そのひとつがラッパーズヴィル(ラッパーズヴィル・ヨナ)。
チューリヒからSバーンで35~40分。チューリヒ湖の南東に位置する、水と緑に恵まれた美しい町です。ローマ時代から、交易路と巡礼路が交わる交通の要衝として発展してきました。
「バラの町」としても知られ、町にある3つのバラ園では600種類、1万5千株ものバラが栽培されており、毎年5月から9月には色とりどりの花が咲き乱れます。
この時期にラッパーズヴィルを訪れるなら、色も香りも多彩なバラの魅力を再発見するチャンスです。
ラッパーズヴィルのシンボルが、1229年に町を見下ろす高台に建てられたラッパーズヴィル城。
伝説によると、湖の対岸のアンテンドルフの公爵が狩猟のためにこの地を訪れた際、小鹿を連れた雌鹿の命を救うために公爵夫人が狩りをやめさせるという出来事がありました。その後、難を逃れた雌鹿が夫人のもとに頭を下げに来たことから、神のお告げとしてここに城が築かれることになったといいます。
城のそばにある公園には、本物の鹿が放し飼いされています。日本の神社でも神の使いとして鹿が放し飼いされていることがありますが、それと似た光景をスイスで見るなんて、なんだか不思議ですね。
現在、城の内部はポーランド博物館となっていて、ポーランドからの移民であったショパンやマリー・キュリー(キュリー夫人)や、スイスとポーランドの関係を紹介しています。
城の周辺から眺めるラッパーズヴィルの町やチューリヒ湖の景色は抜群。自然豊かな風景に心癒されます。
城の隣にはもともと1253年に建てられ、1885年に再建された聖ヨハネ・パリッシュ教会がひっそりとたたずんでいます。
木の彫刻装飾が印象的な教会で、天井に施されたラッパーズヴィルの紋章である2本のバラや、ハート型をしたステンドグラスに注目です。
ラッパーズヴィルでもう一つ有名な見どころが、駅の南側にあるスイス最長の木造橋である、長さ841メートルの「木道」。
1358年に「建設公」と呼ばれたオーストリア大公ルドルフ4世の治世下で造られたもので、ラッパーズヴィルと対岸のハルデンを結ぶ橋として活躍しました。
現在見られるのは2001年に再建されたものですが、今も橋の上を歩くことができ、天気の良い日にはここで散歩を楽しむ人々の姿が見られます。
ラッパーズヴィル城を正面に臨む湖畔の遊歩道をのんびり歩いてみるのもおすすめ。水辺には不思議なパワーがあるのでしょうか。ただ歩いているだけで、自然と心が明るく、穏やかになっていきます。
自然と中世の建造物が調和した、優しい気持ちになれる町へあなたも出かけてみませんか。
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