──まず『仁義なき戦い』を舞台化すると聞いた時、どう思われました?
田島 48グループって今までプロレスやヤンキーとか意外性のある題材に取り組んできたので、「ここまで来たか!」とは思いましたが、そこまで驚きはなかったです。
斉藤 私は発表になる前に親が観ていたのは知っていたので、決まったあとに父に電話をしたらすごく喜んでくれて。決まってから全シリーズを観ました。これが同じ日本で昭和の時代にあったことだと考えるとかなり怖いなと思いました。作品自体は荒々しくて展開も早くて。
田島 かなりスピード感がありますよね。
──お二人は、映画でもかなり重要な人物・山守義雄をWキャストで演じます。山守についてはどう思います?
田島 今回、映画を観る前は山守義雄という人を知らなくて。
斉藤 私も知らなかった。
田島 ファンの方は『仁義なき戦い』を知っている人が多くて、握手会で山守の情報をいっぱいもらいました(笑)。
斉藤 あはは。わかる、私のファンの方々もテンションが上がっている人が多かったかも。
田島 「ずる賢いヤツだけど、いい役だから」って言われました。
──ご自身で山守と似ている部分はありますか?
田島 それはないかも…。どちらかというとこんな大人にはなりたくない(笑)。泣いたと思ったら喜んでいたり情緒不安定だし、お金のことしか考えていないし、つく人はコロコロ変わる。本当にずる賢いので。
斉藤 たしかに。立場としては組織をまとめる組長と、グループをまとめるキャプテンは同じような部分もあるのかもしれませんが、山守みたいにはなれないです。
──普通、あれだけずる賢いと誰もついてこず、組織のトップで居続けるのは難しそうです。
田島 それがついてくるんです。山守には人を惹きつける何かはあるんだと思います。
──やはり惹きつけられる部分もありますか。
田島 考えていることは全部自分勝手だし、登場人物の中でも一番の悪だと思うんです。でもなんであんなに慕われるんだろうって考えた時にどこか愛らしい部分、性格が放っておけないような人なんだろうなって。現世で出会ってみたかったです。
──現世でですか。
田島 実録映画なのでモデルになった方が実際にいたわけですよね。そんな人が回りにいないので会ってみたかったです。アイドルでいたとしたら相当あざといんじゃないかなと思って。総選挙で1位取れると思いますよ。
──山守が総選挙1位ですか(笑)。
田島 うれし涙も悲しい涙も自由に出せるはずなので。私は強がっちゃうタイプなんで、人前で泣けないんです。
斉藤 山守は目的のために自分を捨てているからね。
田島 それはある意味うらやましい。私には無理ですから。
斉藤 私はずっと反面教師に見ています。やっぱり組織をまとめることと、メンバーをまとめるのとで比べちゃうから、そういう風にはなりたくないなって。
──ちなみに『仁義なき戦い』の登場人物で、この人なら総選挙1位を取れると思うのは?
斉藤 私も山守だと思いますよ。
田島 広能昌三は真面目すぎて無理だと思う。センターの脇にいて頑張っているけど報われないタイプ。槙原成吉とかは3位タイプかな?
──今回、なぜ二人が山守役に選ばれたんでしょう。
田島 それが謎なんですよ。真木子さんはまだ分かるんです。
斉藤 たしかになんで選ばれたかは気になるよね。私と芽瑠ちゃんのキャラクターもだいぶ違うし。
田島 今回のダブルキャストで私と真木子さんが一番変わる気がします。例えばゆいはんさん(横山由依)と(岡田)奈々ちゃんって、どこか似ている部分があるけど、私と真木子さんって共通点がなくて。
──二人で役柄のことを話したりは?
斉藤 芽瑠ちゃんがいろいろ教えてくれます。
田島 稽古が始まった頃は、真木子さんはお仕事で参加できないこともあって。私は最初から参加していたので、その時に決められた立ち位置とかを真木子さんにはいろいろ伝えました。
斉藤 すごく有り難いです。
──出身地からいうと、斉藤さんは関西弁、田島さんは博多弁ですが、広島弁を話すのは大変じゃないですか?
