そんなローマで人気を集めるスポットのひとつが、ナヴォーナ広場にもほど近いマルス広場に立つパンテオンです。パンテオンの歴史が始まるのは、今から遡ること2000年以上前の紀元前25年。火災で焼失後は118年から128年にかけてローマ皇帝ハドリアヌスが再建し、それ以来ずっとこの地で町の歴史を見守ってきました。
早速中に入ってみましょう。内部は外観から想像できないほど広々としているほか、つい最近建てられたかのように全く朽ち果てていないのには驚きです。現在残る古代ローマ遺跡の中でも、パンテオンは最も保存状態が良いとされる建造物のひとつなのだそう。
円形上のホールになっているパンテオンの中では、壁や床に美しい装飾がなされ、天井はドーム型になっています。直線や曲線をうまく使い分けた模様が優美さを演出し、見ていてため息が出るほど美しいです。
380年にキリスト教が国教となるまでは、多神教の国だったローマ。神殿として建設されたパンテオンには、市民がそれぞれ信じる神への祈りを捧げるために訪れていたと言います。
現在でも祈りを捧げる場所としてのスタンスは変わらないので、見学の際は周囲に敬意を払うのをわすれずに。
そして注目したいのは、ドーム型の天井にぽっかりと開いている丸い穴。
あまりに完璧な形をしているため、かつてはこの穴に宿る特別な力により雨が中に入ってこないと信じられていたのだとか。そんな話を聞いたからか、穴から建物の内部に差し込む光にも神々しさを感じます。
建物の直径は43.2メートル。床からドームの頂上までも同じく43.2メートルと、設計は完璧に計算されています。またドームを支えるために壁の厚さが上部にいくにつれ薄くなるほか、使用される素材にも軽量の軽石などを用いているのだそうです。古代ローマの人々にここまでの技術があったなんて驚きですね。
とはいえ、これだけの技術が結集しているからこそ、パンテオンが完璧な姿で現在まで残っているのも事実でしょう。
設計や保存状態、そして美しさまで、何もかも完璧でありながら、なんと入場は無料のパンテオン。ローマ観光の際は、ぜひ立ち寄ってローマ人の技術の結晶を直に感じ取ってみてください。
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