──昨年11月にグループを卒業して約1年経ちましたが、1人で芸能活動をするようになってどんな変化がありましたか?
今泉 けっこう考え方が変わりました。1年前まではまわりの人たちに頼ってばかりいて。例えば取材でも他の人に譲って、自分で考えることをなるべく避けてきたんです。だけど、今は1人なので全部自分で考えて発言しなきゃいけない。しっかり考えるようになったら、気持ちに余裕も出てくるようになったんです。今は「これがやりたい」「こうなりたい」という小さな目標を作るようになりました。
──グループにいるときも今泉さんなりにきちんと考えている印象はありましたよ。
今泉 やっぱり甘えがあったんですよ。個人での仕事のときは考えることができても、グループに戻るとまわりに同調しちゃうことがあって。
──なるほど。
今泉 以前は自分の予定をどう組んだらいいのか分からなくて。でも、今は「この仕事とこの仕事の合い間にこれができそうだな」とか、心の余裕ができて予定が組めるようになったんです。
──そんな時間は何をすることが多いですか?
今泉 体を動かすことが好きなのでジムに行くことが多いですね! 女性らしいラインでありながら腹筋に縦線を入れたいなと思って。以前は、「太ったら太ったでそういう時期だから」と割り切っていたんですけど、最近はより体型を気にするようになりました。
──他には変化はありましたか?
今泉 変に考えすぎないようになりました。プレッシャーがなくなって気持ちも丸くなったと思います。その分、自分1人で頑張らなきゃいけないけど。
──以前は強がってしまうこともあったんですか?
今泉 はい。「負けたくない」という思いもありました。
──女優に転身してファンの方に対するスタンスも変わったと思います。
今泉 グループのときよりも交流する機会は減ったけど、SNSを始めたことでファンの方の声が直接届くようになって。
──6月にはソロでイベントを行ないましたが、何か感じることはありましたか?
今泉 ファンの方たちを見て「自分のために集まってくれたんだ」とジーンとしました。初期からずっと会いに来てくださる方もいるし、グループを卒業してからファンになってくださった方もいて。イベントでファンの方とたくさん会話ができたのもうれしかったです。
──イベントに参加しやすくなった方もいたかもしれません。
今泉 女の子のファンが増えました! ファンクラブもできたので、またイベントを開催したいです。
──今年4月には舞台「熱海殺人事件 LAST GENERATION 46」に出演しました。
今泉 事務所を移籍して初めての大きなお仕事だったので、すごいプレッシャーを感じました。この舞台でお芝居ができる自分を見せることができなかったら「やっぱりアイドルだな」と思われてしまうのが怖くて。精神的に削られましたね。
──ほぼ演技経験がないところから始めたわけですよね?
今泉 キャストの方が揃う1~2カ月前から1人で稽古をしていたんですけど、その時点で「ヤバいかも」と思って。キャストが揃ってからは尋常じゃないくらいツラくて、かなり鍛えられました。
──「熱海殺人事件」はセリフ量が膨大で、世界観も強いので難しい舞台だったと思います。
今泉 舞台上だとみんなずっと怒ってるし、日常生活であんな大きな動きをしないじゃないですか(笑)。舞台自体が初めてだから最初はそれが理解できなくて難しかったです。
──どこから変わりましたか?
今泉 大阪公演からのスタートだったんですけど、その初日が終わって初めてまわりの方から褒めていただいたことが自信につながりました。本番を終わってからの達成感がすごくて。あの感覚をもう一度味わってみたいと思えたんです。
──難易度の高い「熱海殺人事件」をやりきったことで女優として大きく成長できたかと思います。
今泉 演出の岡村(俊一)さんやキャストの方に「『熱海殺人事件』を経験しちゃえば他の作品に出ても大丈夫だよ」と言われて、「確かにそうかも」と思いました(笑)。
──舞台といえば、来年3月には「あずみ」に主演することが決まりました。
今泉 どうしましょう。大変なことになりそうだなって!
──3年前に川栄李奈さんが座長を務めた「あずみ」は観ましたか?
今泉 映像で観させていただいて「ヤバい!」と思ったんです。「汗だくになりそう」とか「殺陣でケガをするかもしれない」とか、いろんな不安がありました。ただ、意識しすぎると構えてしまうので、難しく考えすぎないで臨むことができたらいいなと思います。
──川栄さんの演技はどうでしたか?