田島 えっ!? 真木子さん、大阪なんですか?
斉藤 そうだよ。
田島 だって関西弁話さないじゃないですか。
斉藤 それは話さないかもしれない。
田島 私は名古屋のイメージしかないです。
斉藤 たしかに。
田島 そうだったんやー。
斉藤 なぜ、急に、関西弁に(笑)。
田島 あははは。でも広島弁は博多弁に近い部分があるかもしれない。みんな難しいって言うけど、私はそこまで苦戦はしなかったです。イントネーションは九州寄りかなって思うので、近いのかなー。
斉藤 巻き舌とか話し方の勢いは似ているんですけど、語尾の上げ下げ、昔特有の話口調は何度もボイスを聞いています。あとこれはイントネーションとはまた違いますが、口調で、ちょっと裏があるようなしゃべり口調がかなり難しいんですよ。
田島 声のトーンはそのままだけど怒っていたり。
斉藤 ちょっと悪巧みの部分を出さなくてはいけなくて。
──好きなセリフはありますか?
斉藤 好きなわけではないんですけど、念を押したりする時に「のう」って言うんです。セリフとセリフの間に「のう」って入ってくるんですよ。
田島 あと「頼む」がすごく多い(笑)。山守は泣きながら「頼む」「すまん」ってよく言うので。
斉藤 私はあまり人に頼んだりしないから、そこの感情の入れ方が難しくて。
田島 私もそうなんですよ。どちらかというと人に頼むより自分でなんとかしたいタイプなので。
斉藤 あと山守は他のキャストと比べてもセリフの量がすごく多いんです。そこも今回苦労しました。
田島 すごくたくさん出番があるわけではないんです。でも、出たらめちゃくちゃ話すんです。
──公演まで1ヶ月をきりました。舞台ではどんな部分を観てもらいたいですか?
斉藤 歌って踊らない私たちを観てもらう機会はあまりないので、不安もあるんです。でも、ひとつの作品としてしっかりと完成した姿を見せられたらいいなって思っています。
田島 登場人物も多く話の展開も早いので、1回目に観た時と2回目に観た時に違う感想を持つと思うんです。ぜひ、1回とは言わず2回3回観ていただきたいです! あと今回、HKT48のメンバーが一番多く出演するので、みんなめちゃくちゃ楽しみにしていますね。さしこちゃん(指原莉乃)もすごく楽しみにしてくれていて。山守になった写真を送ったんですよ。そしたら「男顔だったんだね、初めて知った」って言われました(笑)。博多にこんなにも48グループのメンバーが集まるのは総選挙以来のことなので、これをチャンスだと思って博多を盛り上げたいです。

▽AKB48グループ特別公演
日程:11月9日(土)~24日(日)
場所:博多座
【第一部】仁義なき戦い~彼女(おんな)たちの死闘篇~
脚本:上條大輔/演出:奥秀太郎
原案:飯干晃一「仁義なき戦い」(角川文庫刊)
原作:1973年「仁義なき戦い」(東映) 監督:深作欣二/脚本:笠原和夫
出演
AKB48:岡田奈々、小栗有以 、込山榛香、谷口めぐ、福岡聖菜、向井地美音、武藤十夢、横山由依
SKE48:斉藤真木子、須田亜香里、高柳明音、谷 真理佳、古畑奈和
NMB48:東 由樹、加藤夕夏、川上千尋、白間美瑠、村瀬紗英 、山本彩加、吉田朱里
HKT48:秋吉 優花、上野 遥、熊沢世莉奈、栗原紗英、神志那結衣、堺 萌香、坂口理子、武田 智加、田島芽瑠、田中美久、豊永阿紀、松岡菜摘、松岡はな、水上凜巳花、村重杏奈、山下エミリー
NGT48:荻野由佳、清司麗菜、中村歩加、西潟茉莉奈、西村菜那子、本間日陽
STU48:石田千穂、今村美月、岩田陽菜、沖 侑果、瀧野由美子
【第二部】あんみつ姫プロデュース レヴュー48
博多座公式サイト
https://www.hakataza.co.jp/lineup/201911/akb48/