先日(2020年7月8日)行われたセリエA第31節、ユベントス対ミラン。ユベントスのMFアドリアン・ラビオの先制点、FWクリスティアーノ・ロナウドのスーパーゴールの後に、ミランが追いつくとは誰も思わなかっただろう。

追いつくどころかロッソネーリ(ミランの愛称)は、わずか8分の間に大逆転に成功し、4-2という結果で勝利を収めた。(ミランの得点を挙げたのは、FWズラタン・イブラヒモビッチ、MFフランク・ケシエ、FWラファエル・レオン、FWアンテ・レビッチ)

この試合はビアンコネーリ(ユベントスの愛称)にとって、サポーターにも不安をもたらす歴史的な逆転負けの1つとなった。

今回は、ユベントスがこれまでに経験してきたまさかの逆転負け試合をまとめてみよう。

ユーベ史に残る、まさかの逆転負け試合4選

2013/2014セリエA:フィオレンティーナ(4)vs ユベントス(2)

今回のミラン戦と似たような逆転負けがもう1つあった。それは2013/2014シーズン中にフィオレンティーナのホームスタジアム、アルテミオ・フランキで行われた一戦だ。

ユベントスは前半の間にゲームを完全に支配し、MFポール・ポグバとFWカルロス・テベスの得点で結果的にも試合をリードしていた。

すると後半、フィオレティーナは15分の間に(後半21分から36分にかけて)4得点も挙げ、ビアンコネーリにとって思ってもいない展開となった。

ヴィオーラ(フィオレンティーナの愛称)の主役は、FWジュゼッペ・ロッシだった。前半は痛めていた背中のこともあって動きが鈍く、ユベントスのディフェンス陣に消されていたが、後半になって調子を上げるとハットトリック(3得点)を決めている。

残りの1得点を挙げたのは、現在スペインのレアル・ベティスでキャプテンを務めているMFホアキン・サンチェスだった。

ユーベ史に残る、まさかの逆転負け試合4選

2015/2016チャンピオンズリーグ:バイエルン・ミュンヘン(4)vs ユベントス(2)

2016年3月。チャンピオンズリーグ(CL)の準々決勝に向かう大事な試合。ユベントスはバイエルン・ミュンヘンとの2戦目を迎えた。ホームのアリアンツ・スタジアムで行われた1戦目は2-2引き分けており、ドイツでの2戦目は勝利する必要があった。

ビアンコネーリの試合へのアプローチは素晴らしかった。当時のマッシミリアーノ・アッレグリ監督は、DFジョルジョ・キエッリーニ、FWマリオ・マンジュキッチ、FWパウロ・ディバラなど多くの怪我人を抱えており、あまり見かけない4-5-1という守備的な形を採用。にもかかわらず、70分以上の間試合をコントロールし、ポグバとMFフアン・クアドラードのゴールでリードしていた。

ところがバイエルン・ミュンヘンは諦めなかった。73分にチームの要であるFWロベルト・レバンドフスキが1点を返し、ロスタイム1分目にFWトーマス・ミュラーが同点ゴールを決めると、試合は延長戦に進む。

そうなると、ユベントスの怪我人の不在は大きかった。疲れてバテ気味のビアンコネーリは、わずか3分(107~110分)でMFティアゴ・アルカンタラとMFキングスレイ・コマンの得点によって逆転され、CLを去ることとなった。

ユーベ史に残る、まさかの逆転負け試合4選

1998/1999チャンピオンズリーグ:ユベントス(2)vs マンU(3)

1999年4月、CL準決勝。ユベントスは4年連続の決勝戦進出を狙っていた。マンチェスター・ユナイテッドという際どい相手のホームで行われた1戦目は大事な引き分けとし、2戦目も引き分けさえすれば、その目標を叶えることができた。

ビアンコネーリは試合開始から6分、FWフィリッポ・インザーギの得点で試合をリード。それによって混乱したユナイテッドに対し、10分にもう1得点奪うことができた。(2点目もインザーギの得点)

しかし、2点目を奪われた後のレッド・デビルズ(ユナイテッドの愛称)は、まさに「悪魔(デビルズ)」だった。

「泥臭くても、どんなことをしても勝つ」精神で向かってきた。24分と34分にかけてMFロイ・キーンとFWドワイト・ヨークのゴールでユベントスに追いつくと、試合はわからなくなる。

後半には両チームに多くのチャンスがあったが、83分にユナイテッドのFWアンディ・コールがビアンコネーリにとどめを刺した。ユナイテッドは決勝戦進出を決めた。

ユーベ史に残る、まさかの逆転負け試合4選

1982/1983セリエA:トリノ(3)vs ユベントス(2)

イタリア語には「Prendere i cinque minuti(5分の間におかしくなる)」という言い回しがあり、人が突然おかしい行動をとる時に使われる。そしてこの言葉は、1983年3月に行われたトリノダービーの後に誕生したと言われている。

当時、ユベントスがトリノに勝たなければ、スクデット(セリエA優勝)は自動的にローマのものとなる状況だった。

ビアンコネーリは70分までFWパオロ・ロッシとMFミシェル・プラティニのゴールによって試合を有利に進めていたが、わずか5分で(70~75分)トリノのMFジュゼッペ・ドッセーナ、FWアレッサンドロ・ボネッソ、MFフォルトゥナート・トッリージのゴールで逆転された。

この短い時間でユベントスが逆転されたのは、トリノがパフォーマンスを上げたからではなく、ビアンコネーリがいきなりおかしくなったからだった。そして、上記のイタリア語の言い回しはこのエピゾードを指している。

ローマはその日、フィオレンティーナ相手に2-2で引き分けていたが、ユベントスの結果によってリーグ優勝が決定した。

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