聞きなれないと「ベトナムでプリン?」と思うところですが、かつてフランスの統治下にあったベトナムでは、その流れをくむ食文化が日常生活に浸透しているのです。
ベトナム風カスタードプリンは、南部ホーチミンでは「バインフラン」と呼ばれ、北部ハノイでは「ケムキャラメン」と呼ばれます。地域によって呼び名がまったく違うのも面白いですが、ベトナムではチェーにも負けないほど、ポピュラーなスイーツです。
かつて、新鮮な牛乳が手に入りにくかった時代のベトナムでは、バインフランは貴重なスイーツでした。
ベトナム最大の都市・ホーチミンで「バインフランを食べるならここ」といわれているのが、「キムタイン」。直営牧場をもつお店だけあって、新鮮な自家製牛乳やヨーグルト、プリンで人気の有名店です。
サイゴン大教会のほど近く、インターコンチネンタル・サイゴンの目の前という絶好の立地にありながら、「昔ながらの食堂」といった雰囲気のローカルな店構え。
乳製品やスイーツで有名ですが、麺やご飯ものといったベトナム料理も提供しているので、お昼どきには近隣で働く現地の人々で賑わいます。
キムタインのバインフランは、一般的なカスタードプリンに比べるとかなり小ぶり。自社農場でとれる新鮮な牛乳と、こだわりの卵、砂糖のみで作った無添加のプリンで、レシピは創業者である先代の時代から変わっていないといいます。
近年日本で流行りのとろとろプリンとは違って、しっかりとした固さのあるプリンには、濃厚な卵と牛乳のコクがぎっしり。優しい甘さのプリンの上には、香ばしいコーヒー風味のカラメルソースがかかっていて、甘みと苦みのバランスが絶妙です。
初めて食べるのにどこか昔懐かしい味わいは、「子どもの頃、お母さんが作ってくれたおやつ」。実際には、母がプリンを作ってくれたことがあったかどうか、定かではないのですが、このプリンにはそんなノスタルジーを掻き立てる要素があるのです。
バインフランと一緒にいただいたのが、まとめ買いしていく人もいるという、ヨーグルト。小さな可愛らしい容器に入ったヨーグルトは見た目もレトロ。舌触りがつるりとなめらかで、強すぎない適度な酸味と甘みのバランスがとれた、まろやかで優しい味わいです。
バインフランもヨーグルトも小ぶりなので、食後でもペロリと食べられてしまうはず。デザートは品切れになることもあるので、早めの時間の来店が確実です。
最近ホーチミンで急増中のおしゃれカフェもいいですが、昔ながらの素朴な雰囲気のお店でいただくローカルスイーツも格別ですよ。
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お店 キムタイン(Kim Thanh)
住所 04 Le Van Huu | Ben Nghe Ward, Dist 1, Ho Chi Minh City



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