AKB48と乃木坂46は太陽と月のような存在になりつつある。6月7日、48Gが味の素スタジアムに7万人を集めて選抜総選挙を行っていた時も、乃木坂46は赤坂ACTシアターで1300人を前に『16人のプリンシパルtrois』を開催していた。
しかし、乃木坂メンバーはどこかそわそわしていた。乃木坂46の象徴である生駒里奈が、交換留学生として選抜総選挙に立候補していたからだ。 現在開催中の『16人のプリンシパルtrois』を改めて説明すると、第一幕で10パターンの役に立候補したメンバーたちによるオーディションが行われ、その演技を観て観客が投票し、第二幕に出る16人が選出される公演だ。今回のオーディションでは、2~5人がボケやツッコミにまわってコントを行う。今年は「面白さ」が基準のひとつになっているため、これまでの2回とは少し違った結果が出ている。 5月30日の開幕からすでに1週間が経ち、舞台ではいくつものドラマが展開されていた。1期生で唯一選抜経験のない斎藤ちはるの快進撃。生田絵梨花と若月佑美の無双モード突入。西野七瀬と松井玲奈の一騎打ち。橋本奈々未の復帰。2期生の伊藤かりんが主役に選出されるetc……挙げていけばキリがないのだが、その裏には中元日芽香や北野日奈子など「選ばれない者」の悔し涙もあった。 48Gの選抜総選挙の開票があった6月7日も当たり前のように公演は行われた。
昼公演では、『プリンシパル』が得意ではない生駒が若月の連勝をストップ。第二幕でエステル役(戦士)を演じた生駒は、そのまま味の素スタジアムへと向かった。 開票と同時刻から行われた夜公演の第一幕。主役のポリン姫役には松村沙友理だけが立候補し、「会場に親が見に来たメンバーは第二幕に出られない」というジンクスを破った。コントでは、「さゆりんごパンチ」の松村と同じく「ひめたんびーむ」という必殺技を持つ中元を相方に指名。激戦区での立候補が多く、なかなか役を獲得できない中元への激励ではないかとも思えるシーンだった。 斉藤優里が和田まあや、齋藤飛鳥と大和里菜が高山一実のモノマネで笑いを生んで役を獲得したが、この公演でもっとも演技と発想に優れているように思えたのは桜井玲香だった。設定は「取り調べ」で、桜井が容疑者役(ツッコミ)、伊藤万理華、新内眞衣、中元が刑事役(ボケ)。笑いどころの少ない容疑者役は不利であるが、桜井はミニカーで遊ぶ動きを見せ、スッと悪ガキを憑依させた。自供させようとする3人の刑事に対して、新内には「ババア」、万理華には「童顔」、中元には「バカリボン」と的確に悪態をついていく。桜井は内輪ネタを初見でも届くように昇華させていたのだ。生駒の総選挙への出馬に対して背中を押した桜井は、強い覚悟を持って舞台に立っていたのかもしれない。
また、白石麻衣は「総選挙が気になってしかたありませんが、生駒ちゃんの分までがんばります!」、若月佑美は「私にとっての総選挙はここだと思っています」と力強く宣言して、ふたりとも役を獲得する。若月はこれで10役中9役を制覇した。 第二幕。松村の「バナナマンの設楽さん並みの(ツッコミの)長さ」というアドリブに、「設楽さんはボケです」と返すなど、飛鳥がたびたび機転の効いた発言をしていた。ルイーダ役の生田がセンターで西野、橋本、星野みなみ、堀未央奈と歌うという夢のユニットが実現。“あの役”での若月の顔芸が素晴らしい。ラストシーンでは、松村が白石に抱きつけば、生田が星野とじゃれあうという、乃木坂の関係性が伝わるアドリブにほっこりした。 第二幕が終わり、筆者はスマホの電源を入れたが残念ながら圏外。しかし、まわりの客席のあちこちから「14位」という声が聞こえてくる。「まさか」「いや、それはないだろう」と頭の中で様々な思いが駆け巡っていると、『overture』が流れて第三幕(歌唱パート)が始まった。 1曲目の『気づいたら片想い』が終わると、キャプテン桜井が「今、味の素スタジアムにいる、我らが生駒里奈、なんと、14位!」と選抜総選挙の結果を報告。客席からは「オーー!!」という大歓声が起きる。
第二幕に出演していなかった衛藤美彩・中田花奈・永島聖羅・秋元真夏が大興奮で、生中継で放送されていた生駒の様子を伝える。申し訳なさそうに登壇する姿を『NOGIBINGO』でのキャラ(?)でもある「山のおじさんみたいだった」と話しながらも、乃木坂46という単語を何度も出したことに歓喜していた。 桜井は「遠い存在になっちゃいそう」と不安を口にしながらも「乃木坂のためにがんばって、兼任に立ち向かっている」生駒を「支えていきたい」と話した。そして、「今までの公演で一番盛り上がっていきましょう!」と『ロマンスのスタート』を全力でパフォーマンス! 桜井と白石は生駒が乗り移ったかのような煽りで会場を沸かせ、客席からは飛田給まで届きそうなほどのコールが飛んだ。最高のライブに、桜井は「今までで一番盛り上がった」とつぶやいた。 show must go on。翌日も『プリンシパル』は行われた。立候補で生駒の名前が呼ばれると、客席からは「おめでとう!」の声が飛ぶ。しかし、生駒が立候補したロザリオ役を獲得したのは生田。そう、『プリンシパル』は限りなくフェアな現場なのだ。 第三幕のMCで、生駒は総選挙の結果について何度も「私の実力じゃない」と話し、メンバーやファンへの感謝を口にした。そして、味の素スタジアムで見た景色を乃木坂46でも観たい気持ちを吐露し、「乃木坂は日本一とれると思います。
とるよー!」と宣言。6月7日は、48Gだけでなく乃木坂46にとっても大きな転機となる一日だったのだ。 大貫真之介 アイドルとお笑いを中心に執筆。乃木坂46写真集『乃木坂派』、『EX大衆』、『TopYell』、『日経エンタテインメント』、『an an』アイドル特集号、などで乃木坂46のインタビュー記事を担当した。
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