2018年に結婚し、2020年7月に第一子が誕生した三浦翔平さん。プロママ集団・MOTHERS編集部が全面サポートのもと、各分野専門のプロママに育児のコツについてレクチャーしてもらい、真の「プロパパ」への道を目指していく。

前回公開した第1回目は、毎日忙しい中で三浦翔平さんが取り組んでいる子育ての様子を聞き、眠りのプロママであるMOTHERS編集部メンバー愛波文さんから寝かしつけについてレクチャーを受けました。

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2回目のテーマは「食事」と「教育」。どちらも子育てにおいて大切なこの悩みを解決していきます!

SPECIAL INTERVIEW

食のプロに聞く!子どもにとって良い食事環境とは?

プロも絶賛!三浦翔平、子育て術の秘訣は夫婦の時間「合格です!...の画像はこちら >>

小脇(MOTHERS編集部 編集長 ※以下略)「今回三浦さんにレクチャーしていただくのは、無添加離乳食のブランド『bebemeshi』を展開する株式会社ベベジャポン代表の平澤朋子さんです。まずはこちらのブランドを立ち上げるきっかけについて、お聞かせいただけますか?」

平澤「私が娘を出産したのは2014年。当時はフリーランスのライターのお仕事がメインだったため、周りも産後すぐに復職するのが当たり前の環境で、娘が5ヶ月になる頃に少しずつ復帰したんです。予期せず、離乳食のスタートと重なってしまって。私は食べることが大好きで、娘にも好きになってもらいたいと思っていて、色々なものを食べさせてあげたかったのですが、思っていた以上に離乳食作りが大変で……。そうなると毎回手の込んだ離乳食を作ることができなかったんです。そこで市販のものに頼ろうと考えたのですが、無添加やオーガニックの食材を使った離乳食が当時はあまり見つからず、作り置きを冷凍してストックしていたんです。だけど娘は冷凍すると味が変わるからか、あまり食べてくれなくて……。そこで思いついたのが、できあがった料理を真空パックにすること。実際に使ってみたらすごく便利で「これはもっと多くのママに伝えたい!」と思い、ブランドを立ち上げたのがきっかけです。」

三浦「実は妻が平澤さんと昔からお仕事をしていて仲良くしてもらっており、こちらの離乳食は我が家でも離乳食期に大変お世話になっていました!妻が不在の時は、これを湯煎して食べさせていましたよ~。」

平澤「嬉しいです!お子さんはどのメニューがお気に入りでしたか?」

三浦「チキンのトマトソースごはんですね。でも、最近は野菜全般を嫌がるようになっちゃったんですよ。

以前は好き嫌いなく何でも食べる子だったのに。」

小脇「2歳くらいになると、嫌いな食べ物が増えてくる子が多いんですかね?うちもなんでも食べていたのに、最近急に好き嫌いが出てきました。」

三浦「僕が食べて「おいしいよ」って言い聞かせると、かろうじて食べる感じですね。」

平澤「その対処法は大正解!パパとママが美味しそうに食べていると、赤ちゃんは食事は楽しいものって理解するんです。まずは両親が楽しそうに食べることが大事かなと思います。あとは、やわらかさやサイズを変えてみたり、星形にしてみたり……。離乳期は見た目に変化をつけるなど、ちょっとした工夫もおすすめですよ。」

小脇「幼児食になってからは、我が家はなぜか急に子どもが大好きなはずのハンバーグを食べてくれなくなったんです。」

三浦「我が家も!ファミレスに行ったんですけど、ハンバーグはおろか、オムライスの卵も食べないし、ケチャップライスとポテトだけをひたすら食べる。栄養の偏りが心配になるから、野菜パウダーを使ってごまかしたり。」

平澤「わぁ、それも我が社の製品です!パウダーなら混ぜやすいし、お野菜の栄養も摂れるので、偏りの心配がなくなるっていう方が多くて、リピーターさんも多いんですよ。」

三浦「そうだったんですね!改めて『bebemeshi』さまさまです(笑)。でも、日によっては何をやっても食べたがらずに泣き叫んじゃうこともあって、さらに白いご飯もダメになってきています。」

