「アデル・ターラブトってどんな選手?」と質問されたら、かつて答えは1つしかなかった。「上手くて面白いが波が激しい」選手だ。
将来世界のトップに立つと言われていたターラブトは、12歳の時から所属していたフランスのランスでプロデビューし、イングランドに渡った。プレミアリーグで7年過ごしたが、唯一活躍ができたクラブはクイーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)だ。(それ以外ではトッテナム・ホットスパーとフラムでもプレーした)。セリエAのミランとジェノアでプレーした経験もあったが、太陽の国(イタリア)にもあまり安定したパフォーマンスを見せずに去った。
そして現在ターラブトは、2015年から所属しているポルトガルのベンフィカでようやくスターらしいシーズンを送っている。これはベンフィカの現在の監督ブルーノ・ラージのおかげである。ラージ監督はターラブトを出場させるだけではなく、彼を戦術の中心にしているぐらい信用し、その信用が成長につながった。

練習にさえ真面目に取り組んでいなかったターラブトはようやく変わってきた
ターラブトの人気は、エレベーターのように上がったり下がったりしてきた。ドリブルの上手さ、瞬発力、天才的なプレースタイルでサポーターを盛り上げることもあれば、やる気のなさや遅刻の繰り返しでたくさんの監督を悩ませることもあった。
特にトッテナムで彼の監督だったハリー・レドナップは「今まで会った選手の中で一番態度が良くない選手です。プロとして失格だ」と語っていた。しかし、ターラブトには自分の実力を信じる監督が必要だっただけかもしれません…。
2019年1月、ベンフィカのルイ・ヴィトーリア監督解任後にチームの指揮を取ることとなったラージ監督は、ターラブトをスタメンに使い、トップ下からゲームの流れを決めるファンタジスタにポジションを変更した。そのポジションの重要性を感じているターラブトは、良い試合の運び方をしているだけではなく、試合ごとに上達を見せている。
ターラブトが欠かせない選手になった証拠は、ジェドソン・フェルナンデスの状況にも現れていた。2020年1月15日にトッテナムにレンタル移籍を果たした「ポルトガルのサッカーの宝物」と言われているフェルナンデスだが、ターラブトの活躍によって、ベンフィカではベンチスタートの試合が続いていた。

ターラブトの活躍もあって、ベンフィカはリバプールのような素晴らしい年を迎えた
ターラブトを中心に、ベンフィカはほぼ負けなしで2019年を過ごした。
今季欧州で一番目立っているチームと言えば、それはユルゲン・クロップ監督率いるリバプールです。ヨーロッパの王者(2018/2019チャンピオンズリーグ優勝)になっただけでなく、プレミアリーグで1年間無敗という記録も達成した最強のチームだ。最後に黒星つけられたのは、2019年1月4日(日本時間)のマンチェスター・シティ戦まで遡る。
しかし、実はベンフィカも似たようなパフォーマンスを見せていた。ラージ監督がベンフィカの指導者になったのは、ちょうど2019年1月4日(日本時間)でした。その時からこのクラブはプリメイラ・リーガ(ポルトガルリーグ)で34戦を戦って、32勝1引き分け、そしてたったの1敗という記録になっている。

ターラブトのキャリアは普通の流れと真逆
「やればできる」
ターラブトの現在の話を聞くと、その言葉が頭に浮かぶ。
彼は一般的な選手と逆の道を歩んでいると言えよう。
それだけではない。ターラブトは最近練習もまともにこなしていると言われていて、体重も減り筋肉もしっかりついてきている。ようやく体も“頭”もプロらしいものとなった。これからもその勢いで活躍して欲しいものです。