伊勢神宮から熊野本宮大社まで170キロを5日ほどかけて歩くことにした徒歩旅企画の続き。

そんな甘いものではありませんでした。

400キロの徒歩旅を遂行した経験から軽く考えていたのですが、

当時は40代前半で、

ハーフマラソンにも出場し、

普段の生活もクロスバイクが中心で基礎体力があったのです。

近年はマラソンどころかクロスバイクにも乗っておらず、

ウォーキングどころか近所の移動でさえ車を利用していました。

何より加齢。

身体のいたるところに不具合が出てきました。

日々、古い中古車を乗りこなすように身体を労わり、

初日10キロ、昨日は19キロと無理せず進めていきます。

3日目は筋肉痛なのか関節痛なのか痛みが増し、

1日早く切り上げて自宅に戻ることにしました。

これが現実。

トレーニングを始めなければならないことを痛感しました。

しかし、日々、変化している脳を携えた徒歩旅は楽しい。

「一棟貸し民泊できそうだなぁ」

と空き家の前でリフォームを想像し、

「母はAudible(テレビやラジオより本の朗読を聴く方か楽しいらしい)の操作できているかなぁ」

と停車中の高齢者施設の送迎車に軽く会釈します。

「この田んぼは、どこから水を入れるんだろう」

と田んぼの周囲を歩き回り、

「東京までの徒歩旅の時、途中で合流してついてきた修行僧(僧侶なのに背中にキリストのタトゥが入っていました)の若者は元気かなぁ」

とコンビニの外で煙草を吸う若者の隣で水分補給しながら物思いにふけり、

挙げ句の果てには、

「今日は終了だな」

とつぶやいて、気になる食堂に入ってビールを飲み、

スマホで近くのホテルや公共交通機関を探し、移動してしまいます。

「祈りの道」と修行のようなタイトルとは程遠い。

それでもマイペースで旅企画を楽しみたいと思います。<text:イシコ>

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