平澤「白いご飯が苦手な子も多いですよね。今はいろいろな味を覚えることの方が大事ですから、無添加のふりかけや『bebemeshi』の具沢山おにぎりの素などを混ぜても良いと思います。あと、子どもは見慣れたものや食べ慣れたものを好きになる傾向があるので、食べなくても出し続けることが重要なんです。「食べないから嫌なのかな」と決めてしまい、出さない状態が続くと、本当に食べなくなってしまうんです。」

小脇「でも「きちんとしたものを食べさせなくちゃ!」って、ついつい頑張りすぎちゃうママって多いような気がします。」

平澤「そういうパパ・ママにこそ、『bebemeshi』を使ってもらいたいんです。『bebemeshi』の離乳食は味つけを一切せず、出汁の旨味がしっかり効いていて、3歳までにほぼ決まる味覚形成のお手伝いにもなるんです。頑張りすぎる必要はないけれど、味覚は乳児期に育まれるので、味つけはせず、本来の素材の味を教えてあげたいですね。自分で作ったものを食べてくれないと悲しくなるけど、パッと手軽に温めたものであれば、万が一食べてくれなくても悲しみも半減しますよね。」

小脇「確かに味覚を育てるのは大事ですよね。

我が家もなるべく薄味で育てた影響なのか、大好きなお菓子でも無茶な食べ方はしないかも。」

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三浦「我が家ではお菓子よりもフルーツで対応しています。バナナ、いちご、ドライマンゴー。たまに自分が食べているシュークリームは奪われるけれど(笑)。」

平澤「おやつはご飯を食べてからというルールにすると良いと思います。量を決めてお皿に盛って食べさせるのも大事だと思います。袋ごと渡してしまうと、無限に食べすぎてしまいがちなので。」

三浦「参考になります!もう少し活動的になったら、いろんな体験の1つとして口にさせてもイイかもしれませんね。」

小脇「これで好き嫌い問題は少しずつ解消できそうですね。それ以外で、三浦家の食事の悩みってありますか?」

三浦「食べながら寝ちゃうことですね。それと、じっとしていないことがいちばんの悩みです。」

平澤「現在使っている椅子はどんなものですか?」

三浦「子ども用椅子ですね。その上に立ちあがっちゃうこともあるんですよ。」

平澤「まだ集中できない年齢なんですよね。足が浮いているとバタバタしてしまってお食事に集中できないので、足がしっかりつくことが大切なんです。テーブルと椅子の高さを調整してみてください。」

三浦「それやってみます!でもあまり堅苦しく考えず、自由にすればイイかなって気持ちもあるんですよね。」

小脇「私もそう思うようになりました。ある人の本に、非認知能力を高めるために毎朝違う場所でご飯を食べるって書いてあって、必ずしもテーブルで食べることはないんだなと思い直しました。ある日突然「トイレで食べたい!」って言い出したことがあって、実際にその通りにさせてみたの。

やってみたら、狭いし食事をする場所じゃないってことを子どもなりに理解したみたい(笑)。だから、いろいろ体験して覚えさせればいいかなって。」

三浦「その発想は大事ですね。ウチも自由にやらせてみようかな。」

小脇「私のママ友は子どもが食べないと悩んで、新幹線のプラレールに、回転寿司のようにレールに乗せて運んでみたり、ピクニック用のお弁当箱に入れたりと、いろんな工夫をしてましたよ。」

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三浦「みんな工夫してますね!でもレストランに行ったら、そこでは絶対に椅子に座るように言い聞かせるかな。TPOはしっかり学ばせたいなと。」

平澤「食事習慣も離乳食期からの“慣れ”が大きくて、こうあって欲しいと思う、例えば、座って食べる、前を向いて食べる、椅子に座るなどは、親が言い続けていることで習慣になるんです。」

三浦「でもママの言うことは全然聞かなくて。妻が「なんでパパの言うことは聞くのにママの言うことは聞かないの?」って嘆いています。」

平澤「ママは甘える対象なんだと思いますよ。それもとてもいいこと。パパとママの役割分担ができているのは、子育てに参加している証拠!噂通りの子煩悩パパですね!改めて三浦パパの子育てぶりに感動しました。」

