7月17日に行われたJ1リーグ第20節、ヴィッセル神戸はセレッソ大阪と対戦し1-1で引き分けた。この試合は神戸のサポーターにとって見逃せない大事な一戦となった。
試合は引き分けに終わったが、古橋はDF酒井高徳とのワンツーで抜け出すと右足シュートでゴールを奪った。サポーターへの惜別ともなったこのゴールは、古橋の今シーズン15得点目となる。そして同選手は、J1得点ランキングのトップに立ったまま日本に別れを告げた。
セルティックへ移籍した古橋は今後どうなるか。ここでは、セルティックのサポーターが古橋に期待していること、そして活躍の予測をまとめよう。

イニエスタの発言によるサポーターの期待
セルティックを支えているサポーターは、古橋のプレーを目の当たりにする前から、すでに同選手に大きな期待を寄せている。それには2つの理由がある。1つはヴィッセル神戸でチームメートだった元バルセロナ、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタの古橋に対する情熱的な発言だ。
「正直、彼(古橋)はヨーロッパのチームでプレーする才能があるね。J1の得点ランキングでもトップを走っているけど、それだけじゃないんだ。テクニックもしっかりあるから、ヨーロッパで活躍できると信じているよ」
世界サッカーに大きな影響を与えたイニエスタのこの言葉には、すべてのセルティックファンが耳を傾けた。今後、古橋はイニエスタの発言が正しかったことを証明しなければならない。

セルティックのレジェンド中村俊輔の存在
セルティックサポーターが古橋に期待するもう1つの理由は、セルティックパーク(同クラブのスタジアム)のレジェンドとなった中村俊輔の存在が大きいだろう。
中村の海外冒険は、横浜F・マリノスからセリエAのレッジーナに移籍した2002年にスタートした。レッジーナで3年プレーした後にセルティックに加入すると、中村はスコットランドでの初シーズンにスコティッシュ・プレミアシップ優勝とスコティッシュリーグカップ優勝に貢献した。
2005年から2009年にかけてセルティックで145試合中31得点(『Transfermarkt』より)を挙げた中村。特に印象を強くした彼のフリーキックは、未だにサポーターの心に刻まれている。それは古橋にとって大きなプレッシャーになることもあり得るが、サポーターは中村と同じ日本人である古橋に同じような期待をしているのだ。
古橋自身はこれについて、欧州サッカーで活躍した先輩の中村、本田圭佑(元ミラン)中田英寿(元ペルージャやローマなど)と比較されるのは嬉しいが、これからは自身の名前を歴史に刻みたい、と発言している。

古橋を知るポステコグルー監督はどう活かすか
セルティックが古橋に目をつけ獲得に至ったのは、かつてJリーグ横浜F・マリノスの指揮官を務め、今年6月10日にセルティックの新監督となったアンジェ・ポステコグルー氏によるところが大きい。
ポステコグルー監督は横浜FMでの指揮中(2018-2021)に、古橋のプレーを観察する機会も多くあった。特に2020シーズンは同選手のことを最も脅威に感じたことだろう。古橋は2020年に行われた神戸VS横浜FMの全ての試合(FUJI XEROX スーパーカップ、リーグ第13節と20節)で得点を挙げている。その姿は同監督の目を奪ったに違いない。
日本で強敵だった古橋を今チームメートに迎え、ポステコグルー監督のサッカーにはどのように活かされるか。古橋の武器である圧倒的なスピードは、ハイプレスや早い切り替えを求める同監督の攻撃的なサッカーに役に立つと思われる。

古橋のスタメン出場につながる移籍市場の動き
今後の古橋の活躍に大きく関係すると思われるのが移籍市場の動きだ。まず、過去2シーズンにリーグ得点王に輝いたセルティックのフランス人FWオドソンヌ・エドゥアールが、プレアミアリーグのブライトン・アンド・ホーブ・アルビオンに移籍する可能性が高まっている。『The Celtic Star』によると、ブライトンからセルティックへのオファーは2,150万ポンド(約33億円)に上り、経済面を考慮すれば断りにくいものだという。
また、7月15日に加入したばかりのイスラエル人FWリエル・アバダの特徴を考えると、ポステコグルー監督が目指しているサッカースタイルが見えてくる。速さで勝負する右ウィング(アバダ)と左ウイング(古橋)を中心に攻撃パターンを作り、すでに攻撃的だったセルティックのサッカーがより面白くスピーディーになると予測でき、ポステコグルー監督らしい楽しいサッカーがサポーターの心を掴むと思われる。
7月31日に開幕を迎えるスコティッシュ・プレミアシップ。検疫措置、そしてチームに馴染む時間を考えると、古橋とアバダのプレーを見るまでにはもう少し時間がかかりそうだ。2人がセルティックに新しい風を吹かせることを期待したい。