分ドラマだったのにもかかわらず、無料見逃し配信再生数(カンテレドーガ、TVer)が全話累計で2,200万回を突破。これはカンテレ連続ドラマのなかで歴代1位の快挙だったようで、9月26日に放送された最終話のTVerリアルタイム配信同時接続数に関してもカンテレ歴代1位を記録している。
SNS上でも「#ウソ婚」が世界・日本のトレンド1位になるほどの大反響を巻き起こすなど、もはや話題になるのに放送時間は関係ないといった勢いだ。
思い返せば俳優・吉田鋼太郎がヒロインを演じた大ヒットドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)も、当初は深夜枠の単発ドラマだった。ところがSNSなどで口コミが広まったことで人気に火がつき、そこから連続ドラマ化、劇場映画化、続編制作などがあれよあれよと決まって社会現象に。要は内容がおもしろければ、テレビ放映の時間帯にこだわらなくても、ネット上で話題になって人が人を呼ぶ状態になるのが今の時代なのだ。
他にも口コミで広まるような攻めた内容は深夜ドラマだからこそ、という事情もあるのだろう。今期の『マイホームヒーロー』はまさにそうで、やはり主人公が殺人犯という尖った設定は、深夜ドラマではないとやりづらいのかもしれない。
ネットでいつでも連続ドラマを見られるようになったからこそ、“時間帯”ではなく“内容”で勝負するようになったテレビ業界。プライム帯のドラマだけでなく、深夜ドラマにもより一層注目していきたい。
【あわせて読む】早くも“覇権”の香り…『時をかけるな、恋人たち』ヒットのカギを握る“吉岡里帆”の存在