三浦「いやいや。妻はいつもご飯を作ってくれているので、せめて食べさせるくらいは僕がしようかなと思って……日々奮闘しています。」

平澤「仕事で会食になる時でも一旦帰宅して、ご飯だけは食べさせていると言うエピソードも聞きましたよ!家族揃って一緒に食べる習慣をつけているのは素晴らしいこと。それってすごく重要なことで、子どもは家族で食卓を楽しく囲むことで「食べること=楽しい」って思うようになるんです。そして今まで話してきたように、「食育」に正解はありませんので、気負わずにいろいろ試してみてくださいね。」

三浦「まだまだ好き嫌い問題には悩まされそうですが、いろいろ挑戦してみます!」

今世界で注目されている「非認知能力」の育て方とは?

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小脇「今回のテーマは「非認知能力」。世界ではとても重要な能力として注目されていましたが、近年この能力を高める教育への関心が高まっていて、文部科学省も推奨しています。三浦さんはこの言葉をご存じでしたか?」

三浦「なんとなくは聞いたことはありましたが、詳しくは知りません。」

小脇「日本ではまだまだ知らない方も少なくないので、非認知能力を育む子育てのパイオニア、ボーク重子さんに詳しくお伺いしましょう。重子さん、詳しく教えてください。」

ボーク「IQや偏差値など、数値化されたものや知識などは「認知能力」と呼ばれていて、共感力や社会性など、生きていく上で大事ないわゆる人間力のことを「非認知能力」と呼びます。

いつの頃からか、日本の子どもは心が折れやすいと言われるようになったけれど、それは人間力が低下しているからではないかとも言われています。折れにくい強い心を育む非認知能力の重要性については、アメリカでは20年以上前から言われ続けているの。」

三浦「生きる力=非認知能力ってことですね!それはめっちゃ重要だ。」

小脇「まさにそうですね。今までの日本は偏差値などのペーパーテストで測れる「認知能力」が重視されていましたが、アメリカなどの諸外国ではいわゆるペーパーテストだけでは入学できないところがほとんどなんですよ。非認知能力は生きる力=自己肯定感を高めることにも必要な能力なんですよね。」

ボーク「私はアメリカでの生活で非認知能力の大切さを知り、日本にもこの能力を高める教育を推奨したいと願って非認知能力育児コーチングをはじめとして、執筆活動や講義会をしています。自分を肯定できる力を筆頭に、非認知能力って世界中のどこでも大切な能力だから。でも、最初はなかなか理解してもらえずにとっても苦しみました。ところが娘が非認知能力を育む教育を受けてきて「全米最優秀女子高生」を獲得したことで、興味を持ってくださる方が徐々に現れてきたのです。そして2020年の文科省の教育改革の内容がまさに非認知能力の育成だったこともあり、風向きが変わって徐々に日本でも認知されるようになってきました。娘はその後、コロンビア大学に進学し、今はNYで働いています。」

小脇「重子さん、そして娘のスカイちゃんを見ていると、個性を伸ばしながら、自分の道をちゃんと進んでいる感じがしてすごく憧れます。『踊る!さんま御殿!!』で色々なママが大集合する企画にも出演されていましたよね。4人の子どもを東大理三に合格させたママとバトルしてて、すごく面白かった!まさに従来の日本的偏差値教育をされている方と、新しい非認知能力を育む教育をされている重子さんのお話は、多くのママの価値観を変えたと思います。」

ボーク「そんなこともあったわね!(笑)だって、4人全員同じ大学の同じ学部って不思議だなって思ったの。一人くらい違った興味を持っていてもいいんじゃないのかな、と感じたから。

ちなみに三浦さんは非認知能力をどう思う?」

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三浦「今のお話を聞く限り、僕は非認知能力はすごく大事だと思うし、子どもにもぜひ高めてもらいたいなって思いますね!」

ボーク「嬉しいです。ありがとうございます!」

小脇「でもよくよく考えたら、芸能界って非認知能力が優れている人の集団ですよね。特に私が三浦さんとお仕事をさせていただいて思うのは、人への気遣い、メンタルの強さ、チャンスを掴む力、コミュニケーション能力の高さなど、非認知能力の中で大切と言われていることをすでに兼ね備えているなと!そう考えると、三浦さんが親御さんから受けた教育法にすごく興味がある!」

