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ここ数シーズンのプレミアリーグにおいて、頭一つ分抜きんでた存在がマンチェスター・シティとリバプールだ。シティは一作シーズンと昨シーズンにプレミアリーグを連覇。

リバプールはそのシティに食らいつき、終盤戦まで熾烈な優勝争いを演じた。昨シーズンはリーグ優勝こそ逃したものの、チャンピオンズリーグ(CL)のタイトルを手にしている。

そんな両者だが、今シーズンはリーグ戦において明暗が分かれている。昨シーズンまでリーグを連覇したシティは、すでに首位のリバプールに勝ち点22差をつけられてしまっている。首位を独走するリバプールは、早ければ3月1日のワトフォード戦で優勝を決めることになる。

ともに世界最高レベルの力を持った両クラブ。どこでこれだけの差がついてしまったのだろうか。今回は、シティがリバプールの独走を許している3つの理由をご紹介する。

マンCが、リバプールの独走を許してしまった3つの理由
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主力選手の負傷

マンチェスター・シティほどのクラブになれば、多少の負傷者が出ても戦えると判断する人は少ないかもしれない。ただ、今シーズンのシティが失ったアイメリク・ラポルテとレロイ・サネは、穴を埋める選手を探すのが難しい存在だ。リバプールで言えば、モハメド・サラーとフィルジル・ファン・ダイクを同時に失った状態と言えるだろう。

そのような状況下で、リバプールが現在のように首位を独走することができただろうか。その可能性は低いだろう。

特に、ラポルテの離脱は痛い。ディフェンダーとしての能力が極めて高く、リーダーシップを発揮できる。バンサン・コンパニを失ったチームにとって、キャプテンシーを見せることのできる選手は貴重だった。

また、サネがいないことでラヒーム・スターリングが左サイドで試合に出場しなければいけないことが多くなっている。同選手が最も輝きを放つのは右サイド。リヤド・マフレズが頑張りを見せているが、サネのディサイシブな働きと同じものを求めるのは難しい。

この両選手に加えて、ダビド・シルバセルヒオ・アグエロ、ジョン・ストーンズ、バンジャマン・メンディ、オレクサンドル・ジンチェンコ、エデルソン・モラレスといった選手たちが負傷の影響を受けた。リバプールも負傷者が少ないわけではない。ただ、サディオ・マネ、サラー、ファン・ダイク、ロベルト・フィルミーノといったチームの根幹を担う選手たちは一度も離脱していない。

マンCが、リバプールの独走を許してしまった3つの理由
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グアルディオラの迷走

今シーズンのシティがこれまでよりも低調なパフォーマンスを続けている理由として、調子の安定しないスターリングやディフェンス面の不安を指摘するアナリストは多い。サポーターの中にもそういった意見を持つ人はいるだろう。ただ、グアルディオラ監督の迷走にも目をつむることができない。

グアルディオラ監督はシティに大きな変化をもたらした監督であり、シティというクラブのブランドを確立するうえで必要不可欠だった人物だ。

しかし、同監督の考えすぎてしまう部分がチームに悪影響を与えている。

マンチェスター・ユナイテッド相手に(リーグカップ準決勝1stレグ)ベルナルド・シウバを偽9番として起用するなど、今シーズンも監督としての才能をいかんなく発揮しているグアルディオラ監督。ただ、2ndレグでは最終ラインにカイル・ウォーカーやジョアン・カンセロを起用するなど、考えすぎた結果の迷走ぶりを見せつけてしまった。

 今シーズンのグアルディオラ監督は、細かい部分まで含めるとスターティングメンバーに76回の変更を加えている。基本となるシステムから細かい戦術まで変更を繰り返し続けており、一部の選手がその煽りを受けてしまっている。

マンCが、リバプールの独走を許してしまった3つの理由
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フェルナンジーニョ

ラポルテの負傷により、今シーズンは最終ラインで起用されているフェルナンジーニョ。シティを支えてきたベテランが中盤の底にいないことが、シティが苦しむ1つの原因となっている。

フェルナンジーニョは、派手さがあるわけでもなく一芸に優れているわけでもない。ただ、彼はマンチェスター・シティというチームの中盤に必要不可欠な選手だ。パス、タックル、インターセプトなど求められるプレーを高いレベルでこなし、試合の展開をしっかりと読んで最適な行動を取ることができる。グアルディオラ監督が率いてきたチームには、彼と同じことができる選手が常に起用されてきた。

もちろんCBとしてのフェルナンジーニョも優れた存在であることは確かだ。

ニコラス・オタメンディやジョン・ストーンズのように波があるわけではなく、危険なシーンでも冷静に振舞うことができる。ただ、22歳のロドリがフェルナンジーニョがこなしてきた仕事をこなせていないのも事実だ。

グアルディオラ監督は今シーズン、イルカイ・ギュンドアンとロドリを2ボランチで起用することがある。2人でフェルナンジーニョとしての役割を果たすことを期待しているのだろう。しかし、そうなっていない現実が重くのしかかっている。

ただ、ロドリが中盤の底でプレーし続けるのは悪いことではない。フェルナンジーニョはもうすぐ35歳。彼の後釜となれる選手を育てるという意味では、今季は貴重なシーズンとなりそうだ。

 

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