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──そもそも源藤さんは、どういうきっかけで芸能界を志したんですか?
源藤 芸能界には小学校の頃から憧れていたんですけど、地元の北海道夕張市がド田舎で、何もない町で育ったんです。ドラマを観ると、都会的で、人間関係も面白いから、そういう世界に行きたいって思っていたんですよね。
──早く田舎から抜け出して都会に行きたいと。
源藤 きっと楽しいんだろうなって、ずっと憧れていました。それで2年前、プラチナム(プロダクション)に応募して面接を受けて合格しました。
──上京したのはいくつの時ですか?
源藤 大学進学で上京したので、18歳の時でした。
──上京と同時に応募はしなかったんですね。
源藤 もうちょっと痩せてからとか、もうちょっと自分に自信がついてからとか考えていたら、あっという間に大学を卒業していました(笑)。
──ドラマに憧れていたぐらいだから、最初から目指していたのは女優さんですか?
源藤 そうですね。ただ事務所に入るまで演技経験もなかったし、演技レッスンすら一度も受けたことがなかったんです。
マネージャー 実は源藤が18歳の時に偶然、うち(プラチナム)にスカウトされていたんですよ。
源藤 でもその時は自分に自信が持てなくて断ったんです。自分から応募した時は、他の大手事務所もたくさん受けて、5カ所ぐらいから入りませんかって声もかけて頂いたんですけど、大好きなトリンドル(玲奈)さんが所属していたので、プラチナムを選びました。
──事務所に所属した当初は、どんな活動をしていたんですか?
源藤 オーディションを受けながら、たまにモデルのお仕事をして、所属して半年後ぐらいから演技レッスンを受け始めました。
──その当時はバイトをしていたんですか?
源藤 してないです。今は親も東京で暮らしているので生活には困らなかったんです。
──『有吉反省会SP』で、「日本一可愛いコンビニ店員」という自身の肩書きが全くのウソだったと反省していましたが、何かバイトをしたことは?
源藤 大学時代に焼肉屋さんとカフェでバイトしたことがあります。でも焼肉屋は仕事内容がきつかったのと、先輩が意地悪だったから2カ月で辞めました。カフェにいたっては3日しか続かなかったです(笑)。
──では大学時代は、学校以外の時間をどうやって過ごすことが多かったんですか?
源藤 学校が終わったら直帰で、お母さんとテレビを観ながら一日を終える、みたいな。
──大学卒業して22歳で芸能界に入るって親に反対されませんでしたか。
源藤 そういうことに反対する親ではないんですよ。
──他人みたいですね(笑)。事務所に入った当初は仕事も少ないでしょうし、バイトもしないから時間も有り余っていたんじゃないですか。
源藤 いつもNETFLIXで『ゴシップガール』とかの海外ドラマを観ていました(笑)。そんな毎日が続いていたので焦って自分でプロフィールを作って、事務所のマネージャーさんたちに配っていたんですよ。マネージャーさんも名前ぐらいは知っていると思いますけど、直接渡してお話した方が覚えてもらえるかなと。それがきっかけでオーディションのお話も頂けたので、多少の効果はありました。
──オーディションの結果はどうだったんですか?
源藤 幾つかCMのお仕事は決まりました。ただ今もなんですけどお芝居のオーディションは、なかなか受からないですね。
──あまり自己アピールは得意じゃなさそうですよね。
源藤 確かに……。最初は「何もできませんけど頑張ります」って言ってました(笑)。今は特技とかを披露してますけど。
──特技というと?
源藤 回し蹴りとか河童のモノマネとか。
──事務所のプロフィールには「特技 メルカリ、早着替え」というのも書いてありますね。
源藤 メルカリで物を売って月に25万円ぐらい稼いだことがあります。そんなに高い商品じゃないんですけど、たくさん数を売りました。トータルで80万円以上は売ったはずです。バイトをしない分、メルカリで収入を得ていたんです。早着替えは、今はやってないんですけど、ジャケットを着たまま一回転したら、インナーのTシャツが一瞬で変わります、みたいな。
──それは地味にすごいですね。
源藤 YouTubeで観ました(笑)。
──パクリですか(笑)。趣味に挙げている「ビル巡り」も気になりますね。
源藤 丸の内、汐留、西新宿、赤坂あたりのオフィス街が大好きで、街並みに近未来的な雰囲気を感じるんです。そこにいると物語の登場人物になれた気がして、ボーッと眺めているのが好きなんですよね。
──女優志望のはずが、バラエティのお仕事が多いことについては、どう思っているんですか?
源藤 バラエティのお仕事は好きですし、自分からお笑い芸人さんとの会話を盛り上げることができたら、もっと楽しくなると思います。ただ私は対人関係を築くのが苦手なので、そこがいつも不安です。
──昔から対人関係は苦手なんですか?
