レアル・マドリードがマルティン・ウーデゴールの期限付き移籍を計画していると各メディアが揃って報じた。その移籍先はアーセナルで、今シーズン終了までの期限付き移籍を画策しているようだ。

レアル・マドリードはダニ・セバージョスを同クラブへレンタルしていることもあり、それに倣えば極めて現実的な取引である。レアル・マドリードにとっては若手選手の出場機会の確保として、アーセナルにとっては上位進出のための足がかりとして。両者Win-Winの関係にあることは間違いない。

@martinio98 Ødegaard es un jugador de CINE. pic.twitter.com/pz5OkSLH1l

— LaLiga (@LaLiga) September 1, 2020

ウーデゴールは2015年に16歳という若さでレアル・マドリードと契約を果たした逸材であり、若くしてリオネル・メッシと比較される対象だった。彼のキャリアはメッシのようには行かなかったものの、彼の成長はここ数シーズンでも飛躍的であり、アーセナルのミケル・アルテタ監督は彼のプレミアリーグでの活躍に期待していることだろう。

ウーデゴールのプレミアリーグ上陸によってもたらされるもの、そして彼がミケル・アルテタ監督の下どのように輝きを放つのか。イギリス『Sky Sports』がウーデゴールがアーセナルで起こすかもしれない化学反応について触れていたのでご紹介したい。

アーセナルが獲得間近!ウーデゴールがガナーズにもたらすものとは…

何故レアル・ソシエダではなくアーセナルへのローンなのか?

ウーデゴールは2017年以降SCヘーレンフェーンやSBVフィテッセ、レアル・ソシエダへ期限付き移籍を繰り返していたが、昨シーズンのレアル・ソシエダでの輝かしい活躍の後、ジネディーヌ・ジダン監督の構想における重要な役割を期待され今シーズンからレアル・マドリードへローンバックされている。有望なシーズンになることを誰もが予想したはずだったが、出場機会に恵まれず彼の成長を止めないためにも再び期限付き移籍の声が上がり始めた。

ウーデゴール自身にとっても移籍先の第一候補は昨シーズンの活躍を見せたレアル・ソシエダが妥当とされていたが、レアル・マドリードは上位争いするクラブの戦力強化につながることを避けるためなのか、ラ・リーガ以外での放出を検討しており、アーセナルが候補先として挙がった。突如アーセナルが移籍先候補として挙がったのはクラブの都合によるものだったと推察される。

『Sky Sports』のポッドキャスト「Transfer Talk」の中で、スペインサッカーのコメンテーターを務めるテリー・ギブソン氏はこのように語った。

「ウーデゴールは昨シーズン自身の存在感を示し、ラ・リーガ全体を通して最も傑出したプレイヤーの1人となった。

彼がレアル・マドリーに戻ったこと自体は大きな驚きではなく、むしろ彼がここまで上手くいっていたことに驚いたはず。彼を戻すことは簡単な選択だったに違いない」

「しかしジダン監督との関係は完璧とは言えなかった。シーズン当初は改善が見られプレー面でも問題ないと判断され、監督の構想内において彼の居場所は約束されていた」

「しかしプレーに難が出始め彼の居場所はなくなった。いくつかの怪我もあったようだが、ウーデゴールの出場機会が失われた理由は単に監督が彼を選ばなかったからだろう。彼がレアル・マドリーのベンチを温めることや誰かの交代要員として出場したいとは思っていないはずだ。レアル・ソシエダで活躍したようにチームの主力として扱われることを切望しているに違いない」

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ウーデゴールはアーセナルに何をもたらすのか?

続けてギブソン氏はこのように語る。

「ウーデゴールは攻撃的ミッドフィルダーであり、守備的機能は全く期待していない。彼は相手守備陣を攻略することができ、レアル・マドリーでも十分に通用するクオリティを備える素晴らしい選手だ。彼はアーセナルひいてはプレミアリーグで通用するはずだ。レアル・マドリー同様、プレミアリーグのどのビッグクラブでも通用するほどの高い能力を持っている」

同番組に出演したサッカージャーナリストのペーター・スミス氏もこう語る。

「ウーデゴールがレアル・マドリーに帰還したときには、彼がサンチャゴ・ベルナベウでもたらすものは計り知れないとされていたが、今シーズンの彼はもしかすると昨シーズンと比べて静かな出来となっているかもしれない」

「ただこれまでの繰り返してきたローン生活は無駄ではなかったことは証明されている。18ヶ月にも及ぶヘーレンフェーンへの期限付き移籍の後、18/19シーズンにはフィテッセで多くのチャンスメイクで圧倒的な存在感を示し、ドゥシャン・タディッチ、ハキム・ツィエクに次ぐ3番目のアシスト数に終わった。次なる移籍先であるレアル・ソシエダではこれまでの実績を裏付ける働き(4ゴール6アシスト)を見せ、結果としてレアル・マドリーへの帰還を果たした」

「今シーズンにおいてウーデゴールはジダン監督の構想に入ることは困難だが、アーセナルでは受け入れる準備は整っている。

柔らかいボールタッチや精度の高いパス供給ができる攻撃的ミッドフィルダーとして試合の中で輝くことになるだろう」

攻撃における展開力・流動性・再現性の欠如が著しいアーセナルは、長らく創造性豊かなミッドフィルダーが必要である指摘されていた。ウーデゴールの加入により攻撃面の改善が図られることは間違いない。

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どのポジションで機能するのか?

同番組内で同じくサッカージャーナリストのニック・ライト氏はこのように語った。

「エミール・スミス=ロウが12月に出場機会を得てから創造性溢れるプレーを見せている。リーグ戦5試合出場で記録した3アシストという実績と引き換えに、かつてメスト・エジルが独占した10番のポジションを受け継いだ。しかし、まだ20歳という若さであることや昨今の怪我の問題もあり、スミス=ロウに一任するのはリスクが伴う。ウーデゴールの加入は10番ポジションを共有できるという点で理想的なように思える」

「昨シーズン、レアル・ソシエダでのウーデゴール以上に決定機を多く作った選手はリオネル・メッシやサンティ・カソルラを含めた5人しかいないことや、ドリブル成功数がラ・リーガトップ10位以内だったことからも、スミス=ロウが務めるポジションでも遜色なくプレーできることは確実だろう。ただ、ウーデゴールはそのポジションだけでなく様々なポジションでもプレーが可能だ。彼がフィテッセに所属したときには4-3-3のフォーメーションの中で8番ポジション(インサイドハーフ)でプレーしたこともあり、また4-4-2の右サイドハーフ、4-3-3の右ウイングでもプレーをし、右サイドからいくつもの決定機を演出した」

「もちろんすべては本人がプレミアリーグに馴染めるか次第だ。キム・シェルストレームやデニス・スアレスなどアーセナルが1月に獲得した選手は常にうまくいくとは限らないという過去の歴史がどうしても脳裏にまとわりつく。しかし、ウーデゴールの加入はアーセナルが抱えるファイナルサードでの問題を改善するための手助けになることは確かだ。10番でも8番でも右サイドでも攻撃を活性化させることだろう」

果たして「ノルウェーの神童」は出場機会を求めてロンドンへ上陸し、再び輝くことができるのだろうか。

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