卒業後はコラム執筆などを続け、このほど書籍を発売したばかりの吉沢に、AV時代の話から「恵比寿マスカッツ」のメンバーとして活躍したアイドル時代の話、そしてAV引退後の今の話を聞いた。(3回連載の3回目)
>>インタビュー(1)「新人時代と恵比寿マスカッツ時代」はこちらから
>>インタビュー(2)「AV女優としてのジレンマ」はこちらから
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──AV引退後、こういう活動をしようみたいなプランはあったんですか?
吉沢 応援してくださったファンもいらっしゃいますので、そこで完全に引退というよりは、芸能活動は続けていこうと思いました。ただレギュラーが決まっていた訳でもなかったですし、しばらく休ませてもらって、旅行にでも行こうかなと漠然と考えていました。いざAVを引退して休んでみると焦りもあって。「私これから大丈夫かな?」って不安になりました(笑)。それまでは毎週末イベントで地方に行ってたので、なくなってみると寂しかったですね。
──引退後は不定期にオフ会などを開いていますけど、それ以外はどう過ごしていたんですか。
吉沢 料理教室に通ったり、旅行に行ったり、趣味の時間にあてていました。最近はサウナにハマっています(笑)。
──どうしてサウナにハマったんですか?
吉沢 札幌で番組をやらせて頂いてたんですけど、そちらのスポンサーさんが男性専用のスパを経営していて、ロウリュのイベントに出させて頂いたんです。
──吉沢さんがタオルを振るってことですか?
吉沢 はい(笑)。
──料理教室は花嫁修業のためですか?
吉沢 それもありますけど(笑)。純粋に料理を作るのが好きなんです。
──本書では交際男性のことも赤裸々に綴っていますが、躊躇しなかったですか?
吉沢 かなり躊躇しました。できれば書きたくなかったです。16年間、「付き合っている人はいません」というのを通してきたのに、ファンの方が、これを読んだ時にがっかりするんじゃないかって心配な部分もありました。でも吉沢明歩として活動してきて、表ではファンの方に支えてもらったんですけど、裏では交際した男性に支えてもらったこともあって、どちらも書かないと厚みが出ないなと感じたんです。
──過去の恋愛を思い返すと辛い面もありますよね。
吉沢 思い返してみたら自分本位な恋愛ばかりしてきたんだなと反省しました(笑)。
──別れを切り出すのは吉沢さんからが多いですが、あまり男性に依存するタイプではないんですか?
吉沢 交際している時は依存するんですけど、常に自分の中では仕事が第一にあったので、それが揺らぐぐらいだったら一緒にいなくてもいいかなって。最初から人気女優ではなかったので苦労した時代もあったし、自分なりに悩んで今のポジションがあるって考えると、仕事に理解のない相手に対して「それまでの私の苦労を知らないでしょう」って思うんですよね。
──結婚願望はあるんですか。
吉沢 あります。二十代の時は仕事の幅が広がっていくのが嬉しくて、全く結婚願望がなかったんです。マスカッツの活動が終わって、デビュー10周年を迎えた時に、「そろそろ引退?」みたいな声がファンの間でもちらほら出始めて。そのあたりから結婚願望も出てきたんですけど、ファンが心配している引退説を良い意味で裏切りたかったんです。海外の仕事もあって、まだまだやれるなって自信もあったし、もうちょっとやりたいなって気持ちで続けていたら16年経っていたんですけど(笑)。
──何歳まで結婚したいですか?
吉沢 四十代の大台に乗る前にという思いはありながらも、年齢を気にして結婚したくないなって気持ちもあって。本当に自分のことを思ってくれる素敵な人と巡り合えたら考えたいですね。
──どういう男性なら結婚したいなと思いますか。
吉沢 やっぱり私が16年間やってきたAV女優というお仕事を理解してくれるのが一番大事なんですけど、その上で同じような価値観を持っている方なら、長く一緒に生活できるのかなと思います。
──今は焦りもなく?
吉沢 焦りはあるんですけど(笑)。焦ってもしょうがないですしね。
──最後に改めて『単体女優』を書いてみての感想を教えてください。
吉沢 これまでカッコつけて生きてきた部分もありましたし、みなさんの中に吉沢明歩のイメージがあって、それを崩したくないなという思いにとらわれていました。でも今回、リアルな心情や出来事を書くことによって、素の自分を届けることができましたし、改めて夢のような16年間を過ごすことができたんだなって幸せを実感できました。

▽『単体女優 AVに捧げた16年』(光文社)
発売日:3月28日
定価:1,760円(税込)
出版社:光文社