【関連写真】「LILY BROWN」の最新ルックをスタイリッシュに着こなした新垣結衣
『違国日記』は累計180万部を突破しているヤマシタトモコの人気マンガが原作。35歳の小説家・高代槙生が姉夫婦の遺児である15歳の少女・朝を引き取ったことをきっかけに、ほぼ初対面の2人が手探りで同居生活を送り始めるというストーリーだ。
そこで新垣は槙生の役を演じているのだが、はっきり言って意外性のあるキャスティングだと言えるだろう。今まで彼女が演じてきた役柄とは毛色が違うキャラクターだからだ。
槙生は世間の常識にとらわれず、物事を自分の頭で考える人物で、周囲からは「変わり者」扱いされることも。職業柄なのか他人と話すときの言葉遣いも格調高く、堂々としたところがある。しかも作中では20歳年下の朝の視点から、「違う国の女王」のような姿が描かれていく。
誰かに守られるヒロインでもなければ母性的なキャラクターでもなく、1人で社会の荒波を生き抜いている「群をはぐれた狼のような目」をした人物なのだ。
少し前までの新垣といえば、『リーガル・ハイ』シリーズ(フジテレビ系)の黛真知子役や『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)の白石恵など、初々しさを感じさせる新人・新米の役柄が多かった。2023年に『風間公親―教場0―』(フジテレビ系)で演じたシングルマザーの新人刑事・隼田聖子役も同じ路線だったと言えるだろう。
しかし実は新垣はもっと幅広い役柄を表現できる演技力を持っている上、公称169cmの長身で、クールな大人の女性役が似合うスタイルの持ち主だ。
もちろん新垣の出演作は数多く、かわいいイメージの役だけを演じてきたわけではない。たとえば2015年の映画『くちびるに歌を』では、産休に入る教師に代わって合唱部の指導を受け持つことになった臨時教師・柏木ユリ役を担当。これはぶっきらぼうな口調で生徒たちと対峙しつつ、端々で闇を背負っていることを匂わせるキャラクターだった。
また2014年から放送されたドラマ『S -最後の警官-』(TBS系)と、続編にあたる映画『S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』では、特殊部隊「NPS」にやってきた体育会系の女性スナイパー・林イルマ役を演じていた。
とはいえそれぞれの作品が公開された約10年前と比べると、今では新垣の演技力が格段に上がっており、背伸びせずに“かっこいい大人”を演じられるようになっている印象。『違国日記』の槙生役は、貫禄すら感じさせるところがある。
演技の幅ということでいえば、2023年11月公開の『正欲』もまた別方向で新境地だった。そこで新垣が演じた桐生夏月は、致命的な生きづらさに悩み、社会への怒りや絶望を胸の奥に秘めている人物であり、これまでのように観客の共感を広く誘うような役柄ではなかった。ちなみに新垣は同作で披露した見事な演技によって、初となる「第33回日本映画批評家大賞」の助演女優賞に輝いている。
ほかにも2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、初めての本格的な時代劇に挑戦するなど、近年ますます俳優としてのキャリアが広がっている新垣。今後はさらに違った役柄を演じる機会が増えていくかもしれないので、しっかり見守っていこう。
【あわせて読む】新垣結衣が『LILY BROWN』秋ルックを着こなすオフショットムービーが公開