Jリーグは5月28日、2020年度のクラブ経営情報を公開し、3月決算の3クラブ(柏レイソル、湘南ベルマーレ、ジュビロ磐田)を除いた2020年度Jリーグの状況を明らかにした。
村山勉クラブライセンスマネージャーによると、2020年度は「コロナ禍の影響を大きく受けた決算」だという。
経営情報データからJ1クラブの営業収益、人件費、営業利益についてご紹介する。

営業収益
本業から得られた収益である「営業収益」だが、フットボールを生業にするJリーグクラブの営業収入には、スポンサー収入・入場料収入・Jリーグ配分金・物販収入・アカデミー関連収入などが挙げられる。
上記は2020年度J1クラブの営業収益をプロットしたデータとなる。最も営業収入が高かったクラブは横浜F・マリノスで58億6400万円、最も少ない営業収益はサガン鳥栖で16億4900万円となった。J1クラブ全体の営業収益は2019年度と比較しておよそ25%の減少となり収益源の縮小が多くのクラブを悩ませた。

スポンサー収入
クラブの収益の大部分を占めるスポンサー収入に着目する。2020年度最もスポンサー収入を得たクラブは浦和レッズで37億5000万円、最も少ないスポンサー収入はサガン鳥栖で5億5800万円となった。
コロナ禍の影響はもちろん一般企業にも及び、固定費の見直しなどを敢行する企業が相次ぐ中、クラブの活動や地域に根付く価値を発信できた浦和レッズは優秀な結果と言えるだろう。J1全体においてスポンサー収入は2019年度と比較しておよそ15%減少、インパクトとしては56億円減少となった。

入場料収入
いわゆるチケット代に当たる、入場料収入に着目する。2020年度最も入場料収入を得たクラブは横浜F・マリノスで4億9700万円、最も少ない入場料収入はサガン鳥栖で1億5100万円となった。2020年度クラブ経営の中で深刻だったトピックはこの入場料収入で、J1クラブ全体において入場料収入は2019年度と比較して100億円の減少となってしまっている。
木村正明専務理事は報告会の中で「新型コロナウイルス感染拡大の影響による超厳戒態勢でのリモートマッチや厳戒態勢下で入場者制限がダイレクトに影響し、前年度の入場料収入の多かったクラブが苦しむ結果となった」と、重い言葉を口にした。

人件費
所属選手や監督、クラブスタッフたちの人件費に着目する。2020年度最も人件費を計上したクラブはヴィッセル神戸で63億9600万円、最も少ない人件費の計上は横浜FCで10億1000万円となった。
アンドレス・イニエスタを筆頭に大物外国人選手が在籍するヴィッセル神戸は人件費において他のクラブを圧倒した。思うような収益が見込めない場合において「経費を削る」というのは健全な経営を行う上で鉄則だが、経費の大多数を占める人件費は大きく削減することができなかった。J1クラブ全体として2019年度からおよおそ20億円削減することができたが、たった5%程度の削減に留まっている。

営業利益
本業から得られた収益である「営業収益」から、人件費や試合運営費などといった経費を差し引いた「営業利益」はどうなっただろうか。やはり新型コロナウイルスの影響は思ったよりも深刻であり、清水エスパルスと横浜FC以外のクラブの営業利益はすべて赤字で利益を出すことができていない。
反対に清水エスパルスと横浜FCはコロナ禍の中でも黒字経営できた優秀なクラブと言及できるだろう。前述した人件費の高騰を抑えられなかったヴィッセル神戸は-51億3100万円の営業利益を計上している。しかしおよそ52億円もの経常利益を計上できたことにより純利益においては4100万円の黒字で着地することができた。