中でもたった1人、アプガ(仮)だけでなく17年間親しんできた芸能界そのものから去る選択をしたのが森咲樹だ。アプガ(仮)メンバーがそれぞれ後輩グループ、アプガ(2)メンバーと対談する“闘魂伝承企画”3回目は、<前半>から引き続き、森咲樹と新倉愛海の対談をお送りする。
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新倉 私がグループに入ったとき、「森さんは本当に優しい人だから。安心して頼っていいと思うよ」ってリーダーの(高萩)千夏ちゃんさんに言われたんです。だから第一印象から今に至るまで、森さんといえばとにかく優しい人というのが私の中のイメージ。さっきは「お母さんみたい」と言いましたけど、むしろジャンル的には神に近い感じですよね。本当に存在が神々しくて……。
──いずれにせよ、森さんは先輩としてビシバシ鍛えるタイプではなかったということですね。
森 厳しいことを言う役割は(所属事務所社長の)山田さんがいますから。パフォーマンスに関しても、たとえばダンスだったら(古川)小夏ちゃんがズバっと指摘する感じで。単純にスキルがありますからね。じゃあ私はというと、メンタルの部分をケアするのが先輩としてできることかなと考えたんです。
──なるほど。森さんが後輩から非常に慕われていることは非常によく分かりました。では、ここからは新倉さんからの相談コーナーにしたいと思います。こんな機会、最後かもしれませんよ。
新倉 本当にそうですよね。森さんが卒業されるということで、やっぱり相談したい内容も進路に関係したことになっちゃうんですけど、今後については私も考えることがあるんです。今、私は高2だから、普通だったら大学進学とか就職について考える時期じゃないですか。アイドル活動に不満があるわけではないけど、「このままでいいのかな?」って迷いもあって。
森 あぁ、すごく分かるな。私も大学4年の頃に同じことを考えた。周りが就職活動とかしていると焦るんだよね。
新倉 でも結局、森さんは17年間も走り続けたわけですよね。それは「自分は何がなんでもアイドルをやるんだ!」という強い意志があったからだと思うんです。どうしたら、そんなにブレずに生きられるんですか?
森 う~ん……でも、自分からすると「気がついたら17年も続いていた」という感覚なんだ。オーディションを受けた時点では、「今から17年アイドルを続けるぞ」なんて考えたわけではもちろんなかったし。そのときそのときの自分の気持ちの素直に従っていたら、17年も経っていたというか。一番大きかったのは、ステージに立って歌って踊ることが好きという気持ちなんだよね。愛海ちゃんも歌とかダンスは好きでしょ?
新倉 はい、大好きです! そこは小さい頃から変わらないかもしれない。私、すごく人見知りで内弁慶なんですけど、歌とかダンスを人から見てもらうのは昔から好きだったんですよ。自分が習得したダンスや歌を披露して、周りの人たちから「よかったよ」と言ってもらえるのが何よりもうれしくて。
森 素晴らしいじゃん!
新倉 歌やダンスが好きだという気持ちは、これからも一生変わらないはずです。上手くいかなくて落ち込むこともたくさんあるけど、それでも頑張ろうって思えますし。自分の歌で幸せになってくれる人がいるということが、私にとっては最高の幸せなんです。
森 最高! 大事なのは「今この瞬間に何をやるべきか?」という考え方なのかも。もちろん就職や大学進学も大切なことだと思うけど、今じゃないとダメかって考えるとそんなこともないから。だけど、17歳の愛海ちゃんが放っているキラキラのアイドルオーラは今しか出せないものなんだよね。今、この瞬間しか出せないものなの。だから今はアイドルを全力でやり切るっていうのが私はいいと思うな。
新倉 ありがとうございます! 今の言葉を聞いて迷いが立ち切れた気がします!
森 せっかくだから、なんでも聞いてよ。
新倉 ホントですか? じゃあ家族のことについてもご相談したいです。さっき森さんが家族大好きだと言っていましたけど、私も家族にはすごく感謝しているんですよ。だけどそんな家族に対して、どうやって感謝の言葉を伝えればいいのか分からないんです。毎日一緒にいるから、今さら改めてありがとうって言うのも恥ずかしくて……。
森 伝え方の問題か~。それはね、逆に親の立場になって考えた方がいいよ。
新倉 なるほど。そういうものですか。
森 私も芸能活動を辞めるってお父さんに伝えたとき、「もったいない」って引き止められたの。「アプガやアイドルじゃなくなったとしても、咲樹がキラキラできる場所が芸能界にあるんじゃないの?」って。
──ある意味、お父さんは森さんの最大のファンなんでしょうね。
森 そうかも。愛海ちゃんはご両親をライブに呼んだりする?
新倉 はい! ライブにも来てくれますし、配信も観てくれています。家でTwitterを更新すると、家族全員の携帯が一斉に鳴るんですよ。みんな、チェックしてくれているから。
森 あぁ、分かる! 愛海ちゃんのお父さんも、Twitterに上がった愛海ちゃんの写真をいっぱい保存しているかもしれないよ。
新倉 そうか~。じゃあ私も父ちゃんに向けて自撮りするイメージで……。
森 いや、そこはファンの人に向けてでいいんだけどさ(笑)。でも家族の支えがないとアイドル活動なんて絶対に不可能だから、本当に感謝だよね。愛海ちゃんがそういう気持ちを持っているだけで、ご家族はうれしいと思うよ。
──さて、それでは最後に新倉さんから卒業する森さんに感謝の言葉などあればお願いします。
新倉 森さんからかけていただいた言葉というのは自分の中で本当に大きくて、これから生きていくうえでも絶対に忘れないと思うんですね。やっぱり17年間走り続けてきたからこそ言葉に重みがあるというか、自分たちがくじけそうになったときに思い出すべき考え方で。私は本当に先輩としてだけではなく、1人の人間として森さんのことを尊敬していますし、その気持ちは森さんがここを去っても変わらないです。だから離れるのは寂しいけど、これからも森さんらしく輝いていてほしいなって思います。
森 エヘヘ……。ありがとうね(笑)。
──最後に森さんからメンバーやファンに向けてメッセージをお願いします。
森 まず愛海ちゃんに言いたいのは、とにかくアイドル活動を楽しんでほしいということ。それと同時に人生はアイドルだけではないから、世の中全体のことにも広く目を向けた方がいいというのが17年アイドルをやってきた私から言えることです。もちろんグループは大事だけど、自分自身をおろそかにしてもいけないですから。
──学業1つとっても、芸能活動と両立させることは難しいテーマですけどね。
森 たしかに難しいです。だけど、そこは意識していると全然違いますから。それと走り続けていたときはまったく気づかなかったけど、今こうやって振り返ってみると、アップアップガールズというのは最強の軍団なんですよ。それは本当に強く感じます。だからアップアップガールズ(2)の一員である愛海ちゃんも、これからすごい経験をいっぱいできるはず。それはすべて自分の人生の糧になるから、より大きな花を咲かせてほしいなと思います。
新倉 ……分かりました。しっかり覚えておきます。
森 私自身のことを振り返ってみても、やっぱりアプガで経験したことというのはすべてが貴重な財産になっていますから。ファンの方、メンバー、スタッフさん……アプガで出会った人たちも絶対に忘れないでしょうし。ファンの方に伝えたいのは、これまで応援してくださって本当にありがとうございますということ。これからはアイドルではない人生を歩むことになりますけど、私らしく楽しく生きていくつもりなので、心のどこかで応援していただけたらうれしいなと思います(微笑)。
──森さん、改めてご卒業おめでとうございます!
森 ちょっと! まだそれは早いですって(笑)。年内いっぱいは活動しますし、その前に12月17日に5人体制で最後のライブがあるので、ぜひ遊びにきてください。森ティからの最後のお願いです!
(取材・文/小野田衛)
▽メンバー卒業までのアップアップガールズ(仮)
古川小夏、森咲樹、佐保明梨、新井愛瞳の4名がグループの卒業を発表したアップアップガールズ(仮)。11月10日(火)には5人体制最後のアルバム『6thアルバム(仮)』をリリース。また、12月17日(木)Zepp Tokyoにて5人最後のライブ「アップアップガールズ(仮)FIVE SOUL FOREVER」を開催する。グループに残る関根梓は、新メンバーオーディションの合格者とともに新体制を作っていく。