2024年1月スタートの連続ドラマ『消せない『私』ー復讐の連鎖ー』(日本テレビ)、『こんなところで裏切り飯』(中京テレビ、1月18日初回)の2作品で主演を務める女優、志田彩良。今回が連続ドラマ初主演だ。
さらに櫻井海音、出口夏希主演のドラマ『アオハライド』(WOWOW)の「Season2」(1月19日より開始)にも出演している。

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たしかに存在感を放つ女優ではあるが、これまで目立った主演作があるわけではない。2024年に飛躍が期待できる気鋭の女優のひとりで、今期のキャスティングは大抜擢といえるだろう。この機会にチェックしておきたい過去作品を紹介する。

ドラマ『ドラゴン桜 第2シリーズ』(TBS、2021)で志田が演じた小杉麻里は、主人公・桜木建二(阿部寛)が率いる東大合格を専門にした校内の進学コース、東大専科のひとり。「女に学歴は必要ない」と考えるステレオタイプな父親を持ち、暗めで自信のない、静かで俯きがちな女子高生を演じた。
父親への思いを語る場面では、はらはらと涙する姿に感情移入させられる。

さらにドラマ『君の花になる』(TBS 、2022)では、作中でのアイドルグループ「8LOOM」のメンバーが通う銭湯の娘・池岡奈緒を演じた。グループのセンターである佐神弾(高橋文哉)へ恋心を抱きながら、メンバーの古町有起哉(綱啓永)からは好意を寄せられる板挟み状態。明るくて笑顔の多い池岡は、少しずつ多忙になる「8LOOM」メンバーにとって癒やしのひとつとなっていた。

弾(高橋)へ直接思いを伝える場面もあり、はっきりしていてサバサバした女性でもある。『ドラゴン桜』の小杉とは正反対なキャラクターだ。
両方志田が演じていると知らなければ、気づかないほど明確な演じ分けがされていた。

『アオハライド』(WOWOW、2023)は、過去に実写映画化もされた人気少女漫画が原作で、今回は「Season1、2」と2期に分けてドラマ化。志田は、主人公である馬渕洸(櫻井)や吉岡双葉(出口)と同じクラスでありながら、クラスメイトとは一定以上の距離を置いて学校生活を送る村尾修子を演じている。

「Season1」で修子は、馬渕洸の兄・陽一(兼近大樹)にひそかに想いを寄せており、陽一に近づこうとクラス委員に名乗り出る。委員会活動のなかで、洸や双葉らとも少しずつ距離を縮めているところだ。一見クールな印象もあるが、一度仲良くなると友達思いで心優しい女子高生だ。


また、映画『かそけきサンカヨウ』(2021)も必見の作品。志田演じる主人公・陽の父親・直(井浦新)と、陽の同級生・陸(鈴鹿央士)らとの群像劇で、家族のかたちや淡い恋心を見つめ直す。素朴だが目が離せなくなる可憐さを持つ志田に最適な役柄であり、等身大の演技で好印象だった。

これまでの作品を踏まえると『君の花になる』では快活な女性を演じていたが、ここで紹介した他3作品では、大人しく、ひかえめで、静かな印象が強い。志田は今年25歳になるが、幼くも見える表情や華奢な体型からか、これまで女子高生役や似た性質の女性を演じることも多かった。

その点、『消せない『私』ー復讐の連鎖ー』(日本テレビ)の1話では、すでにこれまでの志田のイメージを覆す演技を披露している。
志田の過去作品を見たことがある視聴者にとっては、作品の題材を含め衝撃を受けたはずだ。それだけこの作品に注力し、自身の飛躍を誓った作品でもあるだろう。今期ドラマのなかでも演技面で期待できる1作品だ。

一方、1月18日スタートの『こんなところで裏切り飯』は伊武雅刀との50歳差W主演。こちらでは、さまざまなグルメを堪能する志田が見られそうだ。1クールの中でこれほど毛色の違う主人公を同じ女優が演じると、視聴者としての楽しみも広がる。
いずれも深夜帯のドラマだが、志田彩良がゴールデン・プライム帯の作品で大役をつかむ日も近いだろう。

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