4ヶ月以上にわたって山下智久を追ったHuluオリジナルドキュメンタリー『挑戦者・山下智久』の最終話が配信された。同じくHuluオリジナルのドラマ『神の雫/Drops of God』にて海外ドラマ初主演を飾ったほか、2023年6月に配信されたAmazonオリジナル映画『SEE HEAR LOVE~見えなくても聞こえなくても愛してる』に主演、さらには5年ぶりとなるソロライブツアー開催など、その活動の勢いはとどまるところを知らない。


【画像】山下智久が繊細な演技で魅せる『SEE HEAR LOVE~見えなくても聞こえなくても愛してる』

とはいえ、山下も芸能生活27年。キャリアを考えると「挑戦者」と呼べるような立場ではないのでは、と思う人も少なくないだろう。2023年に配信が開始された2作品を中心に、2023年の山下の挑戦を追いたい。

『神の雫』は同名漫画(作:亜樹直、画:オキモト・シュウ)を原作とし、亀梨和也主演のテレビドラマ(2009年、日本テレビ)以来、映像化は2度目だ。しかし山下が出演した今回の『神の雫/Drops of God』は、国際色豊かな設定がふんだんに組み込まれている。

原作では男性キャラクターであった主人公”神咲雫”をフランス人女性・カミーユに置き換えたうえで、山下演じるワイン評論家・遠峰一青を今回の主人公に据えた。
ワインを題材に、莫大な遺産を懸けたバトルかと思いきや、血縁や家族、そして愛する人との出会いの物語である。

大胆な解釈を踏まえ新たな主人公として設定された一青は、たしかに出演シーン数こそカミーユと同等だったといえるが、海外キャストのなかでもその存在感は圧倒的であった。ワインの味に敏感になるため、撮影期間中は厳しいダイエットを続けたという。たしかに本作を観ると、私たちがイメージする”山P”よりもかなり痩せこけているのが一目瞭然で驚いたほどだ。それに加え、海外の俳優との英語や日本語での芝居の掛け合いも見応えがある。

他方で、主演映画『SEE HEAR LOVE~見えなくても聞こえなくても愛してる』では、漫画家として活躍の兆しが見えながらも、病気を発症したことで目が不自由になった主人公・泉本真治を演じた。


『神の雫』で見せたような圧倒的なビジュアルの変化はないが、だからこそ視力を失って手探りでものを探し当てたり、はじめて点字を触ったときの絶望感がよく表現されている。耳が聞こえない女性・響(新木優子)と心を通わせていくセリフのないシーンや、目線の交わらない細かい場面まで繊細さを保っていた。

本作は、韓国で大ヒットした映画『私の頭の中の消しゴム』のイ・ジェハン監督作品。作品の言語こそ日本語だったものの、国外のスタッフとの仕事を経験した。山下自身、新たな国際的視点を取り入れたことだろう。

そもそも山下智久の英語力は以前から注目されていた。
所属していたグループからの脱退を表明し、ソロ活動に専念しはじめた2011年には『山下智久・ルート66~たった一人のアメリカ』にてアメリカ縦断を体験。2014、2015年には英語をテーマにしたバラエティ番組でも司会を務め、主演ドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』(フジテレビ)で英語のセリフも披露している。語学力向上のための積み重ねが、今回のような海外作品出演につながったのは言うまでもない。

ドキュメンタリー『挑戦者・山下智久』で、山下は「多様な配信サービスとコンテンツの拡充により、海外で仕事をすることだけが、海外進出ではない時代」と語っていた。とはいえ語学力をはじめ、演技や歌、ダンスなど多岐にわたるまで山下自身が「挑戦者」であり続けるための努力を惜しまなかったからこそ、今の活躍がある。2023年は世界のファンも増やした1年と言えるだろう。


山下智久の活動は続く。2022年に放送された主演ドラマ『正直不動産』(NHK)が人気を博し、シリーズ化が決定。2024年のはじめは『正直不動産』の永瀬財地として山下が観られるだろう。もちろん日本での仕事も忘れていない。

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