ボーク「確かに。芸能界は非認知能力が試される最たる場所よね。自己肯定感、メンタルが強くなければ続けていくのは難しいかと思います。」

三浦「確かに言われてみればそうですね!!僕は、他人から何を言われても気にしないタイプだし。よく言えばポジティブだけど、自己中でワガママなのかなと思っていました。」

ボーク「人に自分を押つけるようなタイプであればそれは自己中心的、ワガママなのかもしれないけれど、三浦さんと話していると相手への気遣いが感じ取られて、自己中心的ではないわよね。反対に他者の立場に立って思いやる共感力がとても高いと思います。自分軸を主張することと他者を尊重する、 そこのバランスが取れているのも非認知能力が高いから。」

小脇「いかにして、このバランス感覚に優れた三浦翔平という人が生まれたのか知りたい!(笑)実際に親御さんから育てられた中で、印象に残っていることはありますか?」

三浦「母はどんな時でも、信じて待っていてくれる人でしたね。芸能界に入ると言った時もそっと背中を押してくれて、さりげなく応援してくれました。小さい頃も勉強しなさいとか言われたことなかったなぁ。それで困ったら自分のせいだよって感じで。俺もあまりにもできないと困るから慌ててやったり。

父にも、芸能界入りを決意したときには「お前が将来何者になろうとも、親子の関係は変わらないから好きにやってこい!」って言われたんですよね。必要な時に、必要な言葉をかけてくれる感じの父だなと思います。」

ボーク「素敵なご両親!最高に自己肯定感が育まれる環境で生活してきたのね。まさに新刊『しなさいと言わない子育て』で、私が提唱したいと思っていることそのものです!」

小脇「ついつい親は子どもが大事だからこそ「こうしなさい」とか、「こうした方がいい」とか、安心できる道を先導してあげた方がいいんじゃないかと思いがちですよね。でも三浦家は一貫してそれをしないで、三浦さんを「信じて、待つ」をされていますよね。素晴らしい。」

三浦「確かに「しなさい」って言われたことはなかったかもしれないですね。」

小脇「三浦さんは、自分の子どもにはどのように接していこうって思っていますか?」

三浦「自分も親のようにしたいなと思ってはいます。子どもを信じて待ちたい。でも僕の育ってきた頃と比べると時代も環境も変わっているから、どこまで待てるのか……はちょっと不安です(笑)。でも基本は、子どもの意思を尊重したいなと思っているかな。ただし、間違った方向に向かっていたら手を差し伸べる距離感にはいてあげたい。」

ボーク「まさに私がコーチングしている内容通りで、最高に素敵です。子どもが率先して行動できる力をのばすためには、親のさり気ない手助けが必要なの。選択肢を与えたり、感情をコントロールさせることがとても重要です。だから三浦家の子育てはとても素敵だと思います。」

三浦「ただ、実際はイヤイヤ期で今は「ダメ~」「しなさい」の連続ですが(笑)。」

ボーク「イヤイヤ期は実は第一次自己主張期と言われる大事な時期で、自分の意見を出すための第一歩でもあるの。年齢的に自制もできないし、やっちゃいけないことも分からない。そんな状態の子を抑えつけるなんてそもそも無理。だから思う存分ジタバタさせていいのよ!「どんなあなたでも受け止めるよ」というスタンスは、子どもにとって最も安心できることだから。一番身近なパパ・ママが自分を受け止めてくれるんだと思えるから、外に向かっていける。それにイヤイヤ期には必ず終わりがあります。イヤイヤ期に悪いことをしたら頭ごなしに叱ったり感情的になったりせずに、説明をしてあげること。しつけというと「叱る」「叱って言うことを聞かせる」というイメージがあるけど、しつけに必要なことは「どうしてそれがだめなのか」を教えることです。だから「説明」することが重要なの。しかも根気よく何度も説明してあげること。一回じゃわからないことが多いからです。ただ親も完璧じゃないし人間だから、強く当たってしまうことももちろんあるわよね。そんな時には、その後でハグしてあげる習慣をつけてみてね。愛情のアタッチメントは一番大事なことだからです。そして親も「ごめんね、強くあたりすぎた」と謝ることがとっても大切なのです。親を律してくれる人はいません。だからこそ、親は間違えた時に自分で自分を律することが大切です。そうしないと子どもは「親は悪いことをしても謝らなくていいんだ」と思って、信頼関係が崩れます。」

