この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。
おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、現在公開されている『タイガー 裏切りのスパイ』。気になった方はぜひ劇場へ。

【写真】『タイガー 裏切りのスパイ』場面写真

〇ストーリー
インドの国家諜報機関RAWでは、亡くなった最高責任者シェノイに代わり、女性局長のメナン(レーヴァティ)が指揮を執っていた。メナンはアフガニスタン潜入中のエージェント、ゴーピー(ランヴィール・ショーリー)が危機に陥ったため、タイガー(サルマン・カーン)に救出を依頼する。タイガーは瀕死のゴーピーを助けヘリに乗せたが、ゴーピーは「二重スパイがいる。
女性ゾヤだ」という言葉を残し亡くなる。タイガーは妻ゾヤ(カトリーナ・カイフ)への疑念を胸に帰宅し、少年に成長したジュニアとの3人暮らしの日常に戻るが、次の任務でロシアに赴いた時、タイガーを襲ってきたのはゾヤだった! ゾヤは1999年にISIのエージェントだった父をテロで亡くした後、ISIのアーティシュ・ラフマーン(イムラン・ハシュミ)をメンターとして組織に加わったのだが、その彼に従わざるを得ない事態が起きたのだった。12年前にある事件でISIを追放されたアーティシュの目的は、現首相イラニ(シムラン)を暗殺し、軍の指導者と共にパキスタンの全権を掌握することで、そのためにゾヤとタイガーが利用されようとしていた…。

〇おすすめポイント
シャー・ルク・カーン主演作『Pathaan/パターン』(2023)にもサプライズ登場したRAWのエージェント、タイガーを主人公とした「タイガー」シリーズ第3弾が『タイガー 裏切りのスパイ』だ。

そして『パターンVSタイガー』や『ウォー2』、ほかにも女性エージェントを主人公にした作品なども複数計画されている「YRFスパイ・ユニバース」に属する作品でもあることから、次回に繋がる伏線が随所に張り巡らされているのだ。

ランヴィール・シン、アヌシュカ・シャルマ主演のロマコメ『Band Baaja Baaraat』(2010)と『Ladies vs. Ricky Bahl』(2011)を連続で制作したマニーシュ・シャルマーが今作の監督を務めているが、マニーシュは、前作の『FAN』(2016)がジャンルとしてはスリラーではあったものの、そのなかにあったアクションシーンでセンスも見せていただけに、今作で本格的なアクション映画に挑戦していることにも注目してもらいたい。


ちなみに『Ladies vs. Ricky Bahl』の映像がどこかに使用されているので、そちらも探してみてほしい。

今作の最大の見所は、サルマン・カーンの骨太なアクションシーンは大前提ではあるが、パターン役でシャー・ルク・カーンがサプライズ登場。インドの3大カーンといわれるサルマン・カーンとシャー・ルク・カーンの共演を再び観ることができる豪華さに劇場が沸いたほどの大事件だ。つまりそのシーンだけでも観る価値は十分にあるといえるだろう。

続編といっても繋がらなかったり、感覚的に繋がってるかも~という程度の作品が多いインド映画ではあるが、今作においては、ユニバース作品ということもあって、「タイガー」シリーズは全てが繋がっている。

そのため『タイガー 伝説のスパイ』『タイガー 甦る伝説のスパイ』を観ていれば、懐かしいキャラクターたちとも再会することができる。


そして意外と珍しいのは、カトリーナ・カイフのアクションシーンだ。

アクション映画に出演することは珍しくないカトリーナではあるが、そのなかで本格的なアクションをしているのは、実はかなり久しぶり。2020年代に入ってからは初めてかもしれない……。

サルマンの骨太アクションと、カトリーナのスタイリッシュアクションが見事に融合している!!

〇作品情報
監督:マニーシュ・シャルマー
出演:サルマン・カーン、カトリーナ・カイフ、イムラン・ハシュミ、シャー・ルク・カーンほか
2023年/インド/ヒンディー語/シネスコ/5.1ch/156分/字幕翻訳:藤井美佳
配給:ツイン
公式HP:tiger3-movie.com

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