日本製鉄は10月1日、同社の九州製鉄所大分地区の環境保全林「郷土(ふるさと)の森」が、地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト」に認定されたと発表した。単独での申請としては初の認定となる。


○取り組みの概要

自然共生サイトは、国の30by30目標(2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全)に基づき、生物多様性の保全が進む区域を認定する制度。

大分地区の郷土の森は、旧大分製鉄所の発足(1971年)と同時に、故・宮脇昭氏(横浜国立大学名誉教授)が提唱した「郷土の潜在植生調査に基づくエコロジー手法(宮脇方式)」を、工場緑化として世界で初めて取り入れた環境保全林とされる。

風土に合った樹種の選定や植栽密度、混植の工夫などにより、人工林でありながら在来の生態系に近い、植生学的にも貴重な持続的な森づくりを実現しているという。今回、宮脇方式を採用してから50年が経過した森としての価値と、その維持に向けた取り組みが評価されたとのことだ。

今回の認定を受け、大分地区では「郷土の森」の保全活動に加え、動植物のモニタリングを通じて50年を経た森の価値を「見える化」する取り組みを進める。また、景観面で地域住民に喜ばれるよう、老齢化した桜並木の植え替えも加速させるとしている。

同社は、これらの取り組みにより製鉄所における生物多様性の向上を通した持続可能な社会の実現に貢献していく方針だ。
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