今回紹介するシルタッハは、黒い森を流れるキンツィヒ川の流域にある小さな町。人口4,000人弱の小さな町には保存状態の良い木組みの家がならび、訪れる者を中世の世界へと誘います。
この町を訪れるには車か電車を利用する事になりますが、筆者も電車に揺られながらここまでたどり着きました。駅から旧市街へ向かう途中、キンツィヒ川にかかる橋からの眺めは、どこか昔懐かしい気分にさせてくれる様なのどかな眺めです。
そして旧市街の方へ目を向けると、そこに見えるのは壁のようにしてそびえ立つ木組みの家の数々。旧市街に入る前からこんなに可愛い光景に出会えるなんて、町の中は一体どれだけ素敵なのでしょう?
期待に胸を膨らませながら、さっそく旧市街へ入ってみます。
さきほどの壁のようにそびえ立っている家の脇に階段があり、そこを上った先はマルクト広場になっています。ここに広がるのは、まるで中世から時間が止まったかのような、美しい木組みの家の世界です。
広場を囲むようにして立っている木組みの家々はどれもカラフル。どの家もよく整備されているからか、眩しいほどの白い壁に、赤や緑に塗られた木枠や雨戸がよく映えます。
マルクト広場の中心に立ちインフォメーションも兼ねているのが、1593年に建てられたこの石造りの市庁舎。1906年から1907年にかけて行われた改装の際には、ルネサンス様式のこの建物にネオゴシック様式の破風が取り付けられました。
壁に描かれている美しい絵画は1942年に描かれたものです。
マルクト広場から伸びる坂道を登っていった先からは、シルタッハの町を上から見下ろすことが出来ます。遠くには草原が広がり、よくみると草をはむ牛たちの姿も見えます。
そこから旧市街に戻ったら、今度は細い路地にも入ってみましょう。木組みの家が入り組んだ通りはとても静かで、ここだけ時間が止まったかのようです。
町自体がまだあまり有名ではなく観光客もかなり少ないので、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりと町歩きが楽しめます。
ドイツに5年以上住んでいる筆者でさえ、こんなに美しい町があったのかと、驚きを隠せずにはいられません。
美しい街並みを誇る小さな町シルタッハ。今日も黒い森の奥で、旅人が訪れるのをひっそりと待っています。
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