2014年にAKB48チーム8・福井県代表としてデビューした長久玲奈。今年2月にグループを卒業し、現在は得意なギターを武器にシンガーソングライターとして新たなるステージに立つ。
それまでは大人数で立っていた場所に、たった1人で立つ今──彼女にはどんな景色が見えているのか。
──チーム8在籍時から「夢はシンガーソングライター」と語っていましたが、いつごろから本格的に独り立ちしようと思われたのですか?

長 加入してからずっと「いつか1人で大きな舞台に立ちたい!」という想いは持っていました。夢の舞台に立つときにAKB48という大きな力に頼らず、私1人の足で立っていたいという想いがだんだんと強くなっていって……去年のお正月ごろ、高校卒業という大きなタイミングで飛び出すなら今だ! と決心しました。

──今年の2月に卒業されて、半年後の8月末に初のソロライブを開催しました。ソロシンガー・長久玲奈として、舞台に立ったときはどういう気持ちでした?

長 以前までは、アイドルとしての私を見に来てくださっていた方々が、1人でステージに立ってギターを弾いて歌う私の姿を見に来てくださったと思うと……なんか不思議でした(笑)。もっと素敵な歌をたくさん届けられるようにしたいなぁ、と強く思いました。

──ステージに立つうえで、チーム8時代から変わった部分ってありますか?

長 意識の面がだいぶ変わりました。チーム8時代はパフォーマンスの面ではみんなに頼りっぱなしだったし、ファンの方に助けられたりと、ずっと誰かに甘えていて(苦笑)。それが1人になった以上、言葉や仕草は厳しい目で見られていくと思いますし、少しでも良い演奏を見せられなかったら離れていっちゃうかも? 私の歌は聞いた方の心に何を残せるのかな? っていう緊張感が常にあります。もっと大人にならないといけませんね。

──チーム8時代の経験は、どんな形で役に立っています?

長 ステージ根性? というのかな、そういう部分はすごく役立っています。昔ならステージに立つだけで顔が引きつっていたのに、この前のワンマンではすごく自然な気持ちで歌えたんですよ。
あとはMC。昔はとにかく人見知りが激しくて人前で話すのがとにかく苦手だったのに、ワンマンではちゃんと話せました。正直言うと、これを言えば完璧! と考えて用意していた話が全然出なくて、メチャ焦ったんですが(苦笑)。

──(笑)。ワンマンではオリジナル曲を8曲披露しましたが、いつ頃から曲作りを始めていたのですか?

長 だいぶ前から、フンフ~ン♪ という感じの、なんとない曲や歌詞は作っては溜めていたんですよ。けど、ちゃんと1つの曲として形にしよう! と思うところまでは全然いけなくて。本格的に自分がすすむ先のことを考えているうちに『道』という初めての楽曲ができて、そこから本格的な曲作りが始まりました。

──半年間でこのストックは、ものすごいペースですよね。

長 卒業した瞬間からギター1本に集中しよう! と自分の中でケジメをつけて、家にこもって曲を作る、ギターと歌の練習以外何もしていませんでしたからね(笑)。

──歌詞や曲はどういうときに思い浮かびますか?

長 曲はギターを弾いているとふと浮かんできます。ただ、底から感情がワ~! と湧き上がってくる曲が好きなせいか、思い浮かぶ曲のどれもがユッタリ暗めで(笑)。最近は意識してアップテンポな曲にしようとメジャーコードを使うんですが、どうしてもクセで曲が途中で“泣きだしちゃう”。
歌詞は1人で街をボーッと歩いているときにパッと浮かぶことが多いかな。基本は、大好きなyuiさんの影響で、自分が思ったことや身の周りに起こったことを素直に言葉にしています。ただ、最近では現実では味わえないいろんな世界を描きたくて、自分の中から出てくるもの以外の言葉にも挑戦しています。

──何か書きたいテーマがあるのですか?

長 女の子に向けての曲をもっと増やしていきたいので、恋愛曲を作りたいんです。『190705』という歌で初めて恋愛曲に挑戦したのですが、恋するうれしさ、失恋の哀しさをより上手く表現できたらいいなぁって。そのために想像力を高めなくちゃいけないので……キライな読書も、これから頑張らないと(笑)。

──12月には原田珠々華さんや武田舞彩さんといった同年代の女性シンガーとのライブイベントに出演されますね。

長 今回ご一緒するみなさんは、元アイドルの方や現役のアイドルさんと、私と歩み方が近い方ばかり。どんな曲や詞を書いてどんな演奏を作されるのか、すごく気になります。中でも同郷の武田舞彩さんのことは昔から知っていたのですが、舞彩さんの曲、英詞の使い方がメチャ上手で! もう……スゴイ!! と衝撃を受けました。私も最近リズム強化のために洋楽を聞き始めたり、『my own way』という曲でちょっとだけ英語を使ってドヤッ! って思っていたんですよ(笑)。けどまだまだですね。
いろんな方から刺激をたくさんいただき、もっと成長したいですね。

──これからどんな風に成長していきたい?

長 とにかくやりたいことはたくさん。CDも出したいし、ライブもたくさんやりたいし、いつか憧れの武道館にも立ちたい。けど、今は誰もが聞いて「良い曲だ!!」と思ってもらえるような曲を書くのが1番の夢です。どれだけ時間がかかるのか分かりませんが、私の歌を通してたくさんの人が感動してくれたらいいなぁ。そのためにはもっと曲を作らないと。最低でも20曲は用意しなくちゃ。

──最後にですが、最近チーム8メンバーの方と連絡を取られたりしています?

長 最近中々会えてなくて寂しいんですけど、ゆーな(服部有菜)とは何かと会っています。仲のいい横山結衣ちゃん、佐藤七海ちゃん、佐藤栞ちゃん、中野郁海ちゃん、人見古都音ちゃんとはよく「遊びたいねぇ~! 空いてる日、教えて!」と、連絡し合っては実現しないを繰り返しています。みんな、忙しいみたい(笑)。

▽長久玲奈(ちょう・くれな)
2000年5月11日生まれ。福井県出身。
2014年4月にチーム8のメンバーとしてお披露目、8月に劇場公演デビュー。2019年2月にAKB48としての活動を終了。卒業後はシンガーソングライターやモデルを目指して活動の幅を広げている。

(取材・文/田口俊輔)
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