本番組は、とある廃病院に柴田理恵とお笑い芸人のマユリカ・中谷がロケをするところから始まる。
【写真】マユリカ・中谷&柴田理恵の心霊番組『ナキヨメ』場面写真
言ってしまえばこれ以上でもこれ以下でもない。企画を逸脱するような予想外の展開や、大きな笑いなども特に生まれない。だが、企画のユニークさは目を見張るものがあった。
テレビ東京は地上波の中では低予算だからこそ、挑戦的かつ“らしい”番組を作り出してきた。『家、ついて行ってイイですか?』や『YOUは何しに日本へ?』や一般人参加型で現場スタッフの負担は大きいが、時に偶然から大きな波を起こす番組だ。『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』や『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』などはより企画に振っている印象で、その独自性ゆえにバラエティ番組の中でも唯一無二の存在感を放っている。
翻って『ナキヨメ』は間違いなく後者に該当するだろう。「史上初の心霊番組」と謳っているが、そもそもどのジャンルに含めるのが正しいのかさえわからない。ただ、言えるのは無駄のない設計が光っているという点だ。
従来の心霊番組は再現VTRで恐怖をあおり、スタジオと視聴者に納涼をもたらすことがメインとなっている。対して『ナキヨメ』の再現VTRでは、今では心霊スポットとなっている廃墟にもちゃんと生身の人間がいて生活していたことを丁寧に映し出す。それは感動との親和性も高く、結果として涙を生み出すこととなるのだ。
ここまででもすでに今までにない番組であるのは確かなのだが、さらにもう一歩進むのがさすがと言ったところ。2人がシャーレで集めた涙を網の上で炙り、水分を飛ばして涙は塩に変わる。その塩を撒いて清めるという無駄のないラストにより、尖った発想が新たな“浄化バラエティ”に昇華しているのだ!
もちろん、キャスティングにも隙はない。柴田理恵は言わずとしれた泣き上戸。涙を流させたら芸能界で右に出る者はいないだろう。一方、中谷も自身のラジオ番組でも号泣した経験があり、感動と遠い存在にいるわけではない。加えて番組の進行役や、“本職”であるツッコミの役割でも機能している。番組プロデューサーは入社2年目のお笑い好きというだけに、中谷の配置もおそらく狙ってのことだろう。
今回は特番であるが、レギュラー化したらどうなっていくのかと期待を感じさせる番組となっていた。
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