そんなフランクフルトとリューデスハイムをつなぐ沿線上には、エルトヴィレと言う小さな町がります。通りのいたるところにバラが咲き乱れ、みずから「バラの町」と称する美しい町。毎年6月にはバラ祭りも開催され、満開のバラが訪れる者を花の楽園へと誘います。
この町が「バラの町」と名乗るようになったのは、19世紀終盤のこと。1871年にはカール・シュミットと言う人物がこの町に「バラ学校」を設立し、この学校で育てられた50万ものバラがバラ園やそれを囲む城壁を彩っていました。
当時エルトヴィレで栽培されていたバラは多くの名声を我が物にし、たいへんな人気となります。その評判はついにロシアまで届き、バラ学校はサンクトペテルブルクに居城を構えるロシア皇帝を顧客にもっていたほど。
美しく咲き乱れるバラに興味をもったのでしょう。バラ栽培は学校にとどまらず、個人のガーデナーの間でも人気となりました。バラの人気は衰えることを知らず、今日も町の至るところで美しく咲いているバラを目にする事ができます。
町なかに咲いているバラも十分美しいですが、「バラの町」にきたからには足を運びたいのがライン川沿いのローズガーデン。ここには350種類、2万2000株ものバラが植えられており、最盛期である6月に満開のバラが咲き乱れます。
中には希少な品種や歴史的に価値のある品種も植えられており、バラの愛好家にはたまらない場所。
筆者が訪れた9月は最盛期を過ぎてしまったものの、美しいバラのほか様々な花がいたるところで咲いている様子はまさに楽園のようでした。
ローズガーデンのいたるところに置かれているのは、活版印刷術を発明したグーテンベルク像。グーテンベルクはここからさほど遠くないマインツ出身で、マインツを追われた際にはこの町に滞在していました。今年はかれの没後550年にあたります。
その節目のイベントとして、155体ものグーテンベルク像が庭園のあちこちに設置されているのです。グーテンベルク像の設置は9月23日まで。
設置の仕方によっては、どこかコミカルに見えなくもありません。
定番から珍しい品種まで、美しいバラが咲き誇るエルトヴィレのローズガーデン。今日も各地からバラの愛好家が訪れ、その美しさに感嘆しています。
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