源藤 ちっちゃい頃からですね。何を喋ったらいいか分からないし、ドキドキするし。本当の自分じゃない自分を見せないと一瞬で嫌われると思ってしまうんです。
──仲の良い人には本当の自分を見せられるんですか?
源藤 仲良くなってくると素で喋れるようになりますけど、陰で悪口は言われるので気を付けるようにしています。
──実際に自分の陰口を聞いたことはあるんですか?
源藤 あります。
──女性同士のグループだと、そういう陰口が多そうなイメージですが……。
源藤 だから苦手ですね。ただ大学では「チロリアンガールズ」って女の子6人組のグループを作って、一緒に行動していました。
──グループ名の由来は?
源藤 メンバーの1人が、たまたまチロリアン柄の靴下を履いていて、そこからです。一緒に遊んで、「これがチロリアンガールズのポーズ」とか言いながらポーズを決めてプリクラを撮って。ダサかったですね(笑)。
──6人も友達がいれば十分じゃないですか。
源藤 ただ、その中で、1対1で遊びに行く子は1人もいなかったです。6人では遊ぶけど個人では仲良くない、みたいな感じで、お互いに陰で悪口を言い合っていたんです。
──めちゃめちゃ陰険なグループじゃないですか(笑)。女子同士のマウントの取り合いとかも苦手そうですね。
源藤 苦手でしたし、いつもマウントを取られていました。
──それに対して口答えはしなかったんですか。
源藤 最初はしなかったので、家に帰ってから「なんで傷つくことをハッキリ言うんだろう」って毎日のように泣いていました。ただ徐々に慣れてきて、みんなで遊ぶってなったら、ドキドキしながらも「言われたら絶対に言い返そう」と思って戦闘態勢で行くんですよ。
──だったら行かない方がいいでしょう。
源藤 そうなんですけど、自分には友達がいないと思いたくなかったんですよね。
──今でもチロリアンガールズのメンバーとは会っているんですか?
源藤 大学卒業後は一切会ってないですね。
──大学卒業後に、新しい友達はできたんですか?
源藤 卒業後は1人もできてないです。今年のお正月も、友達からは1人も「明けましておめでとう」ってメッセージが届かなかったです。寂しかったですよ……。
──たとえば源藤さんの出演したバラエティ番組を見て、チロリアンガールズから「テレビ観たよ」みたいなLINEは届かないんですか?
源藤 全員ブロックしました(笑)。じゃないと上から目線で、「新しいこと始めたんだ。芸能界に入りたかったんだ」って絶対に来るんですよ。そういうことで傷付きたくなかったんですよね。ストレスは一切溜まらないんですけど、寂しさはありますね。
──地元夕張の友達は1人もブロックしてないんですか?
源藤 してないです。ただLINEを知っているのは3人ぐらいですからね。電話帳は家族とお仕事関係以外は病院ぐらいです。
──余計なストレスがないことは良いことですけど。
源藤 その分、誰かから学んだり、刺激を受けたりすることもないですけどね。家族といるのも楽しいですしね。
──それこそ『ゴシップガール』を観ていたら人間関係が羨ましくなりません?
源藤 確かに人生が潤うんだろうなと思います……。これから友達を作っていこうと思います。
マネージャー この前、友達ができそうって報告があったんですよ。
──わざわざ友達ができたことをマネージャーさんに報告するんですか(笑)。
源藤 いや、一瞬できそうだったんですけど、友達にはならなかったです。
──どんな人だったんですか。
源藤 テレビの共演をきっかけに知り合った女性タレントさんです。「すごく仲良くなれそうな気がするからゴハンに行こう」って誘ってくれたから2人で食事に行ったんですよ。それで一緒に焼肉を食べに行きました。
──会話は盛り上がったんですか?
源藤 たくさん話してくれたし、私の話も聞こうとしてくれたんですけど、すごく仲良くならないと話さないような質問をしてくるんですよ。「ちょっと話せない」って答えを濁しても、「プラチナムは怖いって聞くんだけど実際どうなの?」って次々と探ってきて(笑)。私はプラチナムに不安を感じたことがなかったのに、そんな話をどんどんしてくるので不安になっちゃって。逆に「そっちの事務所はどうなの?」って聞いたら、「うちは超楽しい」って答えで(笑)。それっきりプライベートで会ったことはないですし、向こうも私とは合わないと思ったのか連絡もないです。
──それ以外に友達ができそうになったことはないんですか?
