先日、“超高校級”と騒がれる神村学園高校の名和田我空(18)が、デンマーク1部ブレンビーで練習参加したことが報じられた。
近年日本人選手の海外挑戦は低年齢化の一途をたどっており、その流れはおそらくこれからも続いていくこととなるだろう。
ここでは高校卒業後に大学やJリーグを選ばず、いきなりヨーロッパ1部の強豪クラブと契約した日本人選手たちをご紹介しよう。
チェイス・アンリ
尚志高→シュトゥットガルト(ドイツ)
現所属:シュトゥットガルト(ドイツ)
父親がアメリカ軍人で、幼少期はそのアメリカで育ったチェイス・アンリ。サッカーを始めたのは中学生と遅かったが、当時から「プロになる」と豪語していたという。
桁外れの身体能力でメキメキと頭角を現し、高校は名門の尚志高へ進学。自身は「一番下手だった」と謙遜するが1年の冬には年代別の日本代表に選ばれ、3年間で高校サッカー界を代表する存在となった。
国内外からオファーを受けていたが、卒業後の2022年4月にシュトゥットガルトと契約。前年に練習参加しており、遠藤航ら複数の日本人選手が在籍していたことも決め手となった。
高岡伶颯
日章学園→サウサンプトン(イングランド)※来年加入予定
現所属:日章学園(日本)
高岡伶颯は、地元の強豪・日章学園でエースストライカーとして活躍する現役高校生だ。
165cmと小柄なアタッカーだが、2023年U-17ワールドカップでは4得点をあげ日本のラウンド16進出に大きく貢献。3年生になった今年6月、サウサンプトンとの契約が内定した。
高岡が18歳となる2025年3月に正式契約を結ぶ予定となっている。
福田師王
神村学園→ボルシアMG(ドイツ)
現所属:ボルシアMG(ドイツ)
神村学園に在学した全ての年で全国サッカー選手権に出場し、3年連続で優秀選手に輝いた福田師王。
最終学年の第101回大会では得点王にも輝き、あの中村俊輔から「サッカーのツボをよく捉えている。身体能力に頼っている感じが全くしない。身のこなしでやっているので、この先伸びるんだろうな」と絶賛された。
その大会前の2022年10月、ドイツの強豪ボルシアMGへの加入が内定。リザーブチームからのスタートとなったが、今年に入ってトップチームに絡む機会も増えてきている。
宮市亮
中京大中京→アーセナル(イングランド)
現所属:横浜F・マリノス(日本)
中京大中京高出身の伊藤翔(現・横浜FC)と宮市亮は、年齢こそ違えどどちらも高3の夏にアーセナルの練習に参加している。
これは当時中京の監督だった道家歩氏が名古屋グランパスからの出向で来ており、名古屋時代にアーセン・ヴェンゲル監督のもとコーチを務めていた関係性で実現したもの。
伊藤はヴェンゲル監督から“和製アンリ”と評価されたものの、フランス2部のグルノーブルへ。宮市はプレーや練習態度が評価され、卒業を控える2010年12月にアーセナルと契約を結んだ。
伊藤達哉
柏レイソルU-18→ハンブルガーSV(ドイツ)
現所属:マクデブルク(ドイツ)
海外サッカーばかりに夢中になったサッカー少年は、デビューから現在に至るまでヨーロッパでプレーし続けている。
小4から所属した柏のアカデミーは「柏から世界へ」を掲げるクラブだった。その言葉通り、国際大会での活躍が海外スカウトの目に留まり、高3の夏にドイツの古豪ハンブルガーSVからオファーを受けると、これを迷わず受諾した。
2シーズンBチームで経験を積んだ後、ブンデスリーガでデビュー。163cmと小柄だったが当時のクリスティアン・ティッツ監督から「1対1、ドリブルはブンデスで一番」と言われるほど評価され、“日本のメッシ”としても話題となった。
小杉啓太
湘南ベルマーレU-18→ユールゴーデン(スウェーデン)
現所属:ユールゴーデン(スウェーデン)
年代別の常連で、2023年U-17ワールドカップでU-17日本代表のキャプテンを務めた小杉啓太。
ポジションこそ左サイドバックだが、湘南の下部組織出身、そして強いリーダーシップを持つことから遠藤航(現リヴァプール)、齊藤未月(現ヴィッセル神戸)に続く存在として期待された。
ただ、今年3月にスウェーデン1部のユールゴーデンへ移籍。もともと海外志向が強く、18歳になるタイミングで自らトライアルに参加し契約を勝ち取った。
小久保玲央ブライアン
柏レイソルU-18→ベンフィカ(ポルトガル)
現所属:シント=トロイデン(ベルギー)
地元・柏レイソルのユースに6年間所属した小久保玲央ブライアンは、そのままトップチームに昇格するかと思われた。
しかし、カタールで開催された2018年のアルカス国際カップが大きな転機に。この大会で柏は準優勝し小久保は『ベストGK賞』を受賞しているが、準決勝で倒した相手がベンフィカだった。
2019年1月、18歳の誕生日を迎えた小久保はベンフィカと2023年までという大型契約を結んでいる。
吉永夢希
神村学園→ヘンク(ベルギー)
現所属:ヘンクII(ベルギー)
一学年上の先輩である福田師王選手に続いて「神村学園から2年連続での海外移籍」として話題となった吉永夢希。
“高校ナンバーワンSB”と評価され、全国選手権には2度出場。年代別の日本代表では、2023年のU17アジアカップで主力として大会連覇を成し遂げ、同年のU-17ワールドカップにも出場した。
在学中だった昨年10月にはベルギーの強豪ヘンク加入が内定。現在はリザーブ(2部)に所属しているが、今年8月には目の覚めるようなスーパーゴールで初得点を記録している。
木下康介
横浜FCユース→フライブルク(ドイツ)
現所属:柏レイソル(日本)
中1から横浜FCの下部組織に所属した木下康介は、各大会でゴールを量産し「ユースの最高傑作」と言われるタレントだった。
海外志向が強かった彼は、2012年にマンチェスター・シティの練習に参加。セルヒオ・アグエロやマリオ・バロテッリらがいる中で存在感を示し、当時のロベルト・マンチーニ監督から高く評価されたという。
シティからは正式オファーを受けたが、契約を結んだのは日本代表MF堂安律が現在プレーするフライブルクだった。
木下は「シティより出場機会がある」と判断し、若手や外国籍選手の育成に定評がある同クラブを選んだのである。