今泉 1つひとつの動作が美しいんですよ。最初、あずみが16歳ということを知らずに観たんですけど、川栄さんの子どもっぽいしゃべり方でキャラクターが分かりました。川栄さんのお芝居を見て覚えようと思うけど、見過ぎてしまうとマネになってしまうので、バランスが難しいですよね。
──川栄さんは「あずみ」主演の後、朝ドラでブレイクしました。
今泉 マネージャーさんからも「川栄は『あずみ』で実力を認められて、いろんな作品で活躍できるようになったんだ」とプレッシャーをかけられるんです(笑)。絶対に大変なことは分かっているけど、「熱海殺人事件」のように本番が終わったら「またやりたい!」と思ってるはず! そんな自分を想像してワクワクしてます。
──「あずみ」は殺陣のシーンもあると思いますが、アクションに興味はあるんですか?
今泉 ありますね。
──『ミリオンジョー』で演じる森秋麻衣はどんな役ですか?
今泉 一見ピュアなんですけど、徐々に怖くなっていくんです。撮影中、「こんな人が実際にいたら怖いな」と思いました(笑)。
──今泉さんは、同じクールの『左利きのエレン』(MBS)にも出演しています。
今泉 私が演じる三橋由利奈は自分としゃべり方が全然違うんですよ。「~っすね」みたいな。たまに素が出て「~ですね」と話してしまうので、そこは気をつけたいです。仕事ができる新人という設定も難しくて。
──おバカな雰囲気は出せないですね。
今泉 (小声で)そうなんですよ。先輩を下に見るくらいの役なので。しかも、『ミリオンジョー』の森秋のぶりっ子キャラが出ちゃいそうになって、「引きずってるんだな」と思っちゃいました(笑)。
──それにしても、立て続けに出演作があってすごいですね。
今泉 ありがたいことだからこそ怖いです。「あずみ」以降のスケジュールがまだ決まっていないので、その先の自分がどうなっているか分からない。先につなげるような仕事をしなきゃダメだと思ってます。頑張らなきゃ!
──演技する上でドラマと舞台の違いはありますか?
今泉 舞台って大きく動くし、いつも以上に声を出すじゃないですか。でも、映像は動きすぎると画面からはみ出ちゃうし、声を張らなくていい。その違いが楽しいんです。「熱海殺人事件」の直後は映像の作品が難しかったけど、今はどちらが得意とかはないですね。
──来年1月に公開される映画『転がるビー玉』では弾き語りのシーンがあるんですよね?
今泉 シンガーソングライターの役なので、この映画のために新しいギターを買って練習しました。
──現在は女優業が中心ですが、歌いたい気持ちはありますか?
今泉 本当に大きい夢なんですけど、自分が出るドラマの主題歌を歌いたいんです。柴咲コウさんみたいに。
──練習でカラオケなどに行くことはあるんですか?
今泉 最近行くようになりました。他のアーティストさんも歌うけど、自分の曲も歌えるようにしておこうって。「グループを卒業したんだから歌わない方がいいのかな」という自分もいたけど、今は「こんなに素敵な曲をいただいたのに歌わないのはもったいない」と思ってます。
──今泉さんの歌声を聴きたいと思っているファンもいるはずです。
今泉 そう言ってくださる方も多いので、気持ちに応えられるように頑張りたいです。ファンクラブイベントで歌うことができればなと思います。ただ、以前は歌しかやりたくなかったけど、お芝居に触れてから「この世界は楽しい!」と気持ちが変わって。人生っていろいろあるんだなと思いました!
──以前、インタビューで「将来はコンビニを経営したい」と語っていましたが、その夢が変わりましたか?
今泉 今はエステサロンを経営したいです(笑)!
──経営意欲はあるんですね(笑)。
今泉 タレントさんってお仕事をしながらメンテナンスをするのは大変じゃないですか。朝早い時間や夜遅い時間は店が開いてなくて困ってるはず。私がそんな人たちのためのサロンを作りたいんです。それと、自分も通いたいので(笑)。
▽今泉佑唯(いまいずみ・ゆい)
1998年9月30日生まれ、神奈川県出身。153センチ。O型。ニックネームは「ずーみん」。女優活動だけでなく、ラジオ番組『アッパレやってまーす!』(MBSラジオ)やファッション誌『ar』(主婦と生活社)のレギュラーモデルを務めるなど多方面で活躍中。