源藤 本当にないんですよ。
──友達がいないと飲み会の誘いもないですよね。
源藤 全くないです。外でゴハンを食べる時も1人ですしね。なので最近はお酒自体も飲まないです。
──『ゴッドタン』の「飲み姿カワイイグランプリ」を見た限りでは明るく飲むタイプに見えましたけどね。
源藤 あれは大学生の時、明るい人に見られたくて、ああいうノリで飲んでたんです。なので素ではあると思います。
──事務所プロフィールには、源藤さんの「取扱説明書(トリセツ)」欄があって箇条書きで書かれているんですけど、幾つか確認させてください。まず「街中で笑い声がしたら自分が笑われてると思ってしまう」。
源藤 昔からそうなんですけど、今も直らないんですよね。だから外を歩いているだけでストレスが溜まります。
──「突然連絡先をリセットしたくなってしまう」。
源藤 もう関りがないなとか、この人から連絡が来ても会いたくないなと思うと、整理しますね。
──「知り合いとすれ違っても、自分のことなんて覚えてないかもしれないと思って挨拶もせずに目を逸らしてしまう」。
源藤 そこまで仲良くない人だと、「あ、久しぶり! おはよう」と言うだけでも緊張して心臓がバクバクなんですよ。褒められても、相手の目をじっと見て、本当かウソかを見抜こうとします。「やっぱ目が笑ってないじゃん」みたいな。
──トリセツに「対人コミュニケーションが苦手な自分を変えるため、大学時代から集めだした自己啓発本があります」と書いていますけど、あまり活きてなさそうですね……。
源藤 活きてないです(笑)。でも大学生の時は本に書いてあることを実践してたんです。自分から挨拶したり、いろんな子と遊びに行ったり、たぶん当時は明るい子だと思われていたのかな。だけど気持ちが入ってないから、好かれることはないんですよ。
──「LINEのブロックリスト250名以上」と書いてありますけど、それだけLINE交換できた時期もあったってことですよね。
源藤 大学生の時は頑張って増やしました。友達が欲しかったから、喋ったことのない人とも交換していましたね。今はLINEを変えたので、ブロックの数は減りましたけど。
──その250人の中に友達になれそうな良い人はいなかったんですか?
源藤 いましたけど、そういう子に対しては「自分と合わないんじゃないか」「こんな素敵な女の子が私となんて仲良くしてくれるの?」って思います。
──考え過ぎですよ! そんなことばかり考えていたら病みません?
源藤 人とコミュニケーションを取っているとモヤモヤしますよ。でも今は友達がいないのでストレスが全くないです。楽しいこともないですけどね(笑)。
──普段の喋り方はバラエティの時よりも落ち着いてますよね。
源藤 あまり意識はしていないんですけど、バラエティの時はハキハキ喋るようにしています。
マネージャー バラエティだとスイッチが入るんですよね。あと変わった子に見られたいらしいんです。人と同じだと思われたくないみたいで。
──普通にしているだけでも十分変わっていますけどね(笑)。
源藤 変わった子と思われた方が興味を持たれるって、子供の頃に思い込んでしまって、それが今も続いているんですよね。なので小学生の時から、みんなと違う意見を言って、そういう考え方もあるんだって思われるようにしていました。
──そこはバラエティ向きなのかもしれないですね。
源藤 でもバラエティは出る度に緊張します。もうドキドキで、手汗がヤバいですし、口の中がカラカラになるし。芸人さんからしたら、私みたいな何も考えてないバカは出るな、腰掛で来やがってと思っているんじゃないかって怖くなりますね。日常生活でも緊張していますからね。コンビニでも後ろの人に邪魔って思われてないかなとかドキドキですし、どこにいても誰かに見られているって絶対に思うし……。
──家以外は心が休まる暇がないですね。グラビアのお仕事は緊張しないんですか?
源藤 緊張はしますけど超楽しいです。
──撮影ではカメラマンさんの褒め言葉を疑わないんですか?
源藤 どうせブスだなとか、胸がちっちゃいなとか考えながら見ているんだろうなとは思いますけど、それは誰に対してもそうなので気にしないようにしています。
──水着への抵抗感はなかったんですか。
源藤 プライベートでは海に行っても水着姿にならないぐらい抵抗感があります。大学時代、チロリアンガールズの子とグアムに行った時も水着姿にならなかったですからね。でも、なぜかグラビアは大丈夫なんですよね。特別、撮られるのが好きって訳じゃないんですけど、水着の形が可愛いですし……。
──そうしたお仕事の積み重ねが自信に繋がっていく可能性もありますからね。最後に今年の目標は?
源藤 やっぱり演技のお仕事がしたいですし、どんどんグラビアもやっていきたいです。バラエティにもたくさん出て、ちゃんと頭を使って芸人さんたちと会話ができるようになりたいですね。
▽源藤アンリ
げんとう・あんり。1995年3月22日生まれ、北海道出身。「あざカワ女子代表」。『週刊スピリッツ』や『FLASH』で表紙を飾るなど、グラビアでも活躍中。昨年『有吉反省会』(日本テレビ)に出演し大きな話題になり、一躍ブレイクを果たす。