世界遺産・コルドバ歴史地区の見どころのひとつが、王城「アルカサル」。
アルカサルといえばセビーリャのものが有名ですが、コルドバにもアルカサルがあるのです。
グアダルキビル河畔に建つアルカサルは、イスラム建築の影響を残しながらも、建設されたのはキリスト教徒の王の治世下に入ってからのこと。レコンキスタでコルドバを攻略したカスティーリャ王アルフォンソ11世によって、イスラム王の宮殿の跡地に、14世紀に建設されました。
イスラムの建築様式と、キリスト教の建築様式を融合して発展させた、ムデハル様式で建てられています。
アルフォンソ11世の時代以降も、キリスト教徒の王族の住居として使われたために、「キリスト教徒の王たちのアルカサル」とも呼ばれます。
15世紀末にはイスラム勢力の最後の砦・グラナダを攻略する際の拠点となっただけでなく、コロンブスが新大陸発見を目指す航海の資金援助を仰ぐために王に謁見したのも、このアルカサル。堅牢な王城は、数世紀にわたり、重要な歴史の舞台となってきたのです。
城の内部には、ローマ時代のモザイク画や、見事な彫刻が施された石棺などが展示されています。
しかし、コルドバのアルカサルの見どころはなんといっても外。建物の外には、美しく整備された広大な庭園があります。
乾燥したアンダルシアの大地にあって、たっぷりと水をたたえた水路、色鮮やかな緑、咲き誇る花々が織りなす風景はまるで楽園。
そして、さらなる楽しみが塔からの風景。階段をのぼるって塔の上に出ると、コルドバの街が一望できます。
コルドバのシンボル、メスキータのミナレットや、グアダルキビル川に架かるローマ橋など、コルドバを代表する歴史的建造物の数々が眼下に。
イスラム文化の影響を受けた、乾燥した大地に広がる白と砂漠色の街並みは、私たちが思い描く「ヨーロッパ」の風景とは、まったく異なっています。筆者はこの風景を見て、エジプトやウズベキスタンの砂色の街並みを思い出しました。
「ヨーロッパにこんな風景があったなんて!」・・・驚きと感慨で胸がいっぱいになります。
かつての王たちは、城からの風景に何を思ったのでしょう。600年以上の時を経て、今なおコルドバの街にどっしりと腰を下ろしているアルカサル。
ここで、アンダルシアの風を感じながら、コルドバの激動の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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