伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『虎に翼』(総合、月~土曜午前8時)が、第10週の週間平均視聴率(世帯)で16.7%を記録し、好調を維持している(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。今回はその第10週までに登場した、主人公・寅子を取り巻く朴訥青年の花岡悟を演じる岩田剛典、猪爪直明を演じる三山凌輝にスポットを当てたい。
ボーイズグループのメンバーとして“ヤンチャ”な一面も持つ彼らが、今作では別人のように、見事に役に憑依している(以下、ネタバレを含む)。

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岩田は2010年から三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE、2014年から兼任でEXILEのメンバーとして活動してきた。今年3月から、両グループが所属するLDHのパフォーマーとして、初めてソロアリーナツアーも敢行した。

デビュー以来、俳優業も活発な岩田だが、4月期からは『虎に翼』と並行して、『アンチヒーロー』(TBS系、日曜21時)にも出演している。物語のカギを握る町工場社長殺害事件の犯人だが、大切な母親を侮辱する社長のパワハラに耐え兼ね犯行を犯してしまう、完全な悪人とは言い切れない青年を繊細に演じてきた。

『虎に翼』で岩田が演じた花岡は、明律大学で寅子と共に法律を学んだ。
何事にも全力で突き進む寅子と次第に惹かれ合うが、裁判官試験に合格し佐賀地裁に赴任する際、寅子の将来のために身を引いた。戦後は食糧管理法を担当する自身の立場を貫き、栄養失調で亡くなる。直前に寅子に会った際の、花岡の儚く、やつれた力無い表情は、そんな未来を暗示していた。法曹界へと邁進していた頃の、力強い花岡とは全く違う姿だった。

さわやか王子様のイメージが強い岩田。経歴的にも花岡と同じ御曹司ではあるが、パフォーマーとして目立つため、デビュー当初はドレッドヘアのヤンチャなスタイルだった。
2022年に出演した『なりゆき街道旅』(フジテレビ系)でも、“ドレッドのほうがダンスうまく見えるでしょ”という考えで、「ゴリッゴリだった」と当時を回顧している。甘いマスクの岩田だけに、周囲のアドバイスもあって、現在の爽やかな風貌に落ち着いていった。

一方、三山は2021年からBE:FIRSTのメンバーとして、RYOKI名義で活躍してきた。グループ加入以前は、2.5次元舞台に立つなど役者として活動していた。2020年に出演した映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』では、監督の川上亮から、最初から最後まで完璧に役として存在していたことを絶賛されていた三山。BE:FIRSTで世界的グループを目指す現在も、岩田同様、アーティスト業と俳優業を二刀流でこなしている。


『虎に翼』では第9週から、子役に代わって成長した寅子の弟・直明として登場。幼少期から勉学が好きで帝大を目指していたが、戦後の猪爪家を支えるため、大学受験を断念し働くことを申し出る。そんな弟を想って、寅子は再び法律の世界に職を求め、直明に大学に進学するよう勧めた。「…僕、勉強していいの?」と尋ねる目の輝きは、真っすぐな直明そのものだった。

黒髪の坊主頭で、純粋で朴訥としている直明。三山は25歳だが、幼少期からの“可愛い弟感”がしっかりと滲み出ている。
BE:FIRSTを知らない視聴者から見たら、直明は直明でしかなく、歌番組などでRYOKIとして躍動する姿を見ても同一人物と合致できるだろうかと思うほどだ。

それでも、三山の内面は直明とかなりギャップがある。赤髪坊主になるなどヤンチャな側面を持ち、メンバーの中でも“陽”のオーラを纏っている。グループ楽曲では、海外を見据えラップの英語詞を担当し、やや高音の高速ラップも炸裂させている。2022年の『NHK紅白歌合戦』では、司会の大泉洋を「おやじ」と呼び、2023年のNHK『明石家紅白!』では、明石家さんま冠番組パロディ企画『踊る!RYOKI御殿!!』を担当していることを本人に謝罪するなど、大御所にも臆することなく懐に入り込んでいた。どんな場面でも、彼のコミュニケーション能力は図抜けている。


『虎に翼』では、志半ばで夢破れた花岡だが、彼の思いやりと強い正義感は寅子の胸にずっと刻まれ続けるだろう。三山演じる直明は、父、兄、夫を一気に戦争で失った寅子ら猪爪家の人々にとって、救いのような存在だ。今後も彼がどのような成長をみせるかが、猪爪家にとっても視聴者にとっても希望の光となりそうだ。華やかなボーイズグループメンバーとしての側面から一転して、朴訥青年に憑依した岩田と三山。彼らの役者としてのこれからに一層注目したい。

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