【関連写真】『フェルマーの料理』に出演する小芝風花
まずは月曜21時放送の『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』から。本作は、クリスマスの雰囲気が漂う横浜で起きた銃殺事件をきっかけに、その容疑をかけられた勝呂寺(すぐろじ/二宮和也)と、その事件現場で中継を行う「横浜テレビ」の報道キャスター倉内(中谷美紀)、さらにはクリスマスディナーの準備に追われていた老舗レストランのシェフ立葵(たちあおい/大沢たかお)の1日が動き出すというあらすじ。
二宮和也や大沢たかお、中谷美紀の3名がトリプル主演として名を連ねるドラマで、関わりを持たない3人が過ごす”クリスマスイブの1日”を1クールかけて描いていく。前クールドラマ『VIVANT』(TBS)でも謎多き役柄を演じていた二宮だったが、今回は殺人の容疑をかけられ、奔走しながら逃げ惑う役に挑戦している。
バラエティ番組やYoutubeチャンネルで見せる飄々とした姿とは裏腹に、演技で見せる影と裏のあるキャラクターがよく似合う。“運動”のイメージの少ない二宮が、走ったり逃げたりする様子にも注目していきたい。
さらにドジで頼りないシェフを演じる大沢は、映画『キングダム』での王騎将軍の印象を覆す、細身な姿で登場している。また、中谷がキャスターとしてニュースを読み上げるシーンでは、見事なアナウンス力も発揮。3名が銃殺事件を軸にどのように絡み合うかに期待だ。
火曜22時放送の『マイ・セカンド・アオハル』にも注目したい。30歳で一念発起して大学生になった白玉佐弥子(広瀬アリス)と、大学生として建築学科で勉強する小笠原拓(道枝駿佑・なにわ男子)のふたりが中心となって物語が繰り広げられる。
建築学科の面々には、伊原六花をはじめ、箭内夢菜、飯沼愛、水沢林太郎、濱尾ノリタカらフレッシュな俳優陣が出揃っており、佐弥子や拓との三角関係を想像させる有名建築家・日向を安藤政信が落ち着いた雰囲気で演じている。
佐弥子に限らず拓の過去なども明かされるだろうが、クールで多くを語らない拓が、1話の最後で佐弥子に見せた笑顔には視聴者の多くがキュンとさせられたはず。2話以降に期待も高まる。
さらに、2022年放送のドラマ『silent』のスタッフ陣が再集結とあって放送前から話題を呼んだのが、木曜22時放送の『いちばんすきな花』だ。多部未華子、松下洸平、神尾楓珠、今田美桜の4人が主演を努め、「男女の間に、友情は成立しますか?」という問いをテーマにしている。
1話では、塾講師のゆくえ(多部)と、結婚を目前にして破談になった春木(松下)、美容師として働く深雪(今田)、イラストレーターを夢見る佐藤(神尾)の4人が偶然出会うところまで描かれた。
今後それぞれの過去や価値観が描かれることになるだろうが、初回では「男女の友情」よりも社会が「二人組」を作りたがることの違和感を重視していたように思う。とはいえ2人が明言してこなかった曖昧なことや、言葉にしづらかった感情を汲んでいるのは『silent』同様、今作でも健在といえるだろう。
最後に、どこかスポ根のようなアツさを感じさせたのが金曜22時放送の『フェルマーの料理』。数学者になる夢に挫折した北田岳(高橋文哉)と、若きカリスマとして地位を獲得した天才シェフ朝倉海(志尊淳)の二人が出会うことで、化学反応を起こすという物語になっている。
調理師免許を持つ高橋が披露する調理シーンから目が話せないが、二つ星レストランのオーナーシェフを演じる志尊の手さばきも、初回から様になっていた。数学の才能を活かして料理の門を叩くことになった岳だが、2話以降は極めることの難しさと、朝倉らレストランのスタッフとの交流を通して成長する姿が描かれるだろう。
ここで紹介した4作品の中にはすでに2話以降が放送されているドラマもあるが、TVerや各種動画のサブスクリプサービスで1話の見逃し配信も行っている。
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