小脇「私はどんなにバタバタした日も、怒ってしまった日でも、寝る前には必ず子どもたちが安心して、ニコニコ笑顔で寝られるようにしようと心がけています。生まれた頃からずっとオリジナルの歌詞を歌って寝かしつけをしています。その歌は「子どもの名前+かっこいいね、優しいね、大好きだよ、生まれてきてくれてありがとう!みんな君が大好きだよ!」というような内容なんですが、毎日歌っているから「僕は最高だ!」という気持ちでちょっとした洗脳状態で眠りにつく(笑)。でも妹が生まれた時に、息子が勝手にその歌を妹バージョンにして歌ってあげていて、「みーんな、妹ちゃんのことが大好きだよ!」ってニコニコで頭を撫でながら言っているのを見て、あぁちゃんと伝わっているなと感じました。子どもが成長するにつれ、言葉にするってすごく大事だなと最近特に感じています。」

ボーク「そのルーティーンとってもいいです。日本人は言葉にするのが照れ臭かったり苦手だったりするから「言わずとも伝わっているだろ」みたいなところが、どうしてもありますよね。でも言ってもらえたらこれほど嬉しい言葉はありません。だからこそ美里さんのように、毎日必ず言うって決めて言うのはとても素敵なことです。特にイヤイヤ期の時こそ、意識的に子どもを褒めることを心がけるといいかなと思います。」

三浦「どうしても今はイヤイヤ期ということもあって、危ないことをわざとしたりするので「ダメ」って言葉はよく使ってしまうのが悩みです。」

ボーク「「ダメ!」で終わらせないことが大事なのよ。怪我をしそう、身の危険がある時はもちろん「ダメ!」と強く静止することは重要です。それに親としては咄嗟にそんな声かけが出て当たり前ですよね。だからこそ大切なのは、きちんと語りかけて理由を説明することなのです。それが2歳の子であっても、大人がきちんと声かけをすれば、僕は人間としてパパにリスペクトされているんだと納得します。」

小脇「私も長男がとってもやんちゃなので、ダメ!と言う時はもちろん多々あります。でもその後でちゃんと、ママはこう思うよと話して、あなたはどう思う? と聞くように繰り返してきました。もちろん全てを叶えられるわけではないけれど、どんな小さなことでも、子どもに「あなたはどうしたい?」と常に選択肢を与えるようにはしているかも。」

ボーク「それは本当に素晴らしいわ!「~しなさい」と親が率先して決めてやらせると言うのは、すごく効率優先です。やらせる、子どもをプログラムする教え方は一見、子どものために見えて実は効率や大人の倫理という親都合な場合が多いのです。でもこれから必要なのは「効率的じゃない子育て」です。多少時間がかかっても、やってあげるんじゃなくて、やり方を見せる、一緒にやってみる。そして1回手伝ったら、あとは自分1人でやらせてみる。「できた!」という達成感の繰り返しが、自己肯定感を育み、自信を持って自分でできる子を育てることにつながります。」

小脇「見守ることの大事さですよね。ついつい、急いでいると手を出してしまう自分にいつも反省しています。」

三浦「その点で考えたら僕、優秀かもしれません!(笑)何でも自分でやりたがるから、とりあえずやらせてみるようにしている。今は靴下も履けるようになりましたよ!」

ボーク「「とりあえずやらせる」、その考えも素敵ね。そういえば、ニューヨークタイムズに「日本のママは大変だ、テレビを見てる子どもに靴下を履かせて、ご飯も食べさせなくちゃならない」なんて記事が掲載されていたことがあったほど。日本のママは本当に有能で、やろうと思えば全て1人で出来てしまうから、こんな時も思わず全てを自分でやってしまいがちなのよね。それにすっごく優しい。」

小脇「本当にそうですよね。日本のママは優しい。それです!子どもを大切にしているからこそ、つい先回りしてしまう。でも、実際子どもに任せるようにしていると最初はもちろん時間もかかるけど、できるようになってくれたら逆にママ自身もラクですからね。なんでもトライさせてみるって結果として、双方にとってすごく大切だなと。でも、私たち親世代の子どもの頃のスタンダードは、偏差値至上主義だったと思うんです。自分たちはそういう教育を受けてきた人も多いのかなと。だから不安になっちゃう親の気持ちもわかるし、それをコンプレックスに思って、子どもに押し付けてしまう親の気持ちもすごく理解できるんです。「生きる力」の大切さをまずは親自身が理解することも大切なのかもしれませんね。」

三浦「その点、僕はずっと生きる力だけでここまで来たから心配がないのかもしれませんね。生きる力、大事ですから!勉強ができなくても、生きる力があればなんとかなる!ですよ。非認知能力を高める上で他に重要なポイントってありますか?」

ボーク「実は夫婦の関係がすごく大事なの。子どもは夫婦の仲が良かったり、コミュニケーションが取れていることをよ~く観察していて、そこに温かな環境があることで子どもは安心、安全を感じます。この心理的な安全性が担保されていることが、子どもの心の成長には非常に大切です。その環境を作り出せるのは親だけです。」

プロも絶賛!三浦翔平、子育て術の秘訣は夫婦の時間「合格です!」

三浦「それも合格です!夫婦でよく会話をするようにしたり、たまに2人だけの時間を持ったりするようにしています。」

ボーク「素晴らしい!日本だとどうしても、子どもを預けて夫婦の時間をとることが難しいというんだけど、パパとママがデートすることも忘れないで。我が家では娘が小さい頃も、1週間に1回は必ずデートしていたわ。ベビーシッターに預けてね。業務連絡とか子どもの話も一切ナシで!」

三浦「結婚記念日、誕生日、クリスマス、保育園に行っている間の少しの時間などでもデートするようにしています。」

ボーク「素敵!パパとママである以前に、夫と妻であることを忘れないでほしい。そして付き合っていた頃の気持ちを忘れずに、お互いを褒め合う行為を日常化させることが大切ね。」

小脇「褒める、褒められる行為がどうしても苦手な人って多くないですか?例えば、子どもが他人から褒められた時に、ついつい謙遜しがち。どう答えるのがいいのかなって。」

ボーク「子どもが褒められて「いえいえ、うちの子なんて~」って言う親御さん多いわよね。せっかく褒められたのにもったいない! 褒められたら「ありがとうございます」って言うのが子どものためにもベストです。」

三浦「僕は謙遜しないですね~。「でしょ?!」って言って、子どもに「やったね!!」って言う。「かわいいですね~」、「(そう)でしょ~?(子どもに向かって)やったね~!」みたいな(笑)。軽い感じで。」

ボーク「「でしょ、やったね」ってすごくいい! それ、今度絶対に使わせてもらいます。これは言ったことなかった!」

小脇「その感じすごくいいですね。私も子どもの前で褒められた時はマネしてみます!褒める以外には、どんなことを意識するべきですか?」

ボーク「先ほども少し出たけど、スキンシップはとても重要です。ハグもそうだし、ふとした瞬間に手を繋ぐ、背中を撫でるなど。人の温もりって安心しますものね。あとはごっこ遊びもいいかなと思います。ロールプレイングって、相手の立場になって考える力が身につくからなの。女の子に共感力が高いのは、幼い頃からごっこ遊びをしているからとも言われているわね。」

小脇「うちの息子の保育園はたまたま女の子の比率が多く8割が女子だったので、ごっこ遊びが日常で。ある日保育園に迎えに行ったら、我が子が飼い猫になっていたんです(笑)。猫役までこなすのか!とびっくりしたんですが、確かに共感力はすごい高いかもしれない!ある人に男の子なのにおままごとしていいんですかね?と相談されたことがあって。私はすごく良いことだと思ったけど、そこにも日本のジェンダーの問題が潜んでいるんだなと。」

ボーク「本当にそうよね。おままごとをは男女共通、世界共通の素晴らしい遊びです!」

三浦「そういう意味では、男女問わず戦いごっこもアリですよね?!」

ボーク「もちろん!英語では勝負事で潔い負け方をする人は「Good Sports」って呼ばれています。人生には勝ち負けはつきものだけど、大切なのはどう勝つか?どう負けるか?なのじゃないのかな。そしてそれよりも大切なのは勝ち負けの結果に至るまでのプロセスです。自分は何をどう頑張ったか?結果を踏まえてどう行動したか?そんな観点から見つめてみれば勝負事は学ぶことが多いのです。その観点からしたらもちろん戦いごっこもありです。他に、教育で気になることはある?」

三浦「まだ先のことだけど、この先学校などの進路、人とのトラブルなどが起きた時、親としてどうしたらいいかな?と漠然とした悩みはありますね。今は、人間としてすごく面白い生き物になっているから、このままで大丈夫じゃないかなとも思っているんですけど。」

ボーク「自分の子を、「人間として面白い生き物」っていうのが最高ね!三浦さんは我が子をきちんと1人の人間として見ているからこそ言えることです。そんな親と過ごす子なら、自分のベストをしっかり見出せると思います。だからそのままで大丈夫よ。自分を認めてもらえて、肯定してもらえて、大事だと思われる。これは自己肯定感を高めるためにはすごく効果的だからです。」

三浦「あとは、いろんなところに連れて行くのも良い経験ですよね?」

ボーク「もちろん!あと、仕事場に連れて行くのもオススメ。いろんな大人と触れ合うことで、新しい世界が広がるから。普段のパパとは違った顔を見せることで、子どもは親をまた別の形でリスペクトするようになります。それと、パパの役割を見せることで、子どもである自分のタスクはなんだろうって考えるきっかけにもなります。だから、いろんな意味で働く姿を見せることは、子どもにとってメリットがたくさんあるのです。」

小脇「私は仕事場に連れて行くのは、子どもに我慢させる事になるからかわいそうかなって思っていたかも。」

ボーク「3歳くらいになれば言葉も発せられるから、それくらいから始めたらいいんじゃないかしら? 小学生だったらとてもいい経験になるはずよ!」

三浦「なるほど!いつか撮影現場に連れて行ってみよう。ちなみに子どもにお金の話って必要ですか?」

ボーク「日本人って、子どもにお金の話をしなさすぎよね。ウチは小学1年生から朝ご飯の担当をさせたの。500円を毎日渡して、それで食材を買うようにさせて。それからもう少し大人になったら、今度は我が家の年間予算を全部伝えたの。そしてお金には限界があること、稼いでこなくてはいけないこと、だから上手に使うことを意識させた。男女問わず、経済的自立ってとても大事だと思っているから。お金で幸福は買えないしお金が全てではもちろんないけれど、幸福度はお金を持っている家の方が高いのも事実。ただし、どんなにお金があっても、良好な人間関係はお金には変えられない。これは全ての人に平等に与えられているもの。そういった話は常にしてきたわ。」

小脇「日本だとどうしてもお金の話はタブーと言う意識の人も多いと思うのですが、確かにそうですよね!勉強になります。では最後に、三浦家は非認知能力が高いでしょうか?」

ボーク「もちろん!さっき話していた「でしょ?」「やったね!」の二言、これに集約されているもの。夫婦の関係も良さそうだし。家族は一番小さいコミュニティだから、家族関係さえ良ければ社会に通用する人間がちゃんと育つの。それにしても、この言葉は本当に秀逸!次の書籍タイトルにしたいくらい(笑)。」

三浦「ありがとうございます!とっても勉強になりました。」

プロフィール

三浦翔平
1988年生まれ、東京都出身。2008年にテレビドラマ「ごくせん第3シリーズ」で俳優デビュー。2011年に映画「THE LAST MESSAGE 海猿」で第34回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。近年ではドラマ「M 愛すべき人がいて」、「あのときキスしておけば」、「ハコヅメ」、「会社は学校じゃねぇんだよ~新世代逆襲編~」、映画「天外者」、「嘘喰い」など話題作への出演が続いている。その他、FM NACK5「It‘s 翔 time」ではラジオパーソナリティ、ABEMA「私たち結婚しました」シリーズのMCや、フジテレビ系列の情報バラエティ番組「ポップUP!」に火曜パーソナリティとして出演するなど多岐に渡り活動している。

文・三輪順子

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