2月9日(金)から、韓国映画『同感 時が交差する初恋』が公開されている。本作は、キム・ハヌルとユ・ジテが主演した『リメンバー・ミー』(2000年)のリメイク。
20年以上の時を経て、ファンタジックなラブストーリーが蘇った。

【写真】『同感 時が交差する初恋』ポスタービジュアル

舞台は1999年。韓国大学機械工学科の3年生キム・ヨン(ヨ・ジング)は、新入生のソ・ハンソル(キム・へユン)に学校のサークルを案内しているうちに、彼女に恋心を抱いてしまう。そんなある日、同じ工学科の親友キム・ウンソン(ぺ・イニョク)から借りた古い無線機で、キム・ムニ(チョ・イヒョン)という女性と交信。

同じ大学に通っていることを知り、2人は構内で会うことを約束するが、時間になっても彼女は現れない。ヨンはムニに約束をすっぽかしたことを責めるが、彼女も雨の中で待ちぼうけをくらったと主張。
やがて2人は、ある驚愕の<事実>を知ることになる…。

いま思わず、ある驚愕の<事実>と思わせぶりな書き方をしてしまったが、“時が交差する初恋”というタイトルから、時空を超えたラブストーリーであることは察しがつくはず。タイムスリップ×ラブロマンスという掛け算は、これまで多くの映画で描かれてきた鉄板のフォーマット。洋の東西を問わず、数多くの名作が作られてきた。

『ある日どこかで』(1980年)、『ニューヨークの恋人』(2001年)、『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(2013年)。日本でも、『時をかける少女』(1983年)、『君の名は。
』(2016年)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016年)といった作品が挙げられるだろう。

だがこの『同感 時が交差する初恋』は、自分の肉体が別の時代へ移動するのではなく、1999年の時代に生きるヨンと2022年の時代に生きるムニが、無線機を通してコミュニケーションをはかっていく。過去に起きたことによって未来が変化するタイムパラドックスを考えると、常に判断を求められるのは過去にいるヨンで、ムニはあくまで傍観者でしかない。

ココが非常にミソで、その設定ゆえに作品は意外にも非常にビターな青春映画として機能している。未来を知っているからこそ、自分は何を為すべきなのか。前半が明るいラブコメ的トーンだったのに対し、後半になるにつれてその葛藤が重くのしかかってくる。
タイムスリップというSF要素を入れつつも、青春の蹉跌を真正面からしっかりと描いた作品なのだ。

皆既月食、降りしきる雨、ノソノソと歩く亀。監督と脚本を務めたソ・ウニョンは、理工学科を卒業して半導体研究員として働いていたという経歴を持つバリバリの理系だが、巧みなストーリーテリングもさることながら、何よりもファンタジックな物語を補強するビジュアル・センスが際立っている。アオハル・デイズのビタースウィート感、そこかしこにインサートされたSFファンタジー感。『同感 時が交差する初恋』は、観る者の感情を大きく揺り動かす作品に仕上がっている。

〇作品情報
監督:ソ・ウニョンほか
出演:ヨ・ジング、チョ・イヒョン、キム・ヘユン、ナ・イヌ、ペ・イニョク
2022年/韓国/韓国語/114分/ビスタサイズ/5.1ch
字幕:根本理恵
原題:동감 英題:Ditto
配給:KADOKAWA
公式サイト:https://doukan-movie.jp

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