ルーカス・モウラとジョゼ・モウリーニョ 写真提供: Gettyimages

新型コロナウイルスの拡大で延期となったプレミアリーグ。我々の中に残っているトッテナムの印象は3月11日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)のライプツィヒ戦の敗北だ(3-0の負け)。

マウリシオ・ポチェッティーノの解任、全てのカップ戦からの敗退(国際も国内も)、安定しないパフォーマンスの繰り返しなど、多くの問題を抱えているこのチームはなぜ変わろうとしないのだろうか?

トッテナムの課題は昨今確認されたものではない。2019年6月2日に行われたCL決勝リバプール戦から(2-0の負け)このチームが限界にたどり着き、苦しい時期がやってくることを感じさせられたのだ。

ポチェッティーノ自身も2019年の夏の間に選手の入れ替えが必要と強くアピールし、2019/2020プレミアリーグシーズンが厳しい戦いとなることを予測していた。しかし、フロントの考えは全く逆の方法に向かっていたのだ。

革命が必要なトッテナムはなぜ変わろうとしない?
マウリシオ・ポチェッティーノ 写真提供: Gettyimages

革命が必要ないと判断したダニエル・リーヴィー

トッテナムの代表者であるリーヴィーはこの厳しい時期が来ることを想像していなかっただろう。シーズン前には選手の入れ替えを計画することもなかく、新しい監督を雇うチャレンジにも出なかった。

主な理由はおそらく1つ。経済的な革命が行われない状況だったからだ。トッテナム・ホットスパー・スタジアムを作り上げるため巨大な金額がかかり、このクラブは移籍マーケット中に選手の獲得にしばらく動けないのが現実だ。

サッカー界では進化を続けなければ、高いレベルで戦い続けるは極めて難しい。そう考えると、ポチェッティーノがトッテナムで出した結果は奇跡に近い物だ。2014年5月に就任し、プレミアリーグのビッグクラブと比べて非常に限られた予算の中で、このクラブを優勝争いに絡めるほどの存在までに高めてきた。

しかし、監督の力だけでクラブが輝き続けられるわけがない。

今の状況の責任が多くフロントの判断ミスがあるにもかかわらず、2019/2020シーズン開始から結果を出せなかったポチェッティーノが解任された。そして、リーヴィーはこのチームをネガティブな時期から救い出す一か八かの勝負に出た。それはジョゼ・モウリーニョ監督の就任だ。

革命が必要なトッテナムはなぜ変わろうとしない?
ジョゼ・モウリーニョ 写真提供: Gettyimages

モウリーニョは理解し難い選択…

リーヴィーはどんな考えのもとでモウリーニョを選んだだろう…。ポルトガル人監督は確かに多くのチームを多くのタイトルに導いた大物だ。しかし、バラバラになっているチームをまとめる役ではないし、フロントの判断に納得できない場合は口に出すタイプだ。

最初の成績は悪くはなかった。モウリーニョは11月20日に監督となってからリーグ戦13試合で勝ち点23を稼ぎ、FAカップとCLのラウンド16まで勝ち進んだ。しかし、実際にトッテナムの試合の内容を見ると、ビジョンを持って、それを継続しようとしている感じがしないのだ。選手と監督の考えがバラバラのように見えた。

新型コロナウイルスの影響で今年のプレミアリーグが再び開催されるかどうかはわからないが、試合も練習も十分にできないこの非常事態の中でクラブの雰囲気が良くなるとは考えにくい。

革命が必要なトッテナムはなぜ変わろうとしない?
マウリシオ・ポチェッティーノとジョゼ・モウリーニョ 写真提供:Gettyimages

これからのトッテナムはどうなる?

こんな状況になっても、リーヴィーの考えは変わらないと言われている。しばらくの間、トッテナムには大物選手がやってこないだろう。

しかし、今の相手はポチェッティーノではない、あの厄介なモウリーニョだ。

モウリーニョはベストの状態で仕事をするために、フロントからの全力を求めている。そして、それが見受けられない場合、声を上げ騒ぎを起こすタイプだ。

サッカー界で高く評価されている監督を獲得することだけでチームは強くなれない。リーヴィーはこれを思い知ることになるだろう…。長期間の計画、そしてそれをフォローするための我慢強さが必要なのだ。目の前の結果だけにこだわりすぎるだけではトッテナムは再び強くなれないのだ。

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