日本製鉄は9月30日、カナダのKami鉄鉱石鉱山の権益30%を取得し、開発・操業に向けた合弁会社「Kami Iron Mine Partnership」をChampion Iron(CI)および双日と共同で設立したと発表した。同鉱山から産出される鉄鉱石は、直接還元鉄(DRI)の製造に適した、世界的にも稀少な高品位のDRグレードであり、今回の権益取得を通じて、DRIの原料確保と連結収益水準の向上を図るとしている。


○会社設立の背景

同社は、CIが保有し新規開発を検討しているカナダ・ニューファンドランド・ラブラドール州のKami鉱山を対象に、すべての前提条件が充足されたことから、100%子会社のNS Canadian Resources, Inc.を通じてパートナーシップの持分30%を取得し、正式に合弁会社の設立にいたったという。

権益対価の総額は1億5千万カナダドルとされ、日本製鉄はまず4200万カナダドルを支払った。権益対価の残額1億800万カナダドルは、フィージビリティ・スタディの結果を踏まえた追加出資の意思決定を経たのちに支払う方針だ。

Kami鉱山から産出される鉄鉱石は、直接還元鉄の製造に適したDRグレードと呼ばれる高品位鉱であり、鉄鋼の脱炭素化への対応が求められる中で、次世代製鉄プロセスである直接還元法に必須の原料であることから、その重要性は極めて高いと見られている。

日本製鉄は今回の権益取得と合弁化により、安定的な高品位鉄鉱石の調達基盤を確立し、連結収益水準の向上と競争力強化を図る考えだ。
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