放送中のドラマ『となりのナースエイド』に主演している川栄李奈。民放GP帯の連続ドラマ初主演で、新人ナースエイドの主人公・桜庭澪を演じている。
筋の通った医療ドラマに加えミステリー要素もあり、今期ドラマのなかでも見応えのある1作品だ。今回は川栄の演技に注目したい。

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そもそもナースエイドという言葉を知っている人はどれだけいるだろうか。看護助手とも言われ、患者の食事や入浴、排泄などのサポートのほか、会話を重ねることで信頼関係も築く。ドラマでは「医療現場の縁の下の力持ち」として描いており、これまでの医療ドラマとは違った角度から病院を見つめている。

原作は現役医師でありながら作家としても活躍する知念実希人の同名小説で、脚本はドラマ『ドラゴン桜 第2シリーズ』(2021、TBS)などを手掛け、放送作家として活動するオークラが担当。
ドラマ化にあたって、より見やすく親しみやすいコミカルな要素を取り入れている。

川栄が演じる桜庭は、新人ナースエイドながら診断や医療行為に対して細かく口出しし、病院内で目をつけられていく。しかし同病院の天才外科医である竜崎大河(高杉真宙)は桜庭の的確な指示と判断能力を買っていた。桜庭は外科医としての過去を持ちながらも、その経歴を隠してナースエイドとして働いていたのだった。

桜庭の姉は全身にガンが同時多発的に発生する「シムネス」という病気で、不治の病に侵されたことで自死を選んでしまう。そのことがトラウマとなり桜庭自身も医師として医療行為が行えなくなっていたのだ。


本作の見どころは桜庭のナースエイドとしての活躍だけでなく、姉の死の真相を追うミステリー要素も含まれていることだろう。他方、高杉真宙演じる竜崎とシリアスからコミカルな話題まで、さまざまな会話が繰り広げられることも魅力的だ。

川栄がアイドルグループ・AKB48の元メンバーであることは多くの人の知るところだろうが、2010年代後半からは女優として活躍している印象が強い。近年の出演作であるドラマ『知ってるワイフ』(2021、フジテレビ)では、大倉忠義演じる主人公・剣崎元春の妹・なぎさを演じた。

さらに2021年後期の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』のヒロインとして上白石萌音深津絵里とともにトリプル主演を務めたことでより名を上げたといえる。明るくはつらつとした印象で、真っ直ぐさが際立つ女性や、しっかり者のキャラクターを演じることが多かった。


しかし山田涼介主演ドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて』(2022、フジテレビ)では一転、笑顔を見せない女性に。半グレ集団が運営するデートクラブで働くナミを演じ、アイドル時代を含め見たことのないような川栄の表情に驚かされたはずだ。アクションシーンのような動きが求められる場面と、繊細な表情が求められる場面と両方あり、役者としての幅を見せることに成功していた。

放送中の『となりのナースエイド』で川栄が演じる桜庭は、これらの中間ともいえるキャラクターだ。姉の死を経たことによる影と、ナースエイドとして職場の同僚らと明るく、患者のために前向きに働く様子が見られる。

より人間味のあるリアルな感情表現が求められている。
脚本の面白さでもあるが、要所にはコミカルなシーンもあり、作品全体が重たくなりすぎないのが本作の魅力。川栄の演技力が発揮されるところでもあるだろう。

物語は折り返しを迎える。姉の死の真相にたどり着くと同時に桜庭は外科医として再出発することができるのか。さらに高杉真宙演じる竜崎との関係も目が離せず、最終回までさまざまな要素が絡み合うだろう。川栄李奈の演技も存分に楽しめそうだ。


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