──アイドルユニットを作る構想は放送開始時からあったんですか?
佐久間 いえ、まったくありません。まず番組1週目で合格した生徒が佐藤(諒)とトーマス(大下美瑠)というぽっちゃりした2人だったし、当初は『あっぱれさんま大先生』のような番組になっていくのかなと想像していました。ただ、2週目に日比野が入ってきて、さらに他にもいろんなタイプの子が入ってきたので、(企画・監修の)秋元(康)さんと「部活を作って文化祭で発表しよう」という話になったのがアイドルを作る最初のきっかけでした。
──18年夏の出来事ですね。そこでアイドル部の原型ができました。
佐久間 そしてさらに2・3期生が加入して今の形になったのですが、正直僕も秋元さんも行き当たりばったりです(笑)。先のことは全然見据えていなかったし、そもそも最初からアイドルを売り出すつもりだったらオーディションバラエティ番組にしていましたよね。
──では佐久間さんから見て、アイドル部の特徴や魅力というと?
佐久間 真面目で、ピュアで、仲が良くて、よく泣く(笑)。あと、大半のメンバーが中学・高校時代にあまり楽しい思い出がないんですよ。引きこもりだったり「陰キャ」と呼ばれていたり。日比野もあまり友達がいなかったみたいだし、持田も高校時代は何をしたらいいか分からなくてぼーっと過ごしていたらしくて。
──その頑張りや成長をたくさんの人に見てもらいたい、と?
佐久間 そうですね。アイドル部はしょっちゅうビービー泣くけど、最近は泣いても心が折れなくなりました。「諦めずにやり遂げてみたい」という気概を感じるようになったし、CDデビューを目前にしてやっと覚悟ができて、顔つきも変わってきたんですよ。……とはいえ、先日も兎遊がダンスが踊れなくて「私、足を引っ張っているので辞めます」と言い出して、みんなで泣いて引き止めたりもしていましたけどね。
──でもそんな生徒たちの成長物語が『青春高校3年C組』なんですよね。ちなみに今回“CDデビュー”という手法を選んだ理由は?
佐久間 青春高校の生徒たち、中でも特にアイドル部の子たちは「自分を変えたい」と思っている子が多いので、そのきっかけを作りたかったんです。『青春高校3年C組』というバラエティ番組の中だけで完結させるんじゃなくて、もっといろんな人に見つかって、あの子たちの人生が好転したらいいな、と。あとは、「部活」と言いながら秋元さんがめちゃくちゃ良い曲をいっぱい書いてきたから(笑)、それをたくさんの人に聴いてほしいと思ってCDデビューという形を取りました。
──では、佐久間さんが描いている青春高校のゴールや目的地は?
佐久間 僕はあの子たちが感動するような光景をたくさん見せてあげたくて、そのために頑張っているんですけど、最終目標や目的地はあの子たちが自力で見付けて勝ち取るものであるべきだと思っています。
──なるほど。ちなみに学級委員長の日比野さんはインタビューで、青春高校で欅坂46さんくらいのところまで行きたいと語っていました。
佐久間 おぉ~。入学当初「友達できるかなぁ?」みたいな感じだった日比野がそういう夢を語れるようになったのは成長ですね。学級委員長が本気でそれを目指すんだったら僕も全力で応援したいし、一緒に頑張ろうかなと思います。まぁ、相当大変だと思うけど……!
(取材・文/左藤豊)
▽佐久間宣行(さくま・のぶゆき)
1975年11月23日生まれ。テレビ東京のテレビプロデューサー、演出家、作家、ラジオパーソナリティー。『ヒム子』『キス我慢選手権』『芸人マジ歌選手権』や『ゴッドタン』『ウレロ☆未確認少女』などを手掛ける。ニッポン放送『オールナイトニッポン0(ZERO)』で水曜日のパーナリティも担当している。