4月に入り2024年春ドラマが順次スタートとなっているが、それぞれの勝負がかかった注目の春ドラマ3本を紹介したい。

【画像】4月8日にスタートした広瀬アリス主演の『366日』

1本目は、4月8日に初回放送があった広瀬アリス主演の『366日』(フジテレビ系。
以下、ネタバレを含む)。人気バンド・HYのヒット曲「366日」の世界観に着想を得たオリジナルラブストーリーだ。

フジ系伝統枠である月9は、2023年の『真夏のシンデレラ』以降、3期連続で全話の平均視聴率が世帯5%台(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下/同)。スポンサーが重視するコア層(13~49歳男女)の視聴率も2%台を多く記録するなど苦戦してきた。

前作の『君が心をくれたから』は、主人公が想い人の命を救うために、自らの五感を差し出すという週初めには重すぎる内容だった。
それもまさかのバッドエンドで、賛否が分かれた。

そんな前作からバトンを受け取った『366日』だが、初回平均視聴率は世帯が7.2%、個人が4.1%で、『真夏のシンデレラ』をやや上回り、前作とほぼ同水準のスタートとなった。

広瀬演じる雪平明日香は、高校時代の想い人で眞栄田郷敦演じる水野遥斗と再会し、12年越しに交際することになった。だが、初デートの待ち合わせ直前に、水野は事故で意識不明の重体になってしまう。

前作から続く重い展開に、月9の王道ラブストーリーを期待していたネット上の視聴者からは動揺の声も見受けられる。

ただ、HYの「366日」は、そもそも叶わぬ願いを込めた悲恋の歌だ。


また、雪平と水野が交際に至るまでの微妙なすれ違いは丁寧に描かれていた。眞栄田の力が入りすぎていないナチュラルな芝居や、広瀬の想いが通じ合った喜びを嚙みしめる可愛らしさも相まって、この1年の月9の中では、最も心の機微が繊細に描かれていたように思う。

ゴールデン帯連続ドラマ初主演ながら、番宣で座長の貫禄を見せていた広瀬。悲劇から始まったこの物語を盛り立てていくことは出来るか。

2本目は、4月24日にスタートする山下智久主演の『ブルーモーメント』(フジ系)。山下は、”ハルカン”の愛称で報道番組のお天気コーナーに出演する、気象庁気象研究所の研究官・晴原柑九朗を演じる。


2020年に事務所を独立した山下は、HuluやNetflixなどで海外配信作品に挑戦してきた。

地上波では、『正直不動産』シリーズが2022年と今冬にNHK総合で放送された。“正直すぎる”不動産営業マンを、山下がコミカルに演じて好評を博し、大河・朝ドラをのぞくドラマとしては、NHKプラス再生数歴代新記録を打ち立てている。

ただ、民放に限ると、2021年の『ドラゴン桜』第2シリーズ(TBS系)最終回での、「声のみ」の出演に留まっていた。

『ブルーモーメント』は、山下にとって満を持しての5年ぶり民放ドラマ復帰になる。公式サイトでは、同じフジ系の自身最大ヒットシリーズ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』を連想させる、「命を救え」というキーワードも掲げられている。


今作がヒットすれば、シリーズ化、映画化が視野に入るだけでなく、民放各局が再び山下争奪戦になることは必至だ。

唯一の懸念点は、フジ系水曜10時の前作の平均視聴率が世帯2%台、個人でも1%台と苦戦していたことだ。熟練度を増した山下の勢いで同枠のブランド力も高められるか。

3本目は、4月25日に初回放送を迎える木村拓哉主演の『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)。木村は大手ゼネコンに所属し、橋づくりに情熱を燃やす設計者・狩山陸を演じる。

木村の連続ドラマと言えば、2023年の『風間公親-教場0-』(フジ系)で、全話の平均視聴率が世帯9.8%と、初の一桁を記録したことが話題となった。


とはいえ、キムタク隆盛期と比べ、近年はTVerなどの配信動画サービスの浸透により、視聴率は圧倒的に取りづらくなっている。同じクールの他作品と比べれば、好成績とも呼べる数字だ。

また、冷徹な白髪の指導官として新人刑事を導くなど、それまで役者・木村拓哉が見せてきた無敵のヒーロー像とは一味違う新境地を切り開いている。

『Believe-君にかける橋-』の内容について、詳細は明かされていないが、「令和最高クラスのヒューマン大作」と公式自らハードルを高めに設定。テレ朝開局65周年記念作としても壮大な物語を予感させる。

木村は400万人のフォロワーを誇る自身のInstagramで、作業着を身にまとった撮影現場の様子などをアップし気合十分。
絶対にハズせない戦いを制することは出来るか。

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