「最近おりものが増えた気がする……」
原因も分からずおりものが増えたら、体の異常なのか気になるところ。もしかしたら、そもそも正常な状態もよく分からない、という方も少なくないと思います。
おりものが増えた? 量が多い目安とは
個人差はありますが、おりものシートを使用してショーツが汚すことがなければ、正常なおりものの量といえます。でも、「おりものシートを1~2時間以内に替えないといけない」、「生理用ナプキンを使わないといけない」という場合は、おりものの量が多いといえるでしょう。おりものが多くなる主な理由は3つ。
(1)排卵期だから
排卵の前後はおりものが増えることもあります。また、20代~30代前半は女性ホルモンの分泌量が多く、おりものの量もピークを迎える時期なので「量が増えた」と感じる方は少なくありません。
(2)膣内の細菌によるもの(細菌性腟炎)
膣内はとてもデリケート。ストレスや寝不足による免疫力の低下や、膣の洗いすぎによる常在菌の減少から細菌が繁殖すると、おりものが増えやすくなります。
(3)ウイルス感染によるもの(性行為感染症)
性行為による感染症(クラミジアやトリコモナスなど)の影響で、おりものが増えることも。膣に激しいかゆみや痛みがある、おりものに血が混ざる、ポロポロのかたまりが出るなど、気になる症状があれば早めに婦人科を受診しましょう。
おりものが増えたときのセルフケア方法
おりものの量が増えたときの主なセルフケア方法は下記の3つになります。
(1)おりものシートを正しく使う
おりものシートはこまめに交換し、デリケートゾーンを清潔に保ちましょう。また、おりものシートを毎日使うのも雑菌が繁殖する原因に。排卵の時期など、おりものが多い時期のみ使用するようにしてください。
(2)下半身を動かして血流を良くする
骨盤底筋や腰周りをストレッチしたりマッサージしたりするなど、下半身をよく動かすことも心がけましょう。血流が良くなると膣へ栄養が届き潤いやすく、雑菌やウイルス感染を防ぎやすくなります。
(3)デリケートゾーン専用の洗浄剤や保湿剤を使う
デリケートゾーン専用のアイテムもおすすめ。外陰部を石鹸でやさしく洗い、洗浄後はきちんと保湿して、清潔や潤いを保ちましょう。
おりものケアには漢方薬もおすすめ
おりものが増えたと悩む方には、漢方を服用するのもおすすめ。漢方は婦人科の診察でも、自然由来の治療薬として使われています。
おりものの異常に対しては、「ホルモンバランスを整える」「泌尿・生殖器の炎症を鎮める」「ストレスが原因のおりものを軽減する」「水分の循環をよくして、老廃物を排出し、おりものを軽減する」「血流を改善して膣に栄養を与える」といった漢方薬を選びましょう。また、おりものだけでなく、「デリケートゾーンのかゆみ」「排尿痛」などの症状に効果が認められている漢方薬もあります。
<おりものケアにおすすめの漢方薬>
・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)…比較的体力のある方におすすめの漢方薬。陰部の熱を冷ますことで炎症を鎮め、おりものに働きかけます。
・温経湯(うんけいとうん)…冷え症だが手足のほてりが気になる方におすすめの漢方薬。気、血(けつ)の巡りを良くすることで、からだの熱バランスを整えておりものに働きかけます。
漢方薬を選ぶときに大事なのは、自分の体質や状態に合っていること。合わない漢方薬は、効果が得られないだけでなく、副作用が起きることもあります。どの漢方薬を選べばいいのか分からない時はAIオンラインサービスを利用するようにしましょう。
おりものの量が多くなるのは、生理周期によるものや細菌、ストレスや疲れなどさまざまな原因があります。今回紹介したセルフケアや漢方薬を採り入れることで、おりものと上手に付き合っていきましょう。でも、どうしても膣に我慢できない痛みやかゆみなどがある場合は、早めに婦人科を受診してくださいね。<text:医師 木村 眞樹子>