子供の頃にグリム童話「ハーメルンの笛吹男」を読んだことのある方も多いかと思いますが、その童話の基となった伝説が残るのがまさにこの町。旧市街のメインストリートには笛吹男の像があるほか、お土産のネズミグッズもよく見かけます。
ところでこの伝説は単なる作り話ではなく、実際に起こったとされる出来事に基づいているということを、皆さんはご存知でしたか?
グリム童話「ハーメルンの笛吹男」のおおまかなあらすじは以下の通り。
“むかしむかし村にネズミが大量発生して、村人が困り果てていました。そこに道化師のような恰好をした男が現れ、自分はネズミを退治できると語ります。男が持っていた笛を吹くとネズミたちが一斉に集まり、男について川のほうへ。川まで来るとネズミはそこへ飛び込み、全て溺れて死んでしまいました。男は報酬を求めますが村人はそれを拒否。怒った男は「恐ろしいことが起こる」とだけ言い残して村を去ります。
それから何日も立ったある日、男が再び村に現れます。男が笛を吹くと子供たちが集まり、男に連れられてどこかへ行ってしまいます。子供たちはそれっきり2度と戻ってきませんでした”。
この出来事が起こったのはいまから700年以上も前のこと。実際に130人もの子供たちが集団失踪したという事実が、いくつもの資料に記されているのです。
そのひとつが、現在はレストランとなっている「ネズミ捕り男の家」。壁面には、1284年起こった子供たちの失踪についての文章が書かれています。
建物の横を通る「舞楽禁制通り」は失踪した子供たちが通ったとされており、この通りでは今でも音楽の演奏や踊りが禁止されています。
少年十字軍説、集団移民説、伝染病説など諸説ありますが、なぜ子供たちが失踪したのかは今でも謎に包まれたまま。ドイツ最大ミステリーのひとつとして、今日まで語り継がれているのです。
すこし背筋がゾゾっとするような伝説がある一方で、旧市街はルネッサンス式の建物の宝庫。町で最も美しいとされている「ライスト・ハウス」は、美しいファサードと壁の繊細な彫刻、そして優しいピンク色の壁が見事な調和を作り出し、優雅な雰囲気をかもし出しています。
一方でどっしりとしたいで立ちの「結婚式の家」はベーゼルルネサンス様式の典型。現在は公文書館となっており内部の見学は出来ませんが、壁の仕掛け時計は「ハーメルンの笛吹男」の話を1日数回見せてくれます。
中世の趣を残す美しい街並みのなかに残された、ドイツ最大のミステリー。
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