コント師のナンバーワンを決めるお笑い賞レース「キングオブコント2024」が幕を閉じた。

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毎年のようにレベルが上がり続けるコントの祭典「キングオブコント」。
それは点数の推移からも明らかで、2021年の空気階段が史上最高の点数を叩き出すと、翌年のビスケットブラザーズ、そして昨年のサルゴリラと連続して歴代最高得点を更新している。

今年も現時点で最強のコント師たちが集まったことは間違いないが、それに加えてコンセプトとなっていた「コントの最高到達点」には達していなかったのではないだろうか。

前提として語るべきは歴史に残る大接戦だったということ。ファーストステージでは、トップのファイヤーサンダーが476点、ロングコートダディとラブレターズが475点で同率2位、惜しくも敗退に終わったや団が474点となった。

ただ、これまでの賞レースと異なるのはその中でも突出した存在が現れなかったことだ。端的に言うと、審査員5人と視聴者の心をすべてつかむというネタを行う組がいなかった。そんなのは不可能だろうと思われるかもしれないが、ここ数年の王者には間違いなくその素質があった。

確かに審査員5人の好みは分かれるかもしれないが、例えば圧倒的な完成度を誇った、2021年の空気階段の1本目のネタは5人全員が97点以上をつけ、個人的にも爆笑した。「キングオブコント」でなければ、2019年の「M-1グランプリ」を史上最高得点で制したミルクボーイはまさしく頭一つ抜けた存在で、お茶の間で彼らを王者として疑問視する人は皆無だろう。

セカンドステージで「爆発」を起こす組が出てくることに期待したが、結果からいえばそれもかなわなかった。ラブレターズ、ロングコートダディ、ファイヤーサンダーが順々にネタを披露したが、いずれもファーストステージから得点はダウン。テレビで見ていても、会場を爆笑の渦に包むようなネタとはなっていなかったように感じた。
最終的に優勝したラブレターズでさえ、2本目の「YOUは何しに海岸へ?」を終えた直後、審査員から相次ぐダメ出しを受けていたほどだ。

もちろん、だからといってラブレターズが王者にふさわしくないわけではない。審査員がそれぞれ重視していた要素を最もうまく拾っていたのがラブレターズだったのではないだろうか。

例えば、ファーストステージで敗退が決まったシティホテル3号室のネタ「通販番組」は、序盤と中盤と終盤で見方が変わる鮮やかなネタで、東京03飯塚はファーストステージで2位となる97点をつけた。だが、山内は92点と辛めで、その理由として「全部が理由がありすぎて、意味のわからなさがちょっとあったら良かった」と説明している。

また、ファーストステージ9位のコットンに対してシソンヌじろうは「もったいないと思った。もう少し2人の掛け合いが見たかった」と指摘。より2人のキャラクターが見えるようなネタを求めていたのではないかと推測できる。

その点でラブレターズの2本はすべてを完璧に理解するのは難しい狂気性をはらみつつ、2人それぞれのキャラクターの強さもにじみ出るようなネタとなっていた。当然好みは分かれ、ファイナルステージでもラブレターズを最高点にしたのは5人中1人のみだったが、点数で上回り優勝を決めたのだった。

わずかな点差やネタの細部で優勝が決まった今大会。大会終了直後には、「審査員の好み」がトレンド入りした。
そんなことは当たり前で、何を今さらという感想も持ってしまうのだが、それだけ全員が揃って評価したくなるような組がいなかった影響もあるのかもしれない。来年以降、コントの潮流がどのように変化していくか注目